人身御供
非現実:作

■ 処女巫女9

…… …… ……。
…… ……。
室内は静か、ただ聞こえるのは甘い吐息のみ。
ゴクリと喉を鳴らす党首様が、琴乃姫の顔を覗き込み言う。

「何処が痒いんじゃ、んん〜〜?」
「お……ぅくぅ、おし…はっぁはぁ……」
「言うのじゃ、琴乃姫」
「……お……お尻ぃっぃ〜〜〜かゆ…ぃぃい〜〜ぁっぁン!!」

その瞬間、野太い大きな笑い声が室内を支配した。

「言うたぞっ、魏志よ風見よっ!!」
「はい」
「ぁ〜〜〜痒っぃ〜〜ぁ……桔梗ぉぉーー桔梗っぃうっぅ!?」
「くっくっく、わぁはっはっは……痒いか、痒いのか尻穴がぁ!。
え、琴乃姫よぉ〜〜、尻の穴が痒いのかよっ?」
「ぅぅう……ぅぅ〜〜〜痒ぅぅう……ぅ!!」

徳利を琴乃姫の目の前に差し出して、ゆっくりと傾けた。
濃い肌色のドロドロとした液が、目の前に垂らされる。

「これが何であるか教えてやれい、風見よ」
「はい」

一礼してワシは続ける。

「これは私が発明した、特製の美酒で御座います。
是非奥方様にも味わって頂きたく、丹精込めて作りました。」
「〜〜んぅ……かぁっぁゆっぅいいぃぃっぃ!」
「そうで御座いましょうその成分は、長芋です。
長芋をすりおろし酒を入れた、特製品ですよ?。」
「はっぁ……なが……いもぉ?」

大きな瞳がワシを捉えていた。
驚いた表情は、理解したかのようだった。

「そう、長芋は痒くなる……そして粘々と絡み付く。
奥方様も、お解かりになりましたようですね?。」
「ぅぁ……かゆぃ…の、長芋ぉ?」
「そうです、粘々が奥方様の尻穴の壁に絡み付いているのです」

顔面が青ざめてくるのが解る。

「そして卑しく埋め込まれた木の棒ですが……。
布を包まれており増す理由は……。」
「はっぁ……はぁはぁはぁ…っぅくぅふう!」
「その布にも特製美酒を染み渡っておるでしょう。
つまり刺さっておる以上、布からその痒み成分が絶えない。」
「ぃ……い……い、いゃぁぁあああーーーっ!!」
「がぁっはっは……どうじゃ、良い按排であろう?」

野太い党首様の笑い声と、絶望に暮れる琴乃の叫び声が木霊した。
これから地獄としか云いようがない……人身御供と呼ばれる調教は始まったばかり。
精神を病に冒されたこの美姫、琴乃姫はどれだけ耐えられるか。
だが、ワシには1つの確信があった。
(既に心は壊れておるし、穢れも教わっておらぬこの姫なら……やりとげるやも)
地下の洞窟、天井を見上げてワシは心の中で語り続ける。
(栄弦よぉ……この姫は……貰ったぞ)

肩で息をしながら、吊られ「く」の字の全身をガクガク震わせ喘ぐ、琴乃姫を見ながら…… ……。
いつど待ってもその痒みは収まらない。
いや……時が経てば経つほど、成分を吸収した布からの永遠の痒みが待っているのだ。
それは……理性を超える地獄であろう。
決して逃れられないその感覚は、何もされずとも絶えず味わう事の地獄責め。
(この責めは辛かろう……常人では廃人にもなりかれん……)
党首様の行き過ぎた責めに、ワシは少々不安視しながらも…… ……。
心が壊れている琴乃姫ならば…と、甘く考えていた。

「ひっぃ……ぅうう…あっぁ〜〜くぅんぅ〜〜」
「はぁっはっは、良い声で鳴くわっ、この姫は!」

既に琴乃姫は、尻を良い様に嬲られている。
その耐え難い痒みは……尻穴に半分埋まった木の棒が癒してくれる。
焦らすように党首様がソレを操るのであった。
左右に……時折、奥へと上下させて…… ……。
甘えるような琴乃姫の声は、その痒みを和らげてくれる人に従順の様だった。

「あっぁ、はっぁ…ンゥぅうう…はっぁはぁ!」
「可愛いのぅ〜〜〜、んんぅ、姫よぉ〜〜?」
「ぃあ…ぁあ〜〜ぁぁ……痒ぅ…ぅぅぅんぅ!」
「くっくっく、かぁっかっか……どうじゃ風見、魏志よぉ?」
「ははっ、総布様の手に掛かればどんな姫でも一瞬ですなぁ」
「で、あろうぅ〜〜〜ぐぅっふっふふう」

党首様のご機嫌を損ねる事無く、ワシは社交辞令を述べたのであった。
満面に卑下た笑みを漏らす党首様も満更ではないという風である。
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少々、長引いてしまった。
だが……私には抜かり無し。
一閃一閃に続き、絶命の声が響いた。
流れるが如く、一切止まることの無い動き。
振るう度に、血潮が吹き飛ぶ。
(くだらない)
飽き飽きしながらも、かんざしが舞う。
それはただただ、姫様の安堵にしかない。
私以外の全てが倒れるまで続く、殺戮の舞であった。
(容易きっ……この雑魚っが!!!)
一通りの瞬殺、全身を紅に染めながら……私は立ち上がった。
手にするかんざしから、鮮血が零れ落ちる。

「下衆が」

呟き……口元に浴びた鮮血を手の甲で拭う。
全身の紅は、敵兵の返り血のみだった。
私は手傷すら負っていない。
(姫様……今、参りまするっ!)
全ての敵兵は…… ……急所を突かれて、絶命していた。
その躯を私は通り過ぎ、閉ざされた洞窟の扉の閂を解除した。
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「おぃ魏志よぉ、酒じゃぁ」
「ははっ!」

野太い声が響き、それに武の達人でもある魏志四郎が瓶を両手に抱えて持って来た。
満足げの党首様は、瓶から柄杓で並々すくい、一気に酒を煽った。
下品極まる「げぇっぇぇ〜〜〜」というゲップと共に言う。

「して……次はぁ〜〜、どうしてやろうぞ?」
「御党首っ、そろそろ酒はお控えを……」
「魏志ぃぃぃっ、そちはワシに指図するかっぁ!?」
「あ、いえ……滅相もなき」
「くっくっく、魏志よぉ……楽しもうぞぉぉぉ?。
麗しき美姫が尻を突き出して待っておるわぁ〜。」
「は、ははっぁ!」
(やれやれ、困ったお方じゃのぅ)

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