国取物語
しろくま:作

■ 2

兵士「ク、クリス様! つい先ほど化け物が現れ、女性を攫って行きました!!! 現在、追跡中ですが・・・」
アレク「クリス・・・行ってくれるな?」
クリス「はいっ!!」
攫われた女性はなんと4名。どうやら1匹ではなく、2匹のオークがそれぞれ別の場所で、2人ずつ攫っていったらしい。連れて行った場所も違っていたようだ。
逃げた方向から察すると、南にある廃墟と西にある洞窟、この2ヶ所が怪しい。兵も途中までは追って行ったそうだが、身体能力が桁違いで、馬に乗っていたが見失ってしまった。
クリス「よし! 隊を2つに分ける。廃墟には私が、洞窟にはレオナが、それぞれ25人ずつの部隊で行くとしよう!」
レオナは第2騎士団の副団長で、22歳。性格は真面目で忠実。自分より若いクリスの命令も素直に聞いていた。クリスにとっては、部下ではあったが姉のような存在でもあった。
ちなみに、アンナとは血は繋がっていたが、ほとんど会っていない。第1王女のアンナは、城から出ることが出来なかったからでもある。
ちなみにレオナは、仕事に熱を入れるあまり、男性との交際はほとんど出来ないでいた。美人ではあるが、その真っ直ぐな性格も災いして、男性経験は少ない。
クリス「レオナ! 気をつけて!」
レオナ「ええ、あなたもね!」
そうして、2人はそれぞれの場所に、兵を引き連れて出発した。



クリス達は2時間ほどで廃墟に到着した。
この廃墟は、戦争中に要塞として使用されていたものだ。しかし、今は見る影もない。
しばらく見回したあと、クリス達はオークの足跡は発見した。
クリス「間違いない! 行くぞ!!」
クリスの掛け声とともに、団員たちが突入する。しかし、この廃墟の中で行われていたことは悲惨なものであった。
この要塞の1階部分は広いホールになっている。半壊しているため2階へは行くことは出来ない。
中にいるオークは4匹。まだこちらには気づいていない。しかし・・・
クリス「な・・・なんてことを・・・」
2人の女性はオークに犯されていたのである。なぜ、女性ばかりを攫うのか、その謎が今解けた。
女性「うう・・・あぐっ・・・も、もう・・・やめて・・・」
しかしオークに言葉は通じない。お構いなしに奴らは、激しく腰を振っている。
女性「はぁっ!・・・そんな・・・ううっ! 乱暴に・・・だ、ダメっ!!」
オークは女性の膣内に射精した。しかし、とても入りきる量ではなく、外に大量に流れ出る。
彼女たちは体中精液塗れになっている。いったい何回射精したのであろうか・・・
クリス「か、かかれ!!!」
団員たちは一斉にオークへと攻撃を仕掛ける。オークたちは邪魔されたからか、ひどく興奮して襲い掛かってくる。
団員「ぐわぁ!!」
団員の1人が攻撃を受ける。恐ろしい腕力による一撃は鎧を粉砕し、身体を数メートル吹き飛ばす。
しかし、団員たちは怯むことなく攻撃を続ける。クリスは、華麗な剣技でオーク達を圧倒している。その後、1時間ほど戦闘は続いた。



25人もの圧倒的な人数もあって、何とかオークどもを殲滅できた。負傷者は12名、絶命している者もいる。
クリスはオークの戦闘能力の高さを痛感させられた・・・

クリスは女性達を保護し、城へ戻りアレクに報告した。
アレク「良かった・・・無事で何よりだ。」
アレク「しかし、戦死した者のことは残念に思う。彼らの冥福を祈る・・・」
クリス「はい・・・」
クリス「しかし、オークどもの目的がはっきりしました。奴らは人間の女性を、お・・・犯していたのです・・・」
アレク「ふむ・・・それならば、女性ばかりを攫うことも納得いく。しかし・・・なぜ・・・」
彼の疑問はもっともである。なぜ人間の女性と交わるのであろうか。他の動物は食べられるだけであるのに。
学者に聞いたところ、オークは人間の形態に近い。ゴリラと熊を足して2を掛けたような生物である。もしかしたら、人間と交配する確率もありえる。とのこと・・・
クリス「ところで、レオナはまだ戻ってきていないのですか?」
アレク「いや、まだだが。彼女なら恐らく無事に帰ってくるであろう。」
そうは言われたものの、クリスは心配であった。
クリス(たしかにレオナは強いけど・・・もし、あのオークが、もっと大勢いたら・・・)
オークの力を、身をもって思い知らされたクリスは不安で仕方がなかった。
・・・レオナ達は1日経っても戻らなかった。

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