虜囚にされたOL
木暮香瑠:作

■ 罠に嵌ったOL7

 閉ざされた空間の中を、麻希は漂っていた。カーテン一枚で隔てられた空間だが、媚薬の効果で官能の渦に飲み込まれた麻希には水中を漂っているような心地よさが全身を包んでいた。
 そんな麻希の恥辱を呼び覚ますように、カーテンが開かれた。
「お飲み物の御代わりをお持ちしました」
 麻希の瞳が大きく開かれる。その視線の先には、マスターがカクテルと水割りをトレイに載せ立っていた。
「キャー……」
 羞恥心が、麻希に悲鳴を上げさせた。突然開放された視界に、麻希は両腕をクロスさせ胸を隠した。
「大声を上げちゃあ、他の客に知られるよ」
 太田が大声を上げた麻希を嗜める。
「いやっ、だ、だって、見られちゃう。恥ずかしい……」
 麻希は、頬を真っ赤に染め俯いた。恥辱が麻希の胸を締め付ける。締め付けられた胸は血液を全身に送り込み、雪肌を桜色に染めた。

 大きな息遣いに上下する双乳の頂点で、もたげた乳首がさらに角度を増し上を向く。クロスさせた腕を押しのけ、ポロンと乳首が跳ね起きた。
「あんっ……、いやん……」
 跳ね起きる際に乳頭が擦れ、声が漏れる。
「見られて感じてるのかい? ほら、乳首がこんなに大きくなってる」
 乳輪までをも盛り上げ、乳首が天井を向いている。太田は、誇らしげに頭をもたげた乳首を指でつまんだ。
「ひっ、ああん……、ああ……」
 麻希は、頭を後ろに倒し喘ぎ声を発した。
「すけべな娘ですね、太田さん。見られて感じてますね。それにしても綺麗なバストだ。乳輪も乳首も桜色で愛らしい……」
 マスターは、相変わらず無表情を崩さず冷静に言う。冷たく言われることが、自分の性癖の証人のようで羞恥心を煽る。
「恥ずかしい……。恥ずかしいの……。わたし……、す、すけべじゃない……」
 麻希は、違うと言いたげに首を弱々しく横に振った。しかし、パンツが濡れるのを感じていた。それが、いっそう羞恥心を煽った。麻希は慌てて両手で胸を隠した。

「マスター、カーテンを閉めてやってくれ」
 太田の声に、マスターはカーテンを閉め飲み物をテーブルに置いた。お酒を置いてもマスターは出て行こうとせず、麻希の恥ずかしがる姿を無表情に眺めている。
「麻希君、カクテルをもう一杯どうかね?」
 太田がカクテルグラスを手に、麻希にお酒を勧める。
「い、いえ、これ以上飲んだら、わたし……」
 麻希の話を遮るように、太田がグラスを麻希の口に押し当てる。
「だ、だめ……。本当にもう、飲めません……」
 拒み続ける麻希に、太田は仕方なさそうに言った。
「それじゃあ、わたしが呑まして上げよう」
 そう言ってカクテルを自分の口に含み、麻希の柔らかそうな唇に重ねていった。

「ううっ、ううん、ううう……」
 麻希は顔を振って逃れようとするが、太田は口を離すどころか麻希の胸を力を込めて揉んだ。過敏になった官能が、ビリビリと背筋を走った。
(あっ、だめっ……。好きでもない人に唇を奪われるなんて……)
 わずかに開いた唇に、太田は唾液交じりのカクテルを流し込んでいった。

 カクテルの甘い苦味と太田の歯周病特有の悪臭を漂わせる唾液が、麻希の舌の上を転がる。身体がカーッと熱くなる。アルコールの所為だけではない。恥辱と媚薬の効果が後押しし、麻希の身体を燃えさせている。
「ああっ、ああん……。ね、ねぇ、だめぇ……」
 麻希の口から甘い声が漏れ、ピンクに濡れた柔らかい唇が開く。太田は、すかさず舌を差し入れた。そして、麻希の歯茎に、舌に絡めて行く。
「う、う、あうう……う、いや……ああ、こんな……」
 麻希の拒む気持ちと裏腹に、舌が勝手に差し出される。

 宙を漂うように揺れる舌に、太田のざらざらした舌が絡みつく。そして唾液を流し込まれる。
「うん、うん……。あうう……うっ」
 悪臭にも拘らず、どろっとした太田の唾液が喉に纏わり付きながら通り過ぎていく。
(なんなの? この感覚……。熱い……、喉が熱いわ……)
 甘媚な靄が意識を包み込む。そっと瞳を開いてみる。虚ろな視線の先には、マスターがじっとこちらを見つめたままだった。冷たく突き刺さるような視線だ。

(み……、見られてる……、ああ、見られてる……)
 マスターの視線に気付いた途端、脊髄を電気が走る。意識すればするほど身体の中がジンジンと疼いてくる。
(ああっ、だ、だめえっ……)
 麻希は恥辱に身を硬くした。ぎょっと身体を縮めた瞬間、グジュッと秘裂から蜜が漏れる。
(あっ、どうして? どうして感じるの? い、いやっ、み、見ないで……)
 麻希は虚ろな瞳を宙に漂わせた。

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