夏休みと淫魔が巣くう聖堂
有利書:作

■ 第1章2

男は、何構わず茉莉をデジタルカメラに収めていた。
「貴方は、先程あちらのリポーターさんに500万で買わないか? そう、いいましたね。」
茉莉は、男に訊ねた。
「まあね、だが500万なんて安いもんだろ。」
とニヤ付きながら茉莉の問いかけに答えた。
「500万・・それで、いいのかしら?」
険しい顔で、茉莉が呟いた。
「お?買ってくれるのかい?」
と、男が茉莉に呟いた瞬間。
「光牙惨殺破斬!」
茉莉が、叫び箒を振り下ろすや竹箒から白き獅子の頭部が男に向けて飛んで行った。
「な、なんだよ・・これ・・ぐわあああっ。」
光り輝く獅子の頭部は、男の顎に命中し男は仰向けで地面に倒れ込んだ。
「映像を消すのは10分後ですよ。」
とだけ、呟くと茉莉は家の中へと入って行った。
10分後、1台のパトカーが結城神社に来た。
警察は、野次馬や女性リポーターに男を一撃で倒した少女の事を話したが、その少女が結城茉莉だと判明するや突如事情徴収を終え男を脅迫未遂の現行犯で所轄の警察署に連行して行った。
証拠は、男性が盗撮した映像であり男が女性リポーターに映像を「500万で買わないか?」といった男の声が脅迫の動かぬ証拠になったのである。
どうして、警察は結城茉莉の名前を聞いたとたん事情徴収を打ち切ったかは不明である。


数時間後、とあるニュース番組で茉莉の事がニュースで取り上げられた。
茉莉が、奥義で盗撮犯を倒した時の映像がカメラマンに撮影されており、ニュースで映像が流された。
番組の途中で、プロデュサーが1枚の紙切れを男性アナウンサーに手私し、その紙切れをアナウンサーが読み上げた。
「先程のニュースの放送時にたくさんのコメントが
等テレビ局のサイトに寄せられましたのでその一部を読み上げたいと思います。
「朝から、良い物を見せてくれて有難う」
「あの、女性リポーターを犯したい。」
「こんどは、俺が捲ってやる。」
「あの、女子高生TUEEEE・・・・」
「などのコメントが、寄せられましたが等番組では、警察のご指導の元で対応したいと思います。」
と、アナウンサーが発言した。

「警察の指導の元で、対応した言って言ってるけれどあのような映像を流してるけれど警察の許可は貰っているのかしら、それにBPOはどう動くのかしら。」
茉莉は、部屋でテレビを見ながら呟いた。
境内の掃除を終え、朝食まで時間的には余裕があるのでテレビを見て時間をつぶしていたのだ。
時刻は、午前7時45分を過ぎていた。
「そろそろ、学校へ行く時間かな。」
茉莉は、テレビを消し鞄を持って玄関へと向かった。
「いってきまーす。」
茉莉は、呟き境内へと躍り出た。
茉莉の神社から学校までは、役30分前後の距離の為予定では8時15分位には学校に到着するのである。
「お、結城茉莉だ。」
カメラを持った、大勢のリポーターや野次馬が茉莉の姿を見かけるや一斉に駆け寄ってきた。
「結城茉莉さん、一語と宜しいですか」とか
「コメントを頂けないでしょうか」
とか、いろいろ話しかけてきた。
「あ、イケナイ・・忘れものだ。」
と呟き、家へと戻って行った。

「はあ、どうしてこうなったのか・・。」
茉莉は、ため息をついた。
自分がやらかしたこととは言え、茉莉にとってはこれがまた、迷惑な話なのである。
報道陣を突破して、学校へ行っても同じ大騒ぎになりかねないと茉莉は思い込んでいた。
「茉莉ちゃん、一語とお願いしますよ。」
外では、コメントを求める報道陣がいた。
「今日は、学校遅れて行こう。」
呟いた茉莉は、部屋に戻り外から外を見るや外では、あらず報道陣が茉莉を待っていた。

時刻は、8時を回り今からだと遅刻は確定である。
茉莉が通う学校は、とにかく不祥事を嫌っており茉莉がしでかした事が不祥事だとなれば茉莉も到底ぶじでは済まない恐れがある。
良ければ、停学で済むが最悪の場合退学処分になる。
高校は、義務教育ではないため退学になった場合茉莉は他の学校へ行くことは出来なくなるのだ。
「裏口から、抜け出すか。」
茉莉は呟き、部屋を出た。
茉莉は、家族と住んではいるが別の部屋があり本来居る部屋と別部屋とは渡り廊下でつながっておりその渡り廊下を使えば自由に往復が出来るのだ。

別部屋から、抜け出し報道陣を巻くことにせいこうした茉莉は、そのまま学校へと足を運んだ。
「結城さん、お早うござます。」
鳥居をぬけ、歩道を歩いている茉莉に1人の少女が茉莉に声を掛けてきた。
「あ、ファーナさん・・」
茉莉が声を上げた。

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