SMごっこ
二次元世界の調教師:作

■ SMごっこ2-1

「卒業生代表、答辞」

「はい」

 大きな声でしっかり返事をした私は、作法に則って粛々と壇上へと進んだ。

 今日は私の卒業式。空手のインターハイ優勝と言う偉業を成し遂げた私は、それを認められて代表に推挙され、皆の前で式のハイライトである答辞を読むと言う栄誉を手に入れたのだ。両親も大喜びで、今頃パパはビデオカメラを回しているに違いない。

 でも私がその視線を意識しているのは弟の翔だけ。壇上に上がり、在校生の並んだ中にめっきりたくましく男らしい少年に成長した美形の弟の姿を探した。

 いた。黒い詰め襟の男子が並ぶ無個性な集団の中で、抜きんでて背が高く頭が首1つ突き出ている翔の姿を見つけた私は、彼だけにわかるようニッコリと微笑んでやろうと思ったのだけれど。

 何てこった。翔のやつ、男のくせにメソメソと泣いてやがる。全く最後まで情けない、ヘタレの弟だ。コイツには最愛の姉の巣立ちを笑顔で見送ってやろうと言う度量はないのか。ああ、ダメだ。私まで涙で目がかすんで来たではないか。いきなり涙声で始まる答辞など、みっともない事この上ない。

「桜の花も……
 ほころび……」

 情けない事に涙をボロボロ流しながら、しゃくり上げるように詰まり詰まりゆっくりと答辞を読み上げると、会場のあちこちからもらい泣きの声が聞こえて来た。恐らく女子はほぼ全員、涙で顔をぐしょぐしょにしていたのではないか。でもスカートの中までぐしょぐしょにしている子が、私の他にもいただろうか。

「……みんなで力を合わせた体育祭。
 楽しかった思い出が走馬燈のように……」

 決まり文句の羅列みたいな答辞を読みながら、私の頭の中には翔と過ごした思い出が走馬燈のように駆け巡っていた。甘えんぼでヘタレで、私が助けてやらねば何一つ満足に出来ない翔。でも、あの「SMごっこ」を経験し、超えてはならない一線を超えてしまった日から、私達は仲の良い姉弟と言う関係をはるかに超えた濃密な繋がりで、夢のように楽しい毎日を過ごしたのだ。

(あ〜っっ!!
 し、翔っっ!!)

 アイツ、ぼろぼろ泣いてるくせに、えっちの方だけは抜かりがないのか。ついに乳首に貼っていたリモコンローターが、ブルブルと心地良い振動を起こして来ると、トロけるような心地良さで、私の答辞を読む声はますます慄えて詰まりがちになる。

 そう。えっち方面にだけその才能を発揮する翔が、学校生活の間中私の体に装着して、手に持つコトローラーで自在に快感を与え、数え切れないアクメを搾り取ってくれた淫らなリモコンバイブは、今日も私の気持ち良い箇所にピトリと密着して取り付けられている。みんなの前で卒業式の答辞を読むと言う晴れ姿の私は、否応なく凄まじい興奮に巻き込まれて、乳首ローターだけで早くもイッテしまいそうな強烈な快感に、心中悲鳴を挙げていた。
 
 乳首だけで体中がトロけてしまいそうな程気持ちいいのに、クリちゃんやアソコ、そして私の一番の急所に翔の手で育てられてしまったアナルまで、素晴らしいバイブが掛けられたら、一体私はどれだけ淫らにみんなの前で乱れてしまう事だろう。翔との背徳の官能で塗りつぶされた私の高校生活の幕切れには、ふさわしい夢の快楽舞台かもしれない。

「……卒業生代表、西沢恵美」

 万雷の拍手と、雨あられの涙の中、私の晴れ舞台は終わった。インターハイの決勝戦など比べものにならない程の緊張感とスリル、そして至福の快楽に満ちた答辞の間、私は3回も極めていた。特に終了直前アナルバイブが動いた時には、脳天が砕かれそうな強烈な快感に襲われて、よくその場でしゃがみ込んだりしなかったものだ。これも日々翔がえっちを鍛えてくれたからに違いない。

 厳粛な式典の中、壇上でみんなに見られながら極めてしまった3連続アクメは私の身も心もトロトロに蕩かせ、まるで雲の上の天国をフワフワと漂うような非現実的なイメージに囚われながら壇を下りた時、私の内股をツーと冷たい液体が滴り落ちた事を、誰かに気付かれただろうか。

 その夜、空手部の人達とのお別れパーティーを、「彼氏と会うから」と言って早めに退出した私。あの日目撃されてしまった、ノッポでイケ面の年下の彼氏が、実は私の弟だと言う事は誰にも知られていない。

 アッサリ早く帰宅した私を不思議がる両親はしかし、家族水いらずの食事で私の門出を暖かく祝ってくれた。そう、文字通りの「門出」だ。空手で全国優勝の実績で有名私大への入学を決めた私は、家を離れて遠く離れた地で新生活を始める事になる。

 そして両親や上の姉の目を盗むように深夜潜り込んだ翔の部屋。私は弟とのプレイで汗と体液の染み付いたリモコン性具を2度と使わない、と翔に返した。そしてこれが最後と、抱いてくれと迫った私に、翔はとんでもない事を言い出した。

「めぐ姉、お願いがあるんだ」

「これが最後だからな。
 遠慮せずに言え」

「だから……
 めぐ姉の中に出させて欲しい」

「何だとおっっ!!」

「うわあっっ!!」

 久しぶりに切れの良いケリが翔の下半身に決まった。もちろん急所は外しているが、もんどりうって倒れた翔は、なぜだか嬉しそうだった。

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