夢魔
MIN:作
■ 第32章 崩壊52
暴走した悦子の被害者達は、完全に物として痴態を晒し、悦楽の声を上げる。
7人はサディスト達の求めにより、その身体を委ねた。
開始前の悦子の命令により、人形達は目の前の男に奉仕し、快楽を訴える。
男達はその滑らかさに驚き、感嘆した。
(完璧なマインドコントロールだ…)
サディスト達はその人形を抱きながら、ホールの真ん中にひっそりと立つ、小学生のような少女に賞賛の視線を向ける。
自動人形の参加でフロアー内は興奮度が上がり始め、徐々に男達は本性を現す。
そんな中でも、苛烈な処罰を与える男が居る。
キッチリとしたグレーのスーツに身を固めた、銀髪の男だった。
男はニコニコと一番柔和な表情を浮かべ、尤も苛烈な仕打ちを行う。
ビールを零した女性徒のアナルから、ビール瓶を引き抜くと
「君は、ここに居るべきでは無い…」
そう呟いて、指で栓をして振ったビール瓶を女性徒のアナルに差し込んだ。
女性徒の直腸に、勢いよくビールが流れ込み、女性徒は直腸からアルコールを吸収して、ダウンする。
男はにこやかに[備品]の女性徒を次々と廃棄させた。
有る女性徒は、アナルの伸びた皺に針を刺され、またある者は骨盤の隙間から、正確に直腸内のアルコールタンクを貫かれた。
身体に無数の針を刺された、女性徒達は急性アルコール中毒で、次々にサロンから運び出される。
いつの間にか、サロン内で給仕をするのは、拓人と慶太の監督する[備品]だけに成っていた。
そんな男を、キサラはジッと見詰めている。
銀髪の男はそのキサラの視線を感じながらも、一度もその視線を受け止めない。
パーティーが始まり40分が経とうとしている。
時刻は20:40、稔が分院で気絶している時間だった。
この後パーティーは女教師達の処罰に入る。
◆◆◆◆◆
稔は分院内に入ると、直ぐに昏倒から目覚めた。
頭を振りながら、顔をしかめ
「僕は…。ああ、バイクを撃ち抜かれたんですね…。あ、黒沢先生外の状況はどう成りましたか?」
自分の意識をハッキリさせると、状況を確認し黒沢に問い掛ける。
「ああ、ヤクザは半分に減ったが、ライフルを持った者が2人いる。こいつ等がかなり厄介だ…」
稔に状況を告げると
「な、何じゃありゃ? 人が飛んどるぞ」
その黒沢の言葉を山孝の驚きが掻き消す。
山孝の驚きを確認する為、黒沢と稔が窓に取り付くと、人がボロ切れのように飛んで行く。
「な、何だ…化け物か…」
黒沢が、あまりの事にポツリと呟くと
「い、庵! な、何でこんな所に…。いや、それどころじゃない、黒沢先生早くヤクザを掃討しないと、死人が出ますよ。庵の奴、ブレーカーが飛んでます。一切加減してない」
稔は驚愕して、直ぐに玄関に向かった。
稔の行動に素早く黒沢と山孝が反応し、玄関に向かう。
稔達が分院の外に出た時は、ヤクザは既に6人に成っていた。
庵の皮つなぎは、ヤクザの返り血で血塗れに成っている。
稔達3人は背後からヤクザに近付き、昏倒させると、庵が銃弾をかわしながら、2人を屠る。
1人に成ったヤクザは、4人に囲まれ、顔を引きつらせて銃を捨てた。
4人の顔を見渡しながら、両手を上げて投降すると
「1人だけ生き延びようなんて…、甘くねぇか…?」
庵がニヤリと笑って、男の胸ぐらを掴む。
男は嫌々をするように首を振って、許しを請うが庵が拳を後ろに引き、勢いよく男の顔面に振る。
男は死を予感し、その場で失禁して気絶した。
庵はヤクザの胸ぐらから手を離し
「根性ねぇな…」
ボソリと呟いて、気絶したヤクザを見下ろす。
庵の拳は、ヤクザの顔の数o手前で止まり、ヤクザは拳の風圧だけしか受けずに失神したのだ。
庵は顔を上げ、稔に視線を向けると
「ただいま戻りました」
稔に挨拶する。
稔は無表情で庵を見詰めると
「色々聞きたい事は有りますが、今はお帰りと言っておきましょう」
低く涼やかな声で、庵を迎えた。
20:50分院は稔達の手により、完全制覇された。
◆◆◆◆◆
伸也は荒れていた。
とてつもなく、不機嫌だった。
場所は繁華街から少し離れた公園だった。
理由は女に振られたからで有り、ギャンブルで大負けしたからだった。
「くそ〜! 愛理のやろう! 何が[バイバイ]だ…! お前にいくら金使ったと思ってやがる! 100や200じゃねぇぞ!」
伸也は[ゴン]とベンチを蹴りながら、去って行った女をなじった。
「畜生…。あそこで、00は無いよな…。あそこは、絶対勝ってる筈だったんだ…。くそ、会員証まで取られちまった…」
伸也はガックリと肩を落とし、溜め息を吐く。
ポケットの中は小銭が少々有るだけで、札は綺麗に無くなっている。
今日伸也は、愛理を連れてドラドに行く時は、300万円の金がポケットに入っていた。
それが、僅か3時間で会員証まで無くしてしまう、大負けをした。
愛理は伸也に愛想を尽かせて、別れを告げる。
3時間で1千万円負ける人間を見れば、誰でも愛想を尽かす。
ましてや、それが高校生であれば、普通の神経の持ち主なら、絶対に付き合わないだろう。
だが、伸也は普通の金銭感覚が、壊れていた。
それは間違い無く、狂のせいだった。
伸也は狂に教えられた株取引で、1日に億単位の金を稼いだ事もあった。
それは、忘れられない興奮だった。
しかし、今はその株取引も、鳴かず飛ばずで有る。
1日で200万円勝ち、次の日には400万円負ける。
そんな日々が続いていた。
そんな伸也の負債は、2億円を軽く超えている。
伸也は再び溜め息を吐くと、ポケットに両手を突っ込み
「学校行って、憂さでも晴らすか…」
ボソリと呟いて歩き始めた。
トボトボと歩く姿は、完全な負け犬である。
時刻は21:00頃、伸也の知らない所で、運命の歯車が回り出していた。
■つづき
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