理科室
秘月:作
■ 3
いっしょに倒れこんで、阿山がわたしをだきよせてそのままあおむけたみたいな構図になった(赤面、あれだけは忘れられない)
わたしがとっさに流せなかったように、阿山もできなかったようだ。それどころか……身体が反応してしまったようだ。音が鳴るような感じで、ぼごっと阿山の股間がふくらんだ。
「…っ…」
てんてんのあとに小さいつがつく雰囲気なんて、まさにこんなものだった。思考は真っ白。さっきのほうきうんぬんよりグレードアップだ。
「あのさ……」
阿山が突然いった。手は、わたしの背中に回されている。
「スズキさ……」
しばらく迷ったようにして、それから思いきったように、
「胸大きいのな」といった。
胸? 胸のはなし?
「腰細いんだな。ていうか。女だったんだな」
しばらくして、わたしも勇気を出していった。
「あんたも男だったんだね。はじめて知ったぁ」
おどけた感じでいったのに、あんまり効果はなかった。ただ、「じゃあ女だと思ってたのか」ときかれただけだった。
「今の……さ」わたしは仕返しがしたくて、口走ってしまった。あいかわらず股間が盛りあがっているのが、足でわかる。固くて、なんだかそれが熱いのだという気がした。
「勃起っていうんだよね?」
また、沈黙……。バカらしいことをいってしまった、自分がむかつく。
「うん…」しかも答えんなよ! 素直に答えた阿山も同罪だ。バカ2人組vv吉本にでもはいってしまおうか?
そんなコト考えてる場合ではない。
「じゃあ、女子にも勃起ってあるし、濡れるんだろ」
阿山は信じられないことをいった。女子が、勃起? 濡れるってなに? なんとなく想像はできたけど、やっぱりわからないし、そのまえにはずかしい。身体が小刻みに震えてくるのがわかった。
「知らない」
「知らねえの? 女子でもオナニーとかすんだろ。自分のあそこさわっ」
「知らないって! 少なくとも、わたしはそんなことしない」
こぶしで、阿山の胸を叩いていた。そういえば、まだこの構図のままだ。はなれようかと思ったが、なんだか甘美な気持ちになってできなかった。ただ、震えだけはとまらない。
「濡れるっていうのはつまりさ……」
阿山はそういうと、急にその原点となった胸をもみだした。わたしの、だ。
痛い。痛い。そう思って、でもうなったりするのはみっともないのでだまっていた。あえぐ、なんて気持ちにもなれない。ただ、痛い。
「くっ」
奥歯をかみしめて絶えていると、阿山はくくっと笑った。
「ほら、勃起」
やさしげに胸をさわると、乳首のくっきりした線をなぞって、つまんだ。
「んっっ」
だらしない声が出てしまった。
そういえば、お風呂上がりのときにいやに乳首がつきでているときがあった。
「やめてぇ」
恥ずかしくて、一瞬舌をかんでやろうかと思ったが、そういうひまもなく阿山はころんとよこになり、気がつくとわたしは阿山のしたじきになっていた。襲ってる、体勢。
「で、濡れてるっていうのがあ……」
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