三つの願い 〜男の夢〜
Hide:作

■ 第三章 女子寮で……10

「まさる、なにボーッとしてるんだよ。ほいバスタオル」
 すすむが、バスタオルで体を拭きながら来た。手にはもう一枚バスタオルがあって、それを渡してくれた。
「…ああ、すすむ。ありがとう。バスタオルどこにあった?」
「そこの隅に積んであった」
 僕はそのバスタオル…何かキャラクターが書いてある…で体を拭いた。でもこれって誰か個人のものでは? と思って改めて広げてみると、マジックで“じょしりょう”と書いてあった。すすむのも、全然違うバスタオルだが、マジックで同じように書いてある。
 個人個人が寮に寄付した感じなのかもしれない。
 もとの世界では、寮に住んでいる女子がそれぞれ自分のバスタオルを持ってここに来ていたところを、僕たちもバスタオル使えるよう、悪魔さんがうまく辻褄を合わせたんだな、と思った。

「けいこさんとセックスしたのか?」
 僕はすすむに聞いた。
「おお。最初見たときには“げっ、こんな子とやるのか…立つのか?”って思ったけど、やってみると、立ったし、悪くなかったぞ。まさるは?」
「僕も、正直言うとそう思った」
 そう言った僕の頭の中に、さっきのけいこが蘇ってきた。「ドラム缶」ではなく“今度はちゃんと入れたい子”として。

「うーん」
 すすむは何か考えているようだった。
「何を悩んでいるんだ? 珍しく」
「何であの子で立つんだろう、と思って」

 僕はけいこに会った場面を思いだしていた。さちこと「キモメン」がセックスした後らしかった。
 あの男、この世界じゃなければ、童貞か、少なくとも素人童貞だっただろうな。
僕はそう思った。まあ、僕も、人のこと言えないけど…
悪魔さんのおかげだ。悪魔さんとの契約…“セックスが話すことと同じくらい気軽にできる世界”
 そうか…

「これも“セックスが話すことと同じくらい気軽にできる世界”ってことなんだろうな」
「えっ?」
「女の子と話そうと思ったら、そりゃあかわいい子と話したいけど、かわいくない子とは話せない、ということはない。それと同じで、この世界では、かわいくない子を見ても、立つ…」

 すすむはぽん、と手をたたいた。
「だからか…それでこの元気の訳も分かったぞ」
 すすむの顔が輝き始めた。
「今日、今までに俺は5回も発射した。しほだろ、ひろこのフェラだろ、たえこだろ、それでさっきのさちこさんとけいこさん。でもまだ元気だ。ほら、まだち○ち○立つ」
 すすむは“脱衣所”の景色−何人もの男子女子が抱き合い触りあっている−の方に目をやって、棒を立たせて見せた。
「俺、高校の時、一日にオナニーで何回発射できるか挑戦したことがあるんだ」
「お前、そんなことも挑戦していたのか??」
 確かにすすむは、何かを制覇しようとか、限界に挑戦しよう、とかが好きだが…その内容は他の人から見るとくだらないのが多い。区内ラーメン屋全店制覇、とか…
「おお。そのときは、5回が限度だった。次はもう、こするにも痛かった…それなのに今日は“何で5回出しても、まだ全然大丈夫なんだろう?”って思っていた。これも“話すことと同じくらい気軽”だからか。女の子と一日5回話したら疲れてしまう、なんてことは無い」
「うーん、そういえば僕も4回出したけど、まだまだできる感じがする…そうなんだろうな」
「現にお前も立ってるもんな」

 でも…

「何か僕たちまで、悪魔さんに操作されているのかなあ?」
 僕は不安になった。
「何を言ってるんだ。願いがかなうように肉体改造してもらったってことじゃないか? すごいぞ。本当にセックスやり放題だ…よしっ、今度一日何人とできるか挑戦してみるぞ。そしてこの寮内の女子制覇も目指す!」
 すすむは棒を立たせながら目を輝かせ、ガッツポーズを取った。
「シーッ、声が大きい」
「一人でいる子はいないかな…」
 すすむ、早速またやるつもりなのか??
 僕も立っている。僕も一人でいる子を探し始めそうになった。

 待て、それよりも、さちこの「夕食」という言葉が頭に戻ってきた。
 夕食どうしよう?
「なあ、すすむ、腹減ってないか? そろそろ飯の時間では…」
「…ああ、そういえばそうだなあ。じゃあ行くか…ええと、服は…」
 すすむは、人をかき分けてさっき服を置いたあたりに行った。僕も行った。
「あれ…」
「この辺だったよなあ…」
 置いたはずの服はどこだろう??

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊