夢魔
MIN:作

■ 第3章 浸食(梓)8

 稔はそんな弥生を見詰め手招きすると、先ほどソファーに放置した、道具を手に取る。
 それは、黒い革製の拘束具のような下着だった。
 稔はブラジャーを手に取り、弥生に着けて行く。
 そのブラジャーはカップの部分が異常に大きく、乳房全体を覆いアンダーのウイング部分も大きい。
 先端の乳首の部分には穴が空いており、その縁に固い輪っかが通っているのか、盛り上がっている。
 カップを乳房に馴染ませると、乳首を穴から出し輪っかを摘むと、乳首が絞り出される。
 背中のホックは無く、金具が二つ付いていて、締め込むとカチリと鍵の掛かる音がした。
 ストラップはスポーツブラのように、背中でクロスされ、カップが乳房から離れないように、作られている。
 そして、背中の真ん中を通るように、垂れ下がる帯状の物の、先端は左右に拡がっている。
 稔はその帯を弥生に見せて、先端から20p程の所に付いた、2本のバイブの説明を始めた。

「弥生良く聞くんです…これは、貴女の未熟な穴を鍛える道具で、このバイブには圧感センサーが付いています。このセンサーに正しい信号を送れば、仕掛けは作動しません。但し間違った信号を送ると、どちらかの刺激が送られます」
 そう言って弥生にバイブを持たせると、稔は背中にあるスイッチを入れる。
 暫くすると弥生の手に持った、バイブが動き始める。
 弥生は驚いた顔をしたが、稔が頷くと握り込んだ。
 途端に弥生は胸を押さえて踞り、悶え始める。
「いや〜っ…な、なに…凄い…オッパイが…オッパイが〜…ひー乳首に〜っ…」
 良く見ると取り落とした、バイブも激しく振動し、うねっている。
 稔がバイブを持たせ
「二ついっぺんに握り込むんです…アナルの方は根本の方ですよ…」
 そう言うと弥生は両手で、バイブを握り込む。
 すると、どうやらカップやバイブの、動きが止まったようだ。

 弥生は大きく溜息を吐いて、安堵の表情を浮かべ、稔に話しかけようとした時、またバイブが動いた。
 弥生は泣きそうな顔をして稔を見ると、稔はまた頷いた。
 弥生がまたバイブを握った瞬間
「ぎーがはぁーっ!」
 弥生は大きく目を開き、悲鳴を上げた。
 身体をビクビクと震わせ、悶絶しそうに成る。
 そして、数秒後もう一度弥生は悲鳴を上げる。
 弥生は急いで、さっきと同じように、バイブを握り込んだ。
 へたり込んだ弥生に、稔が説明を加える。

「今のように、間違った場所に間違った圧力を加えると、快感か苦痛が与えられます。判定時間は信号が送られてから5秒、いつ課題が出されるかは、解りません…いつでも絞められるようにするんですよ…。因みに苦痛の電撃は、オ○ンコやアナルは当然で、クリトリスや大淫唇にも流れますからね…」
 稔はそう言うと、弥生を立たせて股間を通し、アナルとオ○ンコにバイブを通すと、クリトリスを固定しT字型に拡がった先端を後ろで固定した。
 その形はTバックショーツと何も変わらなかった。
 最後に胸を反るように命じると、背中の帯を引き絞り長さを詰めた。
 これで、弥生は身体を屈める事も出来なくなった。
「ウンコは我慢して、オシッコはそのままして下さい…」
 稔はそう言うと、弥生の首輪を外し、洋服を与えた。
 弥生はそれを身に着けると、鞄を持って出勤する。
 こうして、弥生の長い一日が始まった。

 稔は弥生を送り出すと、ソファーに座り直し、足を組んで梓を見詰める。
 稔に見詰められ、梓は途端に心細く成り始める。
(ど、どうしよう…何て言ったら…良いの…。こんな、名前も知らない…息子ほど年の違う子供の前で…オナニーを…)
 そこまで考えた、梓の動きが止まる。
(そ、そうよ…まだ、私名前も教えてない…この人達の…名前も知らない…。逃げ出すなら…今…今しか無いわ…)
 梓はそう考えると同時に
(止められるの…あれを…忘れられるの…あの感覚…目を背けられるの…あの快感…)
 心の奥から囁くような声が、沸き上がってくる。
 梓の心は千々に乱れ、意識は激しく葛藤を始める。
 そんな、梓を黙って見詰める稔。

 そして、梓が答えを出しかけた時、稔はユックリ立ち上がり、梓のスプリングコートと鞄を、梓の目の前に置いた。
 稔はその後、無言で踵を返し、ビデオカメラを片付け始める。
 梓は稔の行動を見て、自分の心が今、何処に有るのかを、初めて知った。
(お、終わりだわ…何もかも…私は自分で閉ざしてしまった…メンツや立場で…背中を背けてしまった…)
 梓がそう感じた瞬間、梓の心は深い闇に飲み込まれ、強い恐怖感に襲われる。
 梓は自分が震えているのも、涙しているのも気づかず、只呆然と稔の背中を見詰めている。
 稔が振り返り、そんな梓を見て静かに語りかけた。
「何をして居るんですか…泣く程後悔をするなら、選択に要らぬ判断を交えなければ良いんです…。苦渋の選択が嫌なら…始めから望まなければ良い…。それら全てを超えて、自分の望む物を手に入れようとするのは、傲慢が過ぎませんか…」
 稔のあまりに理論的な言葉に、梓は幼子のように泣き
「でも…でも…私には…子供も、生活も、仕事も有るんです…それを全部捨てて…快感のために…自分の身体を鎮めるためだけに…生きるなんて…出来ない…」
 稔に訴えた。

 稔は梓の訴えに、驚く程明確な答えを示した。
「僕は貴女に全てを投げ出せと、一度でも命じましたか…? それ以前に、僕は貴女の名前すら知りませんよ…。僕に必要なのは、僕にかしずく奴隷で、貴女の社会的背景では無いんですが…」
 稔は梓にそう告げた後
「弥生は別ですよ…あれは僕に全てを投げ出しました…。でも、僕は貴女を拾っただけで、何も求めていませんよ…。一度でも貴女の生活を脅かすような、命令を僕がしましたか?」
 梓に弥生の話をした後、逆に問い掛ける。
 梓は稔の問い掛けに呆然とし、稔は更に追い打ちを掛けた。
「おそらく、貴女が僕に対する、隷属を認められないのは、僕との年齢差から来るプライドでしょう…。構いませんそんな愚にも付かない物に縋って、僕に服従できないなら、どうぞお帰り下さい…。そして、夢の中で空想の主人に、従えば良いでしょう…」
 稔はそう言って、リビングの出入り口を指さした。

 梓は稔の言葉に愕然とし、わなわなと震えた。
(全部…全部見抜かれてる…この人は…私の全部を見抜き切ってる…。年なんて…関係ない…この人になら…委ねられる…)
 梓は稔を見詰め、姿勢を正して平伏すると
「何度も…何度も間違いを起こし…申し訳ございません…。出来る事でしたら、私を今から、奴隷の端にお加え下さい…」
 稔に申し出た。
 稔は梓に近付くと、頭を踏みつけ
「2度目の不服従です…それでも奴隷に成りたいなら…扱いは酷いですよ…。それで良いなら、置いて上げましょう…」
 梓に言った。
 梓は全てを承知して、稔にかしずいた。

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