縄奴隷 あづみ
羽佐間 修:作

■ 第5章「魔手」28

恥かしさとともに怒りが込み上げ、すぐさま木島 紀子に電話を掛けた。
直ぐに彼女電話口に出たので、あづみは、無断で恥かしい写真を使用した事を抗議し、カタログの回収を強く依頼した。

『はぁ? 何なの、貴方は? 貴女の写真以外の他のボディピアスだって、全部我が社の社員が協力してくれたものなのよ!
貴方は、スペシャルエステの責任者で、施術を受けた数少ない人の一人で、しかも由紀社長に大抜擢された由紀社長に次ぐ広告塔なのよ!
伊達や酔狂で高額な最新エステを、唯で受けただけなんて許される話じゃないわよ! 何を考えているの!
責任者の貴女もやってるって事で、お客様は安心するんじゃない!
印刷し直すなんてとんでもないわ!』と一方的にまくし立てられた。

「でも…」
「別に性器が見えている訳でもなし、カマトトぶってるんじゃないわよ!」
あづみが何もいえないまま、電話は切られてしまった。

納得がいかなかったあづみは、高倉由紀に直接訴えようと電話を取った。
幸い、由紀は在社していて直ぐに電話に出た。

「麻木さん、ひさしぶりね^^ 頑張ってるようね。
そうそう、パンフレットの貴方の写真、いいじゃない! 私もしてみようかしら? って思えるような素敵な仕上がりだわ^^
今度、貴女の処理した肌、実際に見せてちょうだいな^^  いいでしょ^^」
「………」

「で、今日は何?」

「あ、はい… 開店の告知広告の件なんですが、ちょっと思い切ってTVスポットを集中して打とうと考えているんですが、如何かなと思いまして…」

「ほほほ^^ そんな事なら私じゃなくて木島常務の領分でしょ^^ 繋ぎましょうか?」

「あ、いいえ…掛けなおします。すいません、お忙しいのに。
まだわからない事が多くて…」

「しっかりお願いね、麻木さん^^ あと少し、抜かりなく準備してね!じゃまた」

言えなかった。
−由紀社長も御存知の事だったんだ…
全国で何万枚も配布されるパンフレットかと思うと、恥かしくて仕方がなかったが、諦めるしかないと自分に言い聞かせた。

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