夢魔
MIN:作

■ 第21章 暗躍4

 女性の傷跡は、深い裂傷、肉の抉れた跡、綺麗に並んだ穿孔、それらの物が身体中に、無数に有る。
 そして乳房の両の頂に、有るはずの物が根本から消えていた。
 最も酷い傷跡は、左股の根本に有る、裂傷と肉の抉れた跡だった。
「明日香…代償は何だった…」
 佐山が静かに女性に問い掛けると、明日香と呼ばれた運転手は、脚を大きく開いてオ○ンコを晒し、クリ○リスの皮を剥いた。
「示せ…」
 佐山がそう言うと、明日香と呼ばれた女性は、大きく足を拡げた股間に指を這わせ、佐山の目の前でオナニーを始める。

 乳房に左手を添え、右手で股間を嬲る。
 乾いたオ○ンコに細いしなやかな指が、深く差し込まれ、掻き出すように動き始めた。
 沈黙の落ちている佐山の自室に、やがてニチャニチャという音が耳を打ち、荒い吐息が響き始める。
 湿った音はやがて潤いを強くした、ピチャピチャという音に変わり、荒い息は熱を帯び始めた。
 ごく普通のオナニーだった。
 佐山が声を掛ける、ここまでは。

 佐山はつまらなさそうに、明日香のオナニーを見詰め、ボソリと呟く。
「感度を上げろ…そうだな10倍だ…」
 佐山の言葉を耳にした明日香の身体が途端にビクンと跳ね上がる。
 明日香の目は大きく開き、口は限界まで開けられ、舌が飛び出しヒラヒラと舞う。
 全身に鳥肌が立ち、腰が別の生き物のように蠢き始め、オ○ンコからはお漏らしのような愛液が溢れ出す。
 だが、開いた口からは、一切の声は漏れない。
 無言で明日香は、想像を絶するオナニーを続ける。

 明日香の身体は数秒で、噴き出す汗のためテラテラと光り始めた。
 全身の鳥肌は消えては現れ、現れては消えるを繰り返し、体中の感覚がパニック状態を起こしている事を知らせる。
 頭は意味も無く振り回され、長い黒髪がバサバサと乱れ、表情を隠す。
 だが、その髪の間からチラチラとたまに覗く美貌は、快感に浸る顔では無く、酷い苦痛に耐えるように歪んでいた。
「顔は動かさず、こっちに見せろ…」
 佐山はまた静かに命令すると、明日香の顔は佐山の正面に向けられ、動かなくなり歪んだ顔を晒す。
 佐山は命令を発しても、興味が無いように無視をすると、部屋の隅に向かって指を伸ばし、パチンと指を鳴らす。
 佐山のその音に、ショートヘアーの女性が反応し、身体の自由を取り戻して、佐山の元に小走りで現れ跪く。

 佐山は右手をコップを持つような形にして、女性の前で揺らすと、女性は直ぐに平伏し頭を下げ、立ち上がって部屋の奥に消える。
 この女性の欠損は正面から見た時は、比較的少ないように見えたが、背中を向けた時その酷さが現れた。
 女性の背中からお尻に掛けた一面に、鋭い刃物のような物で書かれた落書きが、ビッシリと有った。
 落書きはどれも卑猥な物で、女性を侮蔑している。
 そして、女性のお尻の真ん中から、大きなアナル栓の底が覗いていた。
 アナル栓は細いチェーンで、縦に押さえられている。
 そのチェーンは、女性のお尻の付け根に着けられた、ピアスに繋がれ真っ直ぐ股間へ伸びていた。
 この女性は、アナルの括約筋が切れてしまい、自分でアナルを締める事が出来なくなっていたのだ。

 女性が奥から戻ってくると、トレイにビールとコップを乗せ、戻って来る。
 佐山の横で立ち止まった女性は、佐山の手にグラスを収めると、お酌をしトレイを持ったまま待機した。
 佐山はクッとビールを一口舐めるように飲むと、明日香に目を向ける。
 明日香の大きく開いた目からは、ボタボタと大粒の涙がこぼれ落ち、頬を濡らしていた。
 明日香はオナニーを初めて5分、感覚を強められて2分経つが、1度も絶頂を迎えていない。
 この館の女性達は、佐山の許し無しに絶頂を迎える事は、禁止されていた。
 その為、どれ程の快感に身を灼かれても、それが突き抜けて行く事はなかったのだ。

 暗示により限界まで鋭敏にされた性感を嬲り、その手を緩める事も出来ず、それが突き抜けて行く事もない快楽地獄。
 明日香はそこに身を置き、悶え苦しむ。
 声を上げる事も出来ず、明日香は気が触れない事を神に祈りながら、自分の身体を責め苛んだ。
 佐山はそんな明日香を何の興味もないような目で、黙ってビールを舐めながら見詰める
 無慈悲な支配者にとって、これは日常の罰なのだ。
 歯を磨き顔を洗うような事に、いちいち心動かしたりはしない。
 佐山にとっては、明日香の快楽地獄も、その程度の物でしかなかったのだった。

 チビチビと舐めていたビールも底を突くと、30分ほどの時間が経っていた。
 明日香の瞳には、恐らくもう何も映っては居ないだろう。
 瞳孔は開き、大きく開け過ぎた口の端が切れ、血が滲んでいる明日香の顔は、佐山の方を向いていたが、それだけだった。
 ヒラヒラと動く舌が、妙に憐れだった。
 佐山はそんな明日香から、横に成っている沙希に目を向けると、ソッと手を頬に添え
「さぁ、目を開けてご覧…」
 沙希の眼を覚まさせる。
 沙希の目はスッと指示通り開き、滲んでいた目の焦点を佐山の顔に向け、絞り込む。
「私が誰か解るかい?」
 佐山が沙希に問い掛けると
「さ…、佐山の…おじさま…」
 モソモソと身体を起こしながら、ポツリと呟いた。

 佐山はその反応を見て、心の中でニヤリと笑い
「そう、佐山だ…。沙希ちゃんは小父さんの事をどう思ってるかな?」
 再び口を開いて、優しく問い掛ける。
「沙希のおんじん…で…とっても…やさしい…いいひと…。沙希は…おじさんの…ためなら…なんでもしちゃう…」
 沙希は呆然とした表情を佐山に向け、正座の姿勢を取りながら、ポツリ、ポツリと答えた。
「良い子だ…さあ、おいで小父さんが抱き締めてあげよう」
 佐山がそう言うと、沙希は膝立ちになり、佐山の腕の中に身体を投げ出す。
 佐山はそんな沙希を優しく抱き締め
「小父さんが、沙希ちゃんの悩みを何でも聞いて上げよう…だから、小父さんに、有った事全てを知らせるんだよ…」
 沙希の耳元に優しく囁く。
 沙希は佐山の腕の中で、コクンと頷き
「やさしいおじさま…だいすき…」
 佐山に縋り付いた。
 佐山はニヤリと、残忍な微笑みを浮かべ、沙希の頭を優しく撫でた。

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