夢魔
MIN:作

■ 第25章 胎動31

 試合は4ゲーム目を迎えていた。
 春菜はパンティー一枚で、ボールを追い掛けている。
 庵のボールは、前後左右に春菜を振り回し、必ずギリギリで返せる位置に落ちていた。
 必然春菜はコート中を走り回り、汗だくに成ってボールを打ち返す。
「ほらほら、どうした…足が縺れてきたぞ…。偉そうな事を言う割りには、体力がないな…」
 庵は揶揄しながら、ボールをコントロールして、春菜を走らせる。
「どうした、早く1ポイント取れよ。セットが取れたら、服を着させてやるって言ってるだろ…。それとも、何か? その貧相な裸を晒して、俺をなんとか出来るとでも、思っているのか?」
 庵の言葉は、春菜のプライドを踏みにじり、庵のボールは、春菜の自信を根こそぎ突き崩す。

 春菜の足が縺れ、コートに突っ伏すと沙希の声が、コールされる。
「ゲーム…。ゲームカウント4−0…」
 沙希は審判台の上から、春菜を見つめていた。
(あれ、辛いのよね〜…。自分の自信とか、み〜んな無く成っちゃう…)
 かつて、自分が味わった時の事を思いだし、沙希は春菜の心情を理解していた。
(う…そ…うそよ…こんなの…ありえないわ…)
 春菜は疲労困憊した身体を持ち上げ、庵を見上げる。
「ほら、サッサとしろ…。遅延行為は、マナー違反じゃなかったか…」
 庵は春菜を見下ろし、冷たく言い放った。
 春菜はガックリと項垂れ、パンティーに手を掛ける。

 コートに庵が立つと
「お前、もう脱ぐ物ねえだろ? 次はどんな恥を晒すつもりだ? まあ、この試合結果が、大恥だろうけどな…。犬の真似でもして貰うか」
 春菜に向かって、問い掛けた。
「も、もう…すきに…しなさい…」
 春菜はフラフラに成りながら、サーブの姿勢を取った。
 力無いサーブが、庵のサーブコートに入り、庵は短い球を打って、春菜を誘い出す。
 春菜は走り込んで、ボールを打ち返すとラケットがすっぽ抜け、庵に向かって飛んでいった。
 庵はボールを打ち返しながら、ラケットを胸板で受け止める。

 春菜のラケットは庵の足下に落ち、春菜は両手で口を覆い固まっていた。
「そうか、そこまでしてポイントが取りたいのか…。良いだろう…お望みの展開にしてやる…」
 庵が足下のラケットを拾い上げ、春菜に向かって放り投げると、レシーブ位置に着いた。
 春菜はどうして良いか解らないような仕草で、オロオロとするが
「どうした、早くしろ!」
 庵の低い恫喝の声で、ビクリと震えラケットを手にして、サーブ位置に移動する。
 春菜がサーブを打つと、庵はまた短い球で、春菜をおびき寄せた。
 春菜は先程の強打で、手が滑った事を思いだし、ロブを上げて体勢を立て直す。

 浅いロブが上がると、庵は猛スピードでそのボールの落下地点に移動し、走り込んできた速度と体重を乗せ、思いっきりスマッシュを打ち込んだ。
 庵の打ち込んだスマッシュは、一直線に春菜の乳房を直撃する。
 ビシィーッと凄い音を立て、ボールは跳ね返り再びロブの様な弾道で、庵のコートに返る。
 庵は再びボールの落下地点に入り、更にスマッシュを打ち込む。
 再び打ち込まれたスマッシュは、乳房を押さえ踞る春菜の逆の乳房に命中した。
「ぎひーーーっ! 痛いー」
 春菜は悲鳴を上げ、踞ると
「酷い…酷すぎるわ…」
 丸まったまま、庵に抗議する。

 庵は春菜に向かい
「先にラケットをぶつけたのは、お前だぜ! これからは、遠慮しないで打ち込んでやる。覚悟しろ」
 低い声で、春菜に告げるとレシーブ位置に着いた。
 庵は踞ったまま、動かない春菜に痺れを切らせると
「おい、こんなボディーショット、何処にでも有るだろ! それとも何か? お前は身体にあたる度、そうやって動かなくなるのか? お前良くそんなんで、プロに成ろうとしたな…。まぁ、言うだけなら、誰でも言えるがな」
 春菜に侮蔑を投げつける。
 春菜はプロ志望だった事をなじられ、涙を拭って身体を起こし
「貴男に、そんな事言われる筋合いは無いわ!」
 気丈に食って掛かる。

 だが、庵の言葉は更に春菜を追いつめた。
「へ、お前の大言壮語に騙されて、貴重な時間を潰された奴がそこに居て、お前は良くそんな事が言えるな…」
 沙希をラケットで示して、春菜に追い打ちを掛ける
「おい、沙希…。俺との練習で、今のようなボディーショット何回有った!」
 庵の質問に、沙希は
「はい、数えきれません! でも、ボディーショットは、マナー違反かも知れませんが、ルール違反じゃないですし、それを避けられない方にも、責任があると思います」
 ハッキリとした、大きな声で答えた。
「おい、どうだよ? 甘ちゃん先生…。プロを目指していたお前より、高々高校生の方が、シビアな世界に生きてるぜ」
 庵の言葉は、春菜を打ちのめすのに充分だった。
 春菜は何も反論が出来ないまま、項垂れて立ち上がり、サーブ位置に戻った。

 春菜はサーブを打つと、前に出され庵のボディーショットを食らう。
 それを当然のように受け入れ、諦めた。
(もう良い…こんな事…もうイヤよ…。テニス部を辞めよう…、私に顧問の資格なんて無い…)
 春菜はテニスを辞める事まで考え、只茫然と佇んだ。
 そんな、春菜の心の動きを庵は見つけ、激怒した。
 ゲームが終了し、春菜のサーブが終わっても、庵は何も要求する事無くサッサとサーブ位置に着く。
 庵はサーブの姿勢を取り、全身の筋肉を総動員する。
 ミチミチと盛り上がる筋肉に、沙希が恐怖で顔を染めるのと、庵がトスを上げるのが殆ど同時だった。
「この馬鹿女ー!」
 庵の怒声と共に、打ち出されたボールは、ノーバウンドで春菜の股間にヒットする。

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