黒い館
けいもく:作

■ 20.亜紀ちゃんの興味2

亜紀ちゃんにしていいことは、せいぜいが裸にして全身を舐めまわすことと、唇で愛撫させて精液を飲み込ませるくらいでした。後ろ手に縛ることもできませんでした。

それ以上のことをしてしまったら、と思いました。亜紀ちゃんをベッドに縛り付け乳房にロウをたらせている自分自身の姿が想像できました。『だめだ、だめだ』と激しく首を横に振りました。そんなことをすれば、本当に亜紀ちゃんを犯してしまうに違いないと思いました。

亜紀ちゃん身体は、充分に成熟していました。たとえていうなら、陰毛の濃さだって他の女性にひけをとりませんでした。乳房の大きさもしかりでした。全体的に丸みを帯びた身体つきには、いかにも女性らしい優雅さも備わっていました。見方によればボーイッシュで青臭さの残る真菜ちゃんよりも大人の女かもしれませんでした。

きっと、その身体を犯せばそれなりの快楽を与えてくれるに違いありませんでした。そして怖いところは、亜紀ちゃんも抱かれることを望んでいることでした。

やはり、ストッパーが必要だと思いました。

「明日は、香子が当番だったな」

廊下で偶然、香子さんに出会ったお館様が聞きました。

「そうよ」

「悪いけどな、おまえを抱くところを亜紀に見せてやりたいんだ」

「正気?」

「もちろんだ。部屋に入れてやって見学させたいんだ」

「見学ねえ」香子さんは苦笑しました。

お館様が香子さんにする行為は、単に抱くとか抱かれるとかいうほどなまやさしいものではありませんでした。

「それで亜紀ちゃんには何もしないの?」

「何もしないとはいえないけど、やはり最後は香子に頼みたい」

「三人プレイね」

「まさか、そんなことを考えるなら、裕美か愛子をよぶよ」

お館様は、香子さんの冗談のようなひやかしにもまじめに答えました。

それはそうでした。もし、お館様がそういう種類の快楽を望んだとすれば、裕美さんに頼むはずでした。そのほうが、香子さんとの息も合っていると思いました。

ベッドの中央に仰向けに寝て、その両側を香子さんと裕美さんの身体が挟んで、肌に触れさせた四つの乳房が揺れる、お館様は、その甘い息遣いに酔いしれているだけでいいのかもしれません。

黙って眼を閉じて身体をゆだねていれば、少しずつ下半身へと這わせる舌が、この上ない喜びに導いてくれるだろうと思いました。

だけど、香子さんと亜紀ちゃんの三人プレイは、ちぐはぐな気がしました。ひどく滑稽なものに思えました。

『やはり、責めるのは香子にして、亜紀は合間にちょっとだけ遊ぶくらいにしておいて、責任は香子に取らせればいい』

お館様は、都合のいいように空想しました。

そして、香子さんのブラウスの上から突起した乳首の部分をつまみ、ひねってみました。やはり、この身体に世話にならなければならないと思ったからでした。

香子さんは、自分の身体にお館様がいたずらしたとしても、怒ったり逃げたりすることは滅多にありませんでした。普段は微笑んで許してくれました。

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