哀妹:芽衣
木暮香瑠:作

■ 恥辱の体育館1

 芽衣は、一学期最後の保健委員会が終わると体育館に急いでいた。柴田達3人に、放課後・4時までに体育館に来るように命令さてたのだ。保健委員をしている芽衣は、委員会が終わると会議室を飛出して走った。明後日から夏休みに入る。夏休み前の最後の委員会と言うことで、打ち合わせが延び、時計は4時を5分程周っている。梅雨の明けた日差が芽衣に降り注ぎ、少し走るだけで額には汗が浮いた。柴田達3人の機嫌を損ねるわけにはいかない。芽衣の秘密を握られている。オナニー・シーン、兄とのキス・シーンを写真に撮られてしまった。ビデオにも撮られている。そこには、芽衣自身が兄との関係を認めた声が録音されている。それも、オナニーの最中の声なのだ。また、昨日のことも気になった。『お仕置き』と称して、兄に縛られて愛撫された。部屋の窓は開いたままだった。覗かれていないかが心配だ。全裸にされた頃には部屋は暗くなっていたので、きっと見えてないだろう。どこまで見られたのだろう。芽衣は、見られいないことを祈るだけだった。

 体育館ロビーには、3人が待っていた。ロビーを挟んで右側にある女子更衣室、左側には男子更衣室がある。3人は、カメラの準備をしながら女子更衣室前で芽衣を待っていた。
「はぁ、はぁ、……、ごめんなさい。委員会が延びてしまって……」
 芽衣は、荒い息を抑えながら3人を見た。
「芽衣ちゃん、時間が少ないの。すぐ着替えて」
 真由美が芽衣を、更衣室に急がせる。柴田は、意味ありげにニタッと笑った。
(昨日のこと、見られたんだ)
 芽衣は、悪い予感がする。一緒に更衣室に入ろうとする柴田と藤原を真由美が遮る。
「何ついてきてんのヨ。これから着替えなんだから。男子はだめよ」
「チェッ、残念……」
 舌打ちする柴田と藤原を残し、芽衣と真由美は女子更衣室に入った。

「早く着替えて、5時半からはママさんバレーが体育館を使うの。それまでに撮影を終わらせないといけないから……」
「今日は、どんなところを撮るんですか?」
 芽衣は、不安な表情で訊ねる。昨日は、要求されたことではないしても、部室でのオナニー・シーンを撮影されてしまった。兄に縛られて絶頂を迎えたことを知られてるかもしれないという不安もある。今までのことをネタに、破廉恥なことを要求されかねない。真由美は、芽衣のそんな脅えた表情を察しし言った。
「大丈夫よ。芽衣が体操部で、体操の練習をしてるところを撮るだけよ。芽衣がイヤだといえば辞めるから」
 秘密を握られている以上、イヤとは言えない芽衣に、そう言いながら、紙袋を芽衣に渡した。
「この中に、レオタードが入ってるから。やっぱりレオタードよね、体操部って言ったら……」
 芽衣は、渡された紙袋を床に置き、制服を脱ぎ始める。
(レオタード、着なくちゃいけないんだ)
 小学生の頃、クラシックバレエを習っていた芽衣ではあるが、高校生になった今、それを着ることには抵抗を感じた。小学生の頃とは体形も違う。腰は細くなり、胸もお尻も大きくなりだしている。女性へと変化している過程の、少女特有の危うさがある。

 芽衣は、俯いたままブラウスを脱ぎ、スカートを脱ぐ。下着とソックスだけになったとき、背後に真由美の気配を感じた。真由美は、芽衣を背中から抱きしめた。
「いやっ、なにするんですか?」
「芽衣ちゃん、胸、大きくなったんじゃない?」
 真由美の両手は、芽衣の相乳にあてがわれ、ブラジャーの上からギュッと掴んだ。
「やめてください」
「いいじゃない。女性同士なんだから」
 芽衣は、真由美の手を古い払おうとするが、真由美は、ブラジャーの上から胸を強く弱く揉んでくる。芽衣の背中には、真由美の胸が押し当てられている。真由美のブラウス越しに押し当てられた胸は、芽衣の幼さの残る胸とは違い、大きく柔らかい女性のものだった。芽衣は、その胸に圧倒され、なぜか耳を赤くする。抵抗も弱まる。真由美の指が、ブラジャーの上から芽衣の乳頭を的確に摘む、コリコリと転がす。
「だめです……。やめてください……」
「そうね、早く着替えなくちゃね。時間もないことだし……」
 芽衣は、真由美の手から開放されるが、心臓のドキドキが止まらない。
(真由美さんの胸、大きい……)
 女性に胸を触られたことと、背中に押し付けられた真由美の胸の大きさに、芽衣は驚いていた。両手にコップを持った真由美が言う。
「飲む? 今日も暑いね」
 下を向いたまま俯いていた芽衣に、真由美がコップに入ったジュースを差し出した。
「はっ、はい」
 芽衣は、胸のドキドキを押さえようと差し出されたジュースを一気に飲み干した。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊