黒い館
けいもく:作

■ 23.亜紀ちゃんの乳房2

『いずれ、わたしもああいうふうにされるんだ』と思いました。

お館様は、ロウソクを手放し香子さんの開かれた股間を舐めました。それもお館様が香子さんの身体を楽しむ、いわば権利のようなものでした。舌が執拗な動きをしていました。香子さんの身体から発する液体の全てを吸い取ろうとしているような気がしました。

あるいは、香子さんの生理の子宮がお館様の顔を赤く染めているのにも気がついていないのかもしれません。その経血もすでに半ば以上飲み込まれているはずでした。いつのまにか、香子さんの泣き声は、女の一番敏感な部分を刺激される喘ぎ声に変わっていました。

亜紀ちゃんは、タオルで汗や鼻水の混ざった香子さんの顔をふきました。アイマスクを額のあたりにまでずらしてみれば、香子さんが泣いているのがわかりました。泣かされているといったほうが正しいのかもしれません。亜紀ちゃんは香子さんの顔をていねいにふき、アイマスクを元の眼の位置に戻しました。

そして、ようやく香子さんの股間から離れたお館様の顔もふきました。香子さんの鼻水が付いたタオルでふいたのは、亜紀ちゃんのささやかな意地悪だったのかもしれません。もっとも、お館様はそんなことを気にするような人ではありませんでした。自分の顔をふくタオルが香子さんの経血で赤くなるのを不思議そうにみていました。

「亜紀、おっぱい」お館様は乳房が舐めたくなったようで、亜紀ちゃんに差し出すように言いました。

 亜紀ちゃんは、自分の乳房を半開きになったお館様の口に咥えさせました。お館様は、そのまま亜紀ちゃんの腰に手を回し、ベッドにゆっくりと倒していきました。

亜紀ちゃんは自分の乳房がお館様の唾液でぬれていくのを感じながら「香子さんの左の乳房」と言いました。

きっと『舐めたければ、舐められるじゃないですか』と続けたかったのだと思います。

実際にお館様は、亜紀ちゃんが首を傾げたくなるほど、香子さんの右側の乳房にばかり、ロウをたらせていました。だから依然、香子さんの左側の乳房はきれいなままでした。お館様が舐めるのに何の不都合もないはずでした。

「今日は亜紀がいるから」とお館様が答えました。

『香子の乳房は舐めなくてもかまわない』ということかもしれません。

「それじゃあ、なぜ?」亜紀ちゃんは、お館様が楽しむために香子さんの左側の乳房はロウを付けないでおいてあるのだと思っていたようでした。

「反応が違うんだ。香子の苦しみ方かな。たとえば、最初に右の乳房に落とすだろ。続けて落とすとすれば右に落とすのと左に落とすのでは、どっちが熱いと思う?」

亜紀ちゃんは、答えませんでした。女の身体で理科の実験をしてはたまりませんでした。

「同じところに落としたほうが、香子は激しく泣く。もだえ方も大きいんだ」

話すことにいたわりという感情が抜けていました。当然、その言葉は香子さんにも聞こえているはずでした。だけど、仕方がないのかもしれないと思いました。

亜紀ちゃんは、じっと、呼吸を整えて次の責めを待つ香子さんを見ました。

お館様は亜紀ちゃんを抱いていた手を離すと、香子さんに覆いかぶさるようにして唇を吸いました。お館様の舌が香子さんの口に入っていくのが見えました。お館様は自分の唾を香子さんに飲み込ませようとしているのでした。

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