哀妹:芽衣
木暮香瑠:作

■ 羞恥一日奴隷2

 夢の中の芽衣は、恥ずかしいくらいに淫らだった。兄は昨日の夕方から合宿に出かけて留守だ。出かける前、兄により責められたが、最後までイかせてもらえなかった。絶頂を迎える寸前を何度も味わわされた。しかし、決してイくことを許してくれなかった。身体の奥に、絶頂を味わわせてもらえなかった燻りを残したまま寝入っていたのだ。兄が家にいない不安と、燃え上がった炎を消さぬまま眠ってしまったことが卑猥な夢を見させた。自分の本心を、心の奥ふかくに潜んだ魔性を見たようで、羞恥心が増す。顔が熱り、身体中が熱くなる。
(わたし、あんなことを考えてるの? あれが私の本性なの?)
 淫らになっていく自分が怖くなる。怒張を求めて腰を振る自分が、夢の中にいた。
(ちっ、違う! あんなの私じゃない。私じゃあないわ)
「早く起きなさいってば、いつまで寝てるの?」
 また、母の声が階下から聞こえてくる。
「はっ、はあーい」
 芽衣は、ベッドから起き上がった。その拍子に、秘孔に溜まっていた愛蜜がとろりと流れ出る。流れ出た愛液がパンティーに大きな染みを作っていく。薄い生地が、柔肌の膨らみに張り付いていく。
(いやだ、濡れてる。履き替えなきゃ……)
「お友達が待ってるわよ。なにしてるの? 早く降りてらっしゃい! 私は出かけるから……」
 母の催促の声がする。芽衣は、急いでパジャマを脱ぎ、Tシャツとスカートに着替えた。慌てていたため、パンティーを履き替えることを躊躇った。
「早くしなさい!」
「いま、今行く」
 ベッドの上に目をやると、兄から貰ったバイブが転がっている。芽衣は、急いでバイブを机の一番下の引き出しに隠した。芽衣は、パンティーは履き替えないまま部屋を出た。

 階段を下りると、スカートの中に空気が流れ込み、濡れた股間がひんやりとする。
(いやっ、少しの我慢よ。すぐ乾くわ)
 芽衣は、自分をそう納得させリビングに急いだ。

 リビングには、体操部員の川田と岡本が待っていた。それだけでなく、柴田達3人もいた。柴田達が来ていることが芽衣の不安を募らせる。3人は、大きなバッグを提げている。カメラやビデオが入っているに違いない。
「みんな、ちゃんとお接待できなくてごめんね。これから、仕事に出かけなくちゃいけないの」
 芽衣が、リビングに着いたとき、母の彩子が、川田たちにそう告げ、出かける用意をしていた。
「いえ、お気使いなく。夏休みの勉強を一緒にするだけですから……」
 川田たちは、礼儀正しく母と会話している。
「芽衣、ジュースが冷蔵庫に冷えてるから、皆さんに出してあげてね。私は出かけるから……。帰りは遅くなるから、晩御飯は自分で食べてね」
 母は、芽衣にそう告げ玄関のドアを開ける。
「おかあさん……」
 芽衣は、言葉にならない小さな声を発し、母親の背中に不安な視線を投げかける。彩子は、芽衣の不安に気付くことなく出かけていった。玄関のドアの閉まる音が、芽衣の心の中に響く。家の中には、芽衣と川田たち5人だけになった。さっきまで、にこやかに会話していた川田たちの目が、芽衣に向けられる。その目は笑っているが、瞳の奥に冷たい視線を匂わせている。夏の暑い空気の中、芽衣は背中に寒いものを感じた。

「芽衣ちゃん、約束の一日奴隷ね。面白そう」
「何をして貰おうかな? 一日奴隷だもんね、芽衣は……」
 川田と岡本が楽しそうにしている。
「今日、一日だけですよね。体育館のことも秘密にしてくれるんですよね」
 芽衣は、2人に約束の確認をする。
「もちろん約束は守るわ」
 芽衣は、川田の言葉にほっとする。
「奴隷の証に、これを付けてね。奴隷にピッタリでしょ?」
 川田が取り出したのは、赤い首輪だった。川田と岡本は、首輪を芽衣の首に取り付けた。
(ああ、これでわたし、今日一日、2人の奴隷なんだ……)
 首に巻かれた赤い首輪は、芽衣に、奴隷として逆らえないことを自覚させた。

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