夢魔
MIN:作

■ 第6章 陥落(弥生・梓・沙希)5

 沙希は稔にその性質を見抜かれ、ボロボロと泣き始め
「やだ…そんなの…やなの…、身体だけを求められる関係なんて…嫌なの…」
 稔の視線の束縛から抜け出し、首を左右に振る。
「私は…沙希は…好きな人の…特別に成りたいの…そうじゃなきゃ…やなの…」
 そう言って力無く項垂れる。
「それじゃぁ…成って呉れるかい…? 僕の特別な人に成って、僕に感情を教えてくれる?」
 稔が沙希に問い掛けると、沙希は驚いた表情で、稔を見詰める。
「良いの…沙希で…」
 沙希は怖ず怖ずと、稔に問い返すと
「僕はそれが出来る人を、ずっと探してる…沙希にそれが出来るなら、僕にとっては欠け換えの無い人に成るよ…」
 稔は[出来る物ならね…]と言う言葉を飲み込み、沙希に答えた。

 沙希は稔の言葉を聞いて、ジッと考え込み始めた。
(柳井君が人と違うのは、本当の話みたいだし…私も、義父の言った通りかも知れない…ううん…多分そう…。だって、さっきの自分の身体…柳井君の言うとおりだったモン…)
(私が柳井君の事を好きに成ったのも、多分こういう所に惹かれたんだ…だって今でも…大好きだもん…こんな事されても…嫌いに成れないモン…)
(このままでも…良いかもしれない…。このまま…柳井君の、側に居れるなら…柳井君の、特別な人に成れるなら…)
 沙希が考えをまとめて、口を開き掛けた瞬間
「でも、そう成るためには…僕を満たしてくれる人じゃなきゃ…僕を理解し…僕の望みを叶えてくれる人じゃなきゃ…無理だよ」
 稔が静かに口を開く。
 沙希は半分心を決めながらも、自ら進んで踏み出す事を躊躇った。
 稔の言葉に、即答する事が出来なかったのだ。

 しばらくの沈黙の後、稔がユックリと背を向けて立ち去ろうとした時、沙希は反射的に稔の服の裾をまた掴んでいた。
「ご免なさい…ごめんなさい…グズな沙希を許してください…」
 沙希は稔にしがみつくと、泣きじゃくりながら詫びた。
 稔は動きを止め、背中にしがみつく沙希に
「何を許すんだい…沙希は何か悪い事をしたの?」
 穏やかな声で、質問する。
「柳井君が丁寧に教えてくれたのに…自分で約束してて、こんな事に成ったのに…柳井君のせい見たいに言って…柳井君を困らせて…全部…全部沙希が悪いのに…それでも、怒られないから…ムキになって…ごめんなさい…」
 沙希は稔の背中に顔を、埋めて大泣きした。
 稔は黙って、沙希が落ち着くのを待つと
「さっきも言ったけど、僕は人間とは呼べない存在かも知れない…こんな僕でも良いのかい?」
 稔が静かに語りかけると
「沙希は、奴隷に成ると約束しました。その時点で私も人じゃ有りません…ご主人様…私を調教してください…」
 沙希は頭の中を、真っ白にして稔を受け入れた。

 稔はクルリと身体を回し、沙希に向き直ると
「ありがとう…」
 小さく呟き、沙希の身体を抱きしめた。
 すると、沙希の身体に変化が起き始める。
 身体全体が赤みを帯びて、上気を始め、沙希の頬が染まり、目が蕩け始める。
(あふぅ…なんか…変…身体が…ゾワゾワする…。何か…気持ちいい…)
 沙希は頭を空白にして、稔を受け入れた事により、淫夢の効果が現れ始め、執拗に覚醒させられたマゾの快感が、頭を持ち上げ始めた。
 稔は沙希を抱きしめる手に、力を込めると
「あふぅ〜…はん…」
 沙希の唇から、熱い吐息が漏れる。
 稔はその声を聞き、顔を放して沙希の表情を見詰める。

 沙希の顔は、紅潮し瞳を潤ませている。
「沙希は人間じゃないって言ったよね…じゃあ、沙希は何になったの…」
 稔が優しく、沙希に問い掛けると
「はい…沙希は奴隷です…人間以下の…[物]です…」
 沙希は稔に即答する。
 その途端、沙希のオ○ンコから、ドクリと愛液が溢れ出し、身体をビクリと震わせる。
(なに…これ…どうしたの、わたし…からだが…びんかんになってる〜ぅ…)
 沙希は自分に起きた変化が、自分で理解できず、戸惑いを表情に浮かべる。
「沙希…僕の事を、呼んでごらん…沙希に相応しい呼び方で…」
 稔が沙希の耳元に、優しく呼びかけると
「は、はい…ご主人様…」
 沙希が服従の心を混ぜながら、その名を囁いた。
 すると、沙希は目を大きく開き、驚愕の表情を浮かべる。
 身体の内を、ゾワゾワと得体の知れない快感が、走り抜け沙希を驚かせたのだった。
「沙希がマゾだって解った…? 今の快感は、その証拠だよ…」
 稔が優しく言うと、沙希はブルブルと震え
「私が…マゾ…」
 小さく呟いた。

 自分の身体の変化に、戸惑い[マゾ]だと宣言された沙希は、稔を見詰める。
「うん、だから僕に囁かれ、応えるだけで、こんな風に成るんだ…」
 稔は沙希のオ○ンコに、ソッと手を添え愛液を掬い取る。
 沙希の目の前に差し出された、稔の指には粘りけが有る程の濃い愛液が、大量に付いていた。
「さぁ、口を開けて綺麗にしなさい…、自分の味を知るんだ…」
 稔の声に沙希は目を蕩かせ、意志を無くしたかのように唇を開き、稔の指に舌を這わせる。
(あふぅ…なまぐさい…でも…いやじゃない…ううん…おいしい…。これが、わたしの…あじ…)
 沙希はウットリとした表情で、稔の指に舌を這わせる。
「どう、美味しかった?」
 稔は綺麗に舐め清められた、指を引っ込めると沙希に問い掛ける。
「あ…は、はい…とても美味しかったです…あ、あの…ご主人様の指がです…」
 沙希は稔の指を、名残惜しそうに見詰め、頬を赤らめ答えた。

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