奪われた記憶
]:作

■ 第二章 百合子の過去1

(あれが一輝君に初めて犯された日だった。)



一輝がまだ高校3年生の時であった。一輝の担任となった百合子は、とても美しく生徒の憧れの的だった。この時、一輝は、『百合子先生とやれたら死んでもいい。』と考えていた。しかし、相手は教師、まともに相手されるはずもない。百合子はこのとき高嶺の花といった存在だった。ありったけの性欲をぶつける。その方法は力ずくしかないと一輝はこの時考えた。これが原因で今の一輝がいるのだ。百合子を犯したいという欲望さえなければ、一輝は普通の高校生で普通の社会人になっていたかもしれない、いやなっていただろう。



百合子は音楽担当の教師で放課後はいつも音楽室に楽器の点検をしに行っていた。この日も百合子は無人の音楽室にやってきた。百合子の先回りをして、一輝は音楽室にやってきていた。



ガラッという音と共に百合子が入ってきた。女教師の百合子が入ってきただけで一輝の心臓はバクバクだ。作戦はない。ただ力ずくで襲い掛かるだけだ。

(よーし行くぞ今しかない。)

そのとき、百合子は何者かの気配に気がついた。

「誰? 誰かいるの?」

この時の一輝でも犯罪に走らせてしまうほどに百合子は美しかった。



(そうかこの時からだ。私が一輝君に犯されるようになったのは。)



一瞬、百合子は何がおきたかわからなかった。いきなり何者かに羽交い締めにされ身動きが取れなくなったのだ。

「誰なの? やめて!」

「百合子先生。好きだよ。」

一輝はそういうと百合子の身体を触りだした。

「ひぃっ! だめっ!」

百合子はこの時やっと自分の置かれた立場を理解した。しかも、犯人はこの学校の生徒だ。

(この子、私を襲うんだわ。教師である私を! でも一人なら何とかなる!)

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