黒い館
けいもく:作
■ 4.信じられない訓練3
レースは真菜ちゃんの圧勝でした。続いたのが亜紀ちゃん。年長の裕美さんと肥満ぎみの愛さんは、もはや激しい運動はできないのかもしれません。
ただ香子さんだけは、レースに参加していませんでした。後ろで手首を縛られていては這い回ることができるはずもありませんでした。ただ、お館様が香子さんをそばにおいたのは、それだけの理由ではありませんでした。
自分の女たちが、繰り広げるなまめかしいドッグレースに、性的な興奮を覚えた場合の癒す手段として、香子さんを手元においていたのでした。
全裸で後ろ手に縛った香子さんは好都合でした。何をしても抵抗されることはありませんでしたし、何よりも口は自由に使えることでした。
レースは過酷でした。裕美さんと愛子さんの荒い息使いが、半開きの口もとからわかりました。
それは、小石だったのでしょうか。地面の突起物が、ひざに食い込んだようで、愛子さんは転倒しました。その転倒の仕方が無様でした。驚いて、ひざを上げすぎて、半回転し、ちょうど蛙が仰向けに倒れているような格好でした。
それが女体で、朝の明るい陽光に、開いた股間と黒く茂る陰毛をさらけだしました。愛子さんは、恥ずかしい姿に気づいたのか、すぐにもとの四つん這いに戻り、自分のミステイクを恥じるように振り向いてお館様に笑顔を見せました。
「怪我はしていないよ」というアイコンタクトもあるのだと思いました。
愛子さんが見せた、思わぬ醜態にお館様は喜びました。それは、自分がやらせたのではない、自分の女のエロティックな姿態でした。一瞬の出来事でしたが、お館様は喜びを隠しませんでした。
そして、こういう時のために、香子さんが必要でした。
胸を吸って唇に伝わる柔らかな感触、一晩かけて自分が責めぬいた女のかもしだす、汗ばんだ、それでいて甘さの残る体臭を楽しむだけでは、我慢できなくなったのか、お館様は自分の性器でも香子さんの柔らかく包んでくれるような優しさに触れたくなったようでした。
香子さんをひざまずかせ、ズボンのジッパーを下げ、取り出したものをほおばらせました。あとは自らの興奮を、つかんだ香子さんの髪の毛に伝えればいいだけでした。
お館様は、香子さんの足のつま先から髪の毛の一本にいたるまで、全身を余すところなく楽しんでいるようでした。
たとえば、香子さんの盛りあがった乳房の上の、どちらかといえば小さめな乳首を静かに摘み、ゆっくりと、そして確実にねじりあげていく時の、恐怖に脅え、苦痛にゆがませる顔。
縄で縛られている手首では、便所の扉も開けられず、お館様をともない、小用をするとき、尿道口という小さな穴から、流れ出す液体を、飛沫がかかりそうなほどそばで、興味深げにじっと見つめられる視線に、何の抵抗も出来ず、目を閉じて、ただ屈辱に耐え続けるさま。
紙でふいてもらい、その紙を鼻にあてられ、アンモニア臭をかがれたときに見せた、恥じらい。
「やめて、そんなこと、せんといて、したらあかん」といった関西訛りにまで、いいようのない愛おしさを感じ、それを自身の楽しみに変え、香子さんの底知れぬ魅力を堪能していました。
レースの結果は、何度やっても同じでした。俊敏に動く真菜ちゃんに裕美さんや愛さんが、かなうわけもありませんでした。若さも違いました。
若さでは、引けを取らない亜紀ちゃんも、きっと、もともとスポーツが得意ではないのでしょう。やはり真菜ちゃんには勝てませんでした。
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