真梨子
羽佐間 修:作

■ 第9章 肉人形13

− 尻穴奴隷 − 8月29日(月)

「ふふふっ。 真梨子はたいしたもんですね。 今しがたまで壊れてしまったかなと按じたほどの狂いようだったのに、あの凛として楚々とした仕草、そのくせ目元なんかボーっと妖しく潤んだ感じなんてたまんないっすね」
「ああ。 確かにな。 溺れきって投げやりにならないところがこの女の魅力の一つだ。 ほとんど眠らずにヨガリ狂っていたからさすがに疲れているだろうに、それがやつれたように見えないのは、真梨子の、、、強さだな」

 専務室で昌也と秘書の横田がプロジェクトのミーティングルームの映像を眺めていた。

「しかし、秋山ははまだしも吉野や沢田も散々弄んだ真梨子を前に素知らぬ顔してあんな真面目くさって喋れるもんですよね〜」
「ふん。 自分が犯った事がバレないようにと思ってんだろ。 星野に脅されてなきゃ今にも襲い掛かりそうな顔をしてやがるぜ」
「あの甘美な淫肉を持ったマゾ雌・真梨子を味わっちゃったんですから、奴らだって我慢すんのは辛いっすよ。 くくくっ」

          ◆

 真梨子の辛く長い一日がようやく終わろうとしていた。
 金曜の夜から今日の早朝まで丸三日に渡って陵辱され続け、淫獄の館からシャワーを浴びる事も許されず、そのまま秋山に連れられて出勤させられた。
 ヴァギナとア○ルはディルドウで塞がれ、直前に注がれたザーメンを肉壷に溜め込んだまま下請けに依頼していたシステムを検証し、ミーティングをこなした。
 椅子に腰を下ろしたりすると秘部を割り裂くディルドウが肉襞を擦り上げ、何度か気が遠くなる事があった。
 今は今日最後の仕事の青山店の視察を終え、同行したプロジェクトの沢田課長が運転する車の助手席に座りマンションへ向かう靖国通を走っていた。
 真梨子は、手を硬く握り締めて顔を伏せ、シートから淫具に伝わる振動で徐々に昂ぶってくる快感に耐えている。 誰もいなければこの場で陰部に指を差し入れたに違いない。

「おっと、ココだったね。 着きましたよ、羽佐間さん」
 沢田がニヤリと微笑みながら声を掛けた。
 急なブレーキで車体がしゃくるようにバウンドし、ディルドウが肉襞を深くえぐった。
「うっ、、、 あっ、はい。 ありがとうございます」

「ずいぶん疲れてるみたいだね」
「あっ、ええ、、、 少し寝不足で、、、」
「そうなんだ。 プロジェクトも大詰めだもんね。 じゃあ今夜はゆっくりお休みください」
「はい。 わざわざ送っていただいてありがとうございました。 失礼します」

 走り去る沢田の車を見送り、真梨子は部屋へと向かった。

          ◆

「俊ちゃん!? か、帰ってるの?、、、」
 真梨子は少しためらいながら、真っ暗な廊下に向かって声をかけてみた。
 仕事中に幾度かメールや電話を掛けてみたのだが、俊一からの反応はないままで、真梨子は俊一の安否が気懸かりで仕方がなかった。
「俊ちゃん、、、」
 真梨子の手にはメールボックスから取り出した金色の鍵を握り締められていた。

『オマ○コの鎖の鍵は羽佐間さんのマンションの郵便受けに入れておくからね〜』
 沢田と店舗視察に出かける時、秋山が真梨子の目の前でヒラヒラかざした鍵は、3日間を過ごした淫獄から出勤する車の中で秋山に股間の淫具を繋ぎとめられた南京錠のものだった。
――はやく外さなくっちゃ、、、
 俊一のことが気掛かりなのだが、もし先に俊一が帰っているとしたら淫具を呑み込んだままのこの状態では会いたくはない。
 しかし部屋に居る時は、きまって玄関に脱ぎ散らかしてある俊一の大きなスニーカーが見当たらない。  俊一が使っていた部屋には着替えも持ち物も一切消え、すっかり俊一が来る前の状態に戻っていた。
――俊ちゃん、、、

 リビングに回るとテーブルの上に白い紙が置いてあるのに気付く。
 表には見覚えのある俊一のクセ字で「姉さんへ」とレポート用紙に書いた手紙だった。
 読み始めると、瞳はたちまち涙があふれ、真梨子は崩れ落ちるようにフローリングに突っ伏し声をあげて泣いた。

― 姉さんへ―
姉さん。ゴメン。本当にゴメン。
俺、家に帰ります。お世話になりました。
勝手な言い方ですけど、夕べの事もこの夏の事も記憶から消してしまってね。
僕は姉さんを”真梨子”という女として愛していました。 愛してはいけない人を愛してしまったんです。
僕は”真梨子”を愛したこと、”真梨子”が僕の腕の中で素敵な女だったこと、思い出にして胸の奥に一生しまっておく。
僕は、絶対誰にも言わないから!
今は気がおかしくなるほど辛くて苦しいけど、僕は姉さんの弟なんだ。 僕は僕の中で”真梨子”を僕の優しい姉さんに戻さなきゃいけないんだ。

絶対、神戸に戻って義兄さんと幸せに暮らしてください。
あの男達の事なんて、綺麗さっぱり忘れて義兄さんのもとへちゃんと戻ってね!

姉さんは義兄さんを愛してるんだろ?!
ボクが言うのは変やけど義兄さん、めっちゃええ人やし、甲斐性あるし、何より姉さんの事愛してると思う。 姉さんさえこの夏の事を忘れたら、浩二義兄さんとなら今まで通り絶対幸せに暮らせるから。
僕もちゃんと普通の生活に戻る。 大丈夫だから。 心配しないで。俊一

――俊ちゃん、、、ごめんね! ごめんね、俊ちゃん! ごめんね、、、、この夏の事、、、 夕べの事、、、

 最初は無理矢理だったとはいえ、姉として愛してやまなかった弟と幾度も重ねた背徳の恥戯に溺れてしまった真梨子。 そのことが自分を虐める男達の琴線に触れた末、俊一までもが倒錯の世界に誘い込まれてしまった事で激しく自分を責めた。
 しかし忌まわしい事に鳴咽が漏れ身体が揺れる度に、陰部に仕込まれたディルドウの先端が床に触れ、ズキンと脳天を快感が突き抜ける。 そしてそのディルドウが蜜壷の中に閉じ込めている精子は、俊一が吐きだしたものだった。
 涙に咽びながらバスルームに向かう真梨子の脳裏には、明け方まで弟と二人して嬲られ、よがり狂った倒錯の快楽地獄が蘇った。

■つづき

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