Netに舞う女
羽佐間 修:作

■ 第2章 恥辱の命令6

 ちょうど同じ頃に石野は立京大学大学の鈴木助教授の研究室にいた。

「どこで手に入れたんだ?!」
 鈴木助教授が気色ばんで声を荒げる。
 石野と二人を挟むテーブルの上に並べられた写真に手を伸ばそうとすると、石野が素早く手元に引き寄せた。
「おっと! くくくっ。 どこで手に入れた?! それはこの写真に写っているのが貴方だと認めたという事ですね?!」
「、、、き、君は何が目的なんだ! 金か? もしかして、香から頼まれて来たのか?」
――こんな物が世間に漏れたら、教授への道はアウトだ、、、
 鈴木は闖入者の様子を注意深く窺う。
「あははっ 先生! ご冗談でしょ。 そんな風に聞こえましたか?  心外だなぁ。 それにこの写真の素敵なレディは香って言うんですね。 どうせなら調べる手間が省けるようにどこの誰だか教えて貰えませんかね?!」
「くっ、、、 だ、黙れ!」
「ふふっ。 先生。 何が目的って、さっき申し上げた通りですよ。 先生にも教育者として美しく純粋な心を養って頂く為に、児童文学を生徒たちと共にお勉強して頂きたいと思っただけです。 金を下さると言うなら貰ってあげてもいいけど、そんな事したらユスリになっちゃいますからねえ。 くくくっ」
 鈴木は、目の前の石野と名乗る慇懃無礼な男の真意をはかりかねていた。

 突然教官室に入ってきるなり、児童文学研究会の顧問になってくれないかと持ちかけてきた。
 相手にせず出て行くように促すと、これを見てくれとポケットから取り出した物を応接セットのテーブルの上に並べ始めた。 それは香を責める時に撮った昔の陵辱プレイの写真だったのだ。
 ――いったい何者だ、こいつ、、、 どうすればいいんだ?! 素性が分からぬ間は身動きがとれんな、、、
「そのサークル、、、児童文学研究会とかいったな、、、 そ、その顧問になって何をすればいいんだ、、、 あー、、、石野君だったかな?!」
「ハイ! 石野です。 うふふ」
 助教授としての体裁を保とうと、動揺を隠すように尊大に振舞う鈴木の態度が、石野にはおかしくて仕方がなかった。
「女を快楽の道具として扱うような先生にも、教育者らしい慈愛の心を宿すお手伝いをしたいと思っただけですよ。 ただそのサークルに先生好みのこの香さんのような資質を持った女の子が居ても手を出しちゃダメですよ」
「し、失敬なことを言うな!」
――恨みか、、、 やはり香が関係しているのか?!、、、
「いやならいいですよ。 僕は別に」
「あっ、いや待ってくれ…」
 席を立とうとする石野を鈴木助教授が制した。
「いやぁ、、、 私がその児童文学研究会の顧問になったとして本当のところ、君はいったい私に何をさせたいんだ?」
「ま、とりあえず絵本が好きなとてもやさしい先生とやらを演じていただき、生徒の絶大なる信頼を勝ち得ていただきましょうかね」
「顧問になるくらいは出来るが、不埒なことを求めるなら教職にある私には協力など出来ないぞ!」
――へっっ! 何を言ってやがる! 金にも女にも権力にも不埒の権化みたいな野郎のクセに! 謳ってやがれ!
「それはご立派な事で、くくくっ。 まあ、大学生ともなれば立派な大人ですから恋愛は自由ですからね! しかし教え子を縛ったり、浣腸したり鞭で叩いたりって変態プレイじゃ誰も恋愛だなんて認めてくれませんぜ。 ねっ、先生! あははっ」
 肩をすくめながら真介は鈴木を煽る。
「き、君はいったい…」
 鈴木はこの男がどこまで自分の過去の事を知っているのか、気が気ではなかった。
「じゃ、しばらくしたらまた来ます。 先生! 素敵な信頼される顧問になってくださいよ」

          ◆

 ちなみの続編の内容をリクエストしたメールを香に送信した。

「腹減ったなぁ、、、」
 冷蔵庫の中は空っぽだったので、買い置きのカップ麺にお湯を張る。
 真介は煩わしさや、束縛されるのが嫌で一人身を通していたが、それでも時々侘しさに包まれる時がある。
「ふっ、情けねえなぁ、、、」
 深夜に一人きりの部屋でカップ麺の出来上がりを待つこの間抜けな時間は、そんな想いがよぎる時のひとつだ。
 
「ふぅー、、、少し酔っちまったなぁ。 急ぎの原稿もないし寝るか、、、」
 不規則な生活をしている真介だが、幼い頃から厳しい母親の躾で、どんなに酔っ払っていても就寝前の歯磨きは欠かしたことがない。
 旨くもないラーメンを食べ終わり、嘔吐(えず)きながら歯ブラシを咥えていると、携帯が鳴った。 探偵の石野からだった。
「おっ、がぁーっ! ペッ!  もしも〜し」
(藤堂さん。 助教授、ちゃんと了解しましたよ」
「そっか! 抵抗しなかったのか?!」
(はははっ。 もちろんですよ。 喜んで顧問になることを引き受けてくれましたよ。 明日、早速部室に行ってみると仰ってました」
「そう。 さすがだねえ〜って言いたいところだが、脅したんだろ?!」
(藤堂さん。 人聞きの悪い事言わないでくださいよ。 人間味のある教師になる為に児童文学に触れたらどうですかってアドバイスをしただけですよ。 あ〜はっはっ!」
「ふふっ。 アドバイスか?! まっ、これからが楽しみだな」
(ええ! ワクワクしてきましたよ!)
「そうだ。 明日の朝、香ちゃん、写真BOXで下の毛の散髪、決行する気になったみたいだぜ」
(ええ。 さっき香のホームページを見たからそうなんだろうと思っていました)
「明日の朝、観察しに来るかい?!」
(もちろん! 既に盗撮カメラをBOXの中に仕込んでありますから、陰毛刈っている香の無様な姿を撮れますよ)
「ほっほぉ〜〜! ふふっ、わかった。 じゃ明日の朝な」

 電話を切り、パソコンの電源を落とす前に香のサイトを見ると、早速ちなみに対する物語が追加されていた。

【ちなみ から Mr.Mへ】 
ちゃんと言いつけ通りに一日中、パンティを穿かずに過ごしました。凄く恥ずかしかったです。 私のあそこは凄く濡れてしまいました。
そしてお家に帰って、玄関で服を脱いで、、、それでお尻をドアの方へ向けて、、、ドアの鍵を掛けずに、、、オナニーをしました、、、
いつ開くかと思うとドキドキして、、、あんなに感じたのは初めてです。
ちなみはこんなにいやらしい女の子だったなんて、、、自分でも信じられません、、、
もうこれ以上恥ずかしい事をさせないでください! でないとちなみ、、、おかしくなっちゃいそうです、、、

【Mr.M から ちなみへ】
ちなみ! いい子だ! よく言いつけを守ったね。 あまり相手にしてやれなかったから寂しかっただろ?! ココのところは淫乱主婦・麗香を弄るのが楽しくてな。 麗香は小娘のお前とは違って底抜けのいやらしさだからな^^
これ以上恥ずかしいのは嫌だとふざけた事を言うお前に似合いの命令をだしてやる。 お前の意を汲んで恥ずかしくない命令を出してやる。
お前の持っているマン毛が透けて見えるパンツを毎日穿き続けるんだ! お風呂で身体を綺麗に洗ったあとも、寝る時も毎日、一日中穿き続けろ。
最近は汗ばむ日もあるなあ^^ 汗でべとべとになっても、マン汁でドロドロトになっても、オシッコの染みだらけになっても俺が良いというまで穿き続けるんだ。 いいな!

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