売られた少女
横尾茂明:作
■ 性の玩具2
寿司を食べ終わりしばらく放心状態でいたが・・、卓袱台の上の封筒を思いだして手に取った。
(旦那さん・・今月のお手当と言ったけど・・なんなのかしら?)
美由紀は封筒の中を覗いた・・(お金だ!)
恐る恐る中身を出した・・なんと千円札が三十枚も入っている・・。
(スゴイ大金!)
美由紀は驚いた・・(お手当って・・お小遣いのことなんだ!)
(でも・・一ヶ月で三万円も貰えるなんて・・)
(美智子が「うちのお父さんの給料二万六千円も有るのよ」って言ってた・・)
(それより多いなんて・・お小遣い・・そんなに貰ってもいいの?)
(私の体って・・そんなに価値があるのかしら?)
美由紀はお金の心配が解消したことで思わず笑みがもれた。
次の日、学校から帰り、お気に入りのワンピースに着替え、街に出た。・・すれ違う人々が美由紀の可愛さに振り返って見とれていた。
街で台所用品をひと揃い買い、家に一度帰り近所の店で米・野菜・調味料を揃え、シーツと新しい枕を買った・・。
薬局の前で立ち止まり・・心臓が張り裂けるほどドキドキさせながら店の中を覗いた・・どの辺りにおいてあるのコンドーム?
店に入る前に店の前を行ったり来たりし・・思い切り飛び込んでみたものの、恥ずかしさと・・中学生には絶対売ってはくれないだろうとの思いで・・諦めて店を出た。
そして気を取り直すように隣の時計屋に入り、目覚まし時計を買って帰った。
時計は八時を差している・・食事の用意を済ませ、ちいさな裏庭で壊れかけの七輪に火を熾しているとき政夫が「来たよ!」と裏庭に現れた。
美由紀は「お帰りなさい」と言いながら政夫の鞄を笑顔で手に取った。
「嬉しいこと言ってくれるね!」
政夫はニコニコして美由紀の頭を撫でた。
「すぐにご飯の用意を致しますからね」と言いつつ美由紀は奥に向かおうとした時・・不意に政夫に抱きすくめられ唇を吸われた。・・舌を強く吸われ自分が見る見る赤面していくのが分かった。
抱擁が解かれた時・・立っておれないほど目眩がした・・。
ままごと気分で料理の用意をしていた心に・・大人の現実が覆い被さった。
「旨い肉を買ってきたから七輪と鍋をもっといでよ!」
政夫はキスの事など挨拶程度と思っているらしい。
政夫と美由紀は遅い夕食を摂った。・・美由紀は生まれてこの方こんなに美味しい好き焼きを食べたのは初めてと感じた。
この時・・幸せ・・と感じたのは何故だろう・・。
「美由紀! 風呂は沸いてるか?」
「はい」
「じゃ一緒に入ろうな!」
「・・・・・」
「美由紀・・何を恥ずかしがってるんだ、さあさあ!」
立ちすくむ美由紀のスカートに手を掛け、「バンザイして」と促した。
政夫はオズオズとバンザイをする美由紀を後目に、一気に美由紀のワンピースを剥いだ。
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