オカルト教師
二次元世界の調教師:作

■ 1

「今度こそ間違いないだろうな」
「はい……」
「又俺をだまそうとしてみろ。どうなるか、わかってるんだろうな、岡田」

 うう。何て野郎だ。これでも教師か。まるでチンピラみたいに、因縁を吹っ掛けて来やがった。僕はこのサイテーサイアクのオカルト教師鎌田に弱みを握られてしまったことを激しく後悔しながら、精一杯反抗の意を表そうと無言でにらみつけたが、脂ぎったブヨブヨの額にビッショリと浮かんだ汗を見てしまい込み上げて来る生理的な嫌悪感と戦わねばならなかった。

「こっちがお前で、これがお姉ちゃんの毛で間違いないな?」

 ああ。僕は一体何てことをしてしまったんだろう。目の前の「ガマガエル」ことオカルト教師鎌田は、ティッシュに包まれた僕と姉貴の陰毛をニタニタしながら、ためつすがめつしているのだ。鎌田は興奮して鼻息が荒く、至近距離で向かい合わせに座った僕は、生ゴミのようなきつい口臭に辟易としながら、コイツにこんな物を渡してしまった自分に対する嫌悪感で胸が潰れそうだった。

「なあ岡田。こないだは先生面食らっちまったぞ。何せお前と来たらシモの毛と偽って、犬の毛なんぞを持って来るんだからな……」
「先生」

 僕はもう耐えられなくなり思い切って口を開いた。

「もう、いいでしょうか」
「はあ? 何だその態度は! お前自分の立場がわかってるのか、岡田!」
「……すみませんでした」

 僕は血を吐くような辛い思いで、ガマガエルに頭を下げた。僕が悪いんだから仕方がない。ここは死ぬ気で屈辱と嫌悪に耐えなければ。母さんと、そして陰毛などを密かにくすねて、目の前の正気とは思えないオカルト教師に渡してしまった姉貴の顔が浮かび、椅子に座った両膝の上に置いたこぶしを固く握りしめて隠忍自重した。

「なあ岡田、そんなシケた顔すんなよ。お姉ちゃんのシモの毛をどうやって手に入れたんだ?」

 実際にはニヤニヤ笑ってただけだが、僕には鎌田がグェフェフェフェ〜と下劣を絵に描いたような擬音と共にそんなことを聞いて来たように思え、マジで背筋に悪寒が走った。しかもコイツ、あろうことかホンの数本しかないチリチリに縮れた姉貴の陰毛を嬉しそうに鼻に付けてクンクンとかぐと、ウム、これは本物のマ○コの匂いだな、でかしたぞ、岡田、などと言いやがった。虫酸が走るとは正にこのことだろう。どうやって手に入れたか、だって?そんなこと言えるはずが……

「どうせお姉ちゃんが風呂に入ってる時に、コッソリくすねて来たんだろう?ははは、その顔は図星と見た。姉ちゃんはどんなパンツをはいてたんだ? しっかり匂いもかいだんだろ? これでヘンタイのお前も、しばらくズリネタに使えるだろうが、あの美形の姉ちゃんのパンツでな! 感謝しろよ、岡田!」

 僕は教師にあるまじき言葉を吐きかけて来るガマガエルを張り倒してやりたい衝動に駆られた。一体どこまでコイツは下劣なんだ。なのに僕はジッと唇を噛んで下を向き耐えるしかない。なぜならコイツに逆らえば、僕の犯した過ちが取り返しのつかない事態を招いてしまうからだ。そして……

「わははは、岡田! お前、チンポを大きくしてるじゃねえか。姉ちゃんのパンツの匂いはそんなに良かったのか、白状しろよ、このどヘンタイ野郎!」

 ああ、何てことだ。ガマガエルに指摘されてしまった通り、僕は風呂に入っている姉貴の下着をコッソリと確かめて数本付着していた縮れ毛を急いで摘み取り、絶対にバレぬよう気配を殺して去った時のスリルと興奮が蘇ってしまいこんな状況なのに股間を膨らませてしまっていた。たぶん白だろうと予想していた姉貴の下着は、何とピンクでフリフリの付いた小さなパンツだった。誓って言おう。コイツの下劣な想像と違って、僕は決して姉貴のパンツを匂ってなどいない。だけど、脱いだばかりの姉貴のぬくもりが残り、少し湿っていたピンクの布地は余りにも蠱惑的で、僕は初めて姉貴を女として意識してしまい、やはり股間を逞しくしてしまって凄まじい罪悪感に苛まれつつ、浴室から逃げるように去ったのだ。

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