縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第5章「魔手」7

探り当てたスイッチは間違いなく off になっていた…
「んんぁぁムムぁぁ〜ううぅぅぁ」

「あづみせんせい… 大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ・・少しお腹が痛いだけだから…」
陽子が近付くのを手で制するような仕草をする。
テーブルの淵を強く握っているあづみの両手は、フルフル震えている。

『えっ…もしかして、先生… 感じているんじゃ…』
顔が赤く染まっているのは、お酒のせいだけではないように思えた。
どうみても、お腹の痛みに耐えている顔ではなく、性的な快感を感じているようにしか見えない…
そういえば、BGMに掛けた今井美樹のCDの歌声に紛れて、さっきから微かに何処からかモーター音らしい音が聞こえている
あづみは見るからに色っぽい目をして、声が震えていた…

『えっ…・・ もしかして…うそだ! やだ! あづみせんせい…』

さっきからあづみのセーターの胸ぐりから、チラチラ見えていたものが気になっていた。
普段は、外に響かない大人しい下着を着けている事が多いあづみが、派手な赤いブラジャーを付けているのかと思っていたら、今、あづみがテーブルに手をついた拍子に床に落とした箸を拾うために、身をかがめたとき、はっきり見えてしまった…
『はっ! 赤い縄だわ… 毎日、サークルの。あづみ。のホームページで見ているあの赤い麻縄だわ!…』

−誰かに命令されたのかしら… それにしたって…せんせいったら…
『先生のために、料理をこしらえて、先生を傷つけないように、上手に淫らな先生を諌めてあげようと思ってたのに…』
尊敬する大好きなあづみが、私の前でも”牝犬”の格好をして悦んでいる…
妹とも思えるといってくれたこの私までも、淫らな快楽を得るための道具にしているんだわ!…

陽子は強いショックを受けた…
−悲しみ…? 怒り…? 違う!…

無性に興奮して、血が沸き立ってくる。
陽子は何かに突き動かされるように立ち上がり、あづみの側に立った。
顔を伏せ、何かに耐えるように頭を揺らすあづみを見下ろしていた。

「せんせい!」
陽子が呼びかけると、あづみがゆっくり顔を向けて潤んだ目で陽子をみた。
スローモーションのように陽子の両手が、あづみのセーターの裾に伸びた。

勢いよく一気に首の辺りまで引き上げられたセーターの下から、赤い縄で歪に搾り出された乳房が部屋の明かりのもとに晒された。
「いやぁ〜〜〜! やめて! 陽子ちゃん… 何をするの?!」
「せんせい!何をするのって私が言いたいです!」
「何なんですか、この格好は!」
「これは… そ、そのぉ…」
あづみは、陽子が今までに見せたことがない厳しい表情に驚き、戸惑い、うろたえた。
それは、陽子も同じで、咄嗟に取った自分の行動に自分自身驚いている。
声が震え、うわずっていた。

「せんせい! 私の前でこんないやらしい格好をするなんて…
私に対してあまりに酷いと思いませんか?」
「あづみ先生の事、尊敬してたのに…
博多まで付いてきて、こんな姿の先生を見るなんて思いもしませんでした!」

「ご、ごめんなさいね、陽子ちゃん…」

『うぁぁぁ…ぁぁ、ううぅぅぁ…』
暫く止まっていたバイブがまたいきなり動き出した。

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