にいちゃんのけんきゅう
ホモ:作

■ 11

玄関のベルが鳴った。
ドアをあけるとにいちゃんがいつものようにハイソックスに靴だけのかっこうでたっていた。
手は後ろで組んでいる。
俺はにいちゃんを家にいれた。
部屋にいれると、にいちゃんは
「これ、誕生日プレゼントです。」といって俺に小さな包みを渡した。
にいちゃんは今日が俺の誕生日だということを覚えていたのだ。
包みをの中身は鈴のついた携帯電話用ストラップだった。
うれしくないわけではなかったが、その携帯電話用ストラップをみて被虐的な気持がわいてきた。
「にいちゃん、これ、何に使うものなんだ?」俺は言った。
「これでいじめてくれっていってんのか?」
「ち、ちがいます、豊さんによろこんでもらおうと思って、」
「鈴をつけてくれっていってんのか? あ?」
「ち、ちがいます」
「大きいネコには鈴をつけなきゃなあ?」
「な、なにをするんです」
俺はにいちゃんの○んこに携帯電話用のストラップを結び付けた。
にいちゃんは泣きそうな表情になった。
「これからはどこに行くにもこの鈴をつけていろ。はずしてはならん」
俺は言った。
にいちゃんは黙ったままうつむいてしまた。
「試しに跳ねてみろ」俺は言った。
にいちゃんは跳ねた。そのたびにチリンチリンと鈴が鳴った。
俺はポケットから携帯電話をとりだし、にいちゃんにもたせた。
「これをもって駅前の自販機でジュースを買ってこい。そして、買う場面をこの電機で撮影してこい。」
「はい」
にいちゃんは、いつものような困ったようなうれしそうな顔をした。
にいちゃんが部屋からでていった。
ドアをしめても、ドアのむこうから鈴の音が聞こえた。
鈴の音はだんだん小さくなっていった。

3時間くらいして家の電話が鳴った。
にいちゃんからの電話だった。
「助けて下さい、場所は駅の近くの車両倉庫です。」
にいちゃんの声だった。
俺は助ける気なんかなかったが、見物がてら倉庫に散歩にいった。
倉庫にいくと、にいちゃんが小学生の悪ガキグループにひっぱりまわされていた。
「ヒャハハ、はい! チンチン!」
「お手!」などど小学生の声が聞こえた。
おれは柱のかげから観察をつづけた。
「石油採掘ドリルゥ〜」とグループの一人はにいちゃんのけつの穴に指をつっこんだ。
「ギュウーン、ギュギュウウーン」かなり長い間穴の中をほじくっている。
しばらくして、ほじくった指をグループの他の人間の鼻につけようとした。
「ウエ〜きたねえ〜」グループの人間は笑いながら逃げた。
「跳ねろ! 跳ねろ!」グループのひとりが言った。
チリンチリンと音がした。
「こいつ、毛がはえてねえ、大人じゃねえんじゃねえの?」
「おれよりちいせええ〜アハハハ」
小学生の声がきこえた。
俺はしばらく観察をしたあと、倉庫から出た。
もう俺の所有物じゃないし、どうでもいいからだ。

次の日また電話がかかってきた。
にいちゃんからだった。
「助けてください、倉庫に監禁されています」
にいちゃんの声だった。
俺は倉庫に行った。
にいちゃんは倉庫の柱に首輪と鎖でつながれていた。
そばにはプラスチックの風呂桶がおいてあり、昨日だしたらしい大便がその中にはいっていた。
「豊さん!」にいちゃんは哀願するような目で俺をみた。
俺はにいちゃんに「チンチン」といった。
にいちゃんはチンチンのポーズをした。
俺はにいちゃんから携帯電話をとりあげ、倉庫を出た。
倉庫からは泣き声がきこえた。

あれからもうにいちゃんにあうこともなくなった。
今もどこかでだれかのおもちゃとして生きているのだろう。
にいちゃんの知識は今でもおれのなかで生きている。



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