黒い館
けいもく:作

■ 9.初恋とSM2

 ただ、できればわたしの身体のどこにでもいいから精液を出してほしいと思いました。顔にかけられてもいいと思いました。一方的にわたしの身体だけが、昂ぶらされて終わりでは悲しすぎました。

 お館様は、わたしを膝の上でうつぶせに寝かせました。

「バターを持ってきてくれないか」
 お館様が、裕美さんに言いました。

 お館様の狙いはわたしの肛門でした。お尻の盛り上がった部分をなぜていた手は、「パシッ」という音とともに叩く動きに変わりました。痛さは、それほどのこともありませんでした。リズムに乗った、太鼓をたたいて、音の反響を楽しむようなたたき方でした。

 そして、裕美さんがバターを渡すと、わたしのお尻の穴に塗りこんでいきました。同じようにバターを塗った中指が差し込まれました。わたしにとってもそんな所に物を入れられたのは、はじめてのことでした。

「お館様は、ヘンタイよ」と笑った、真菜ちゃんのことばが思い出されました。

 女性の肛門に指を入れて辱めるという行為が、男性なら誰もが持つ欲望に基づくものか、お館様だけの、他の男性とは異質な、ある意味では、変質的な欲望のもとに行われているのかがわかりませんでした。

 お館様は、しばらく指を動かせて、反応を見てからわたしを開放しました。そんなことで性的な反応なんかできるわけもありませんでした。ヌメッとした、奇妙な感触だけが肛門に残りました。

 背中をさすりながら「よく我慢したな」と言いました。

 わたしたちは、そのまま風呂に入ることにしました。

 わたしたちというのは、裕美さんと三人のことでした。お館様と裕美さんは向き合って服を脱がせあっていました。

 裕美さんの動きには、洗練された慣れを感じました。子供を扱うような大人の女の優しさでした。

 お館様には、何年一緒に暮らそうが、裕美さんの身体に興味を失わない、情欲の激しさを感じました。

 裕美さんがいたずら心からか、お館様の性器の玉の部分を手のひらで包み込むように揉むと、お館様は、大きく口を開けて、裕美さんの乳房を飲み込むようにして応えていました。

 わたしは、最初から裸でした。

 脱衣所のかごに新しい白のブラウスと黒いスカートがおいてあるのがわかりました。いつの間にか裕美さんが用意してくれたようでした。風呂から出れば、わたしはこれを着て、館の一員になるのだと思いました。

 館の風呂は三人が、普通に入れるだけの広さがありました。タイルの上には大きめのウレタンマットがしかれて、鏡の張られた椅子もありました。

 それらは、ファッションホテルか、いえ、もっと露骨に、女が男に身体を売るための施設のものではないかと思いました。

 お館様は、女性たちにそういったたぐいの、身体を使った奉仕まで要求しているのかもしれませんでした。

「風呂は、夜は沸かせてあるので、いつ誰が入ってもいいのだ」

 お館様は湯船の中でわたしを抱きながら言いました。手は絶えず、わたしの性器か乳房を触っていました。わたしにもお館様の性器が大きく膨らんでいるのがわかりました。

 裕美さんは、洗い場で身体に石鹸を塗っていました。どうやらお館様は、裕美さんの身体に精液を放とうとしているようでした。湯船から出て裕美さんの下に身体をもぐりこませました。

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