淫蝶
二次元世界の調教師:作

■ 16

 校長先生のお車までわずかの距離でしたが、私はその間に何度も激しく極めてしまい、淫蝶に加わった「股鎖」の威力を嫌と言うほど体に叩き込まれた気分です。こうして今週は、午前中校長先生のお車で怪しげな診療所のような施設に連れて行かれるのが日課となりました。

 そしてやって来た日曜日。まりあの出る演奏会の日です。土日祝日に校長室で調教して頂くことはありませんが、性感の急所に食い付いた淫蝶と股鎖によって、昼夜休日関係なく私は淫らなセックス奴隷に貶める調教を施されているようなものです。演奏会へと向かう車の助手席でも私は夢見心地で、ハンドルを握る主人の横顔を眺めながら淫蝶の奏でる心地良いバイブレーションに身を任せ、股鎖の前後を抉る張型を思い切り喰い締めて気をやってしまいたいと言うはしたない欲求と懸命に戦っていました、

「ママ、この大きな花束お姉ちゃんに渡すんだ、凄いね〜」

 後部座席に座った中学生の妹が、校長先生が送り届けて下さった花束を見て目を丸くしています。

「母さんにとっても晴れ舞台だな……」

 無口な主人が、まるで自分が舞台に立つような、背中が開いた紫のドレスに着飾った私を見て、ボソリと呟きました。校長先生のはからいで、私は今日の演奏会直後、まりあにこの花束を渡すため舞台に上がるのです。

――あなた、ごめんなさい。私はもう、あなたが考えている慎ましい女じゃないの……

 主人は今朝、やや露出が激し過ぎる私のドレスを見て、おかしなくらい動揺していました。もちろん文句を付けるなんてあり得ません。恐らく精一杯の勇気を振り絞って、唖然としている2人の娘の前で「キレイだよ」と言うと軽く口付けして下さったのです。その瞬間私は淫蝶にくすぐられて発情しっ放しの股間で前後の男根型を思い切り喰い締めると、素晴らしい絶頂を味わってしまっていました。

 主人が今、セクシーなドレスを身にまとった助手席の私を、誇らしい視線で見つめて下さっているのは間違いありません。その嬉しそうな横顔をうかがって、私はとても億劫なこの大役を果たすことに複雑な思いが頭をよぎりました。ですが、妻と娘を深く愛して下さっている主人のためにも、私は精一杯着飾りメイクも決めて舞台に上がる決意を固めています。

「あなた、今日の夕方校長先生に呼ばれてるの。まりあと一緒においしいケーキでも食べながら、お話しませんか、って……」
「ずいぶん目を掛けてもらってるんだな。名誉なことだ」
「へえ、いいな、いいな……」

 それは恐らくお菓子を食べるだけの会ではないのです。絶対に考えたくない恐ろしい予感が頭の片隅をよぎりますが、身も心も校長先生のセックス奴隷に堕ちた私に、拒絶する権利があるはずもないのでした。

「だから先に帰ってて。もしかすると遅くなるかも知れないわ」
「校長先生に、しっかりお願いしといてくれよ。まりあをよろしくお願いします、ってね」

――ああ、何をお願いするって言うの……

「まりあ姉ちゃん、凄い上手……それにキレイ……」

 お昼過ぎに始まった演奏会で、私たちは目を見張らされてしまいました。青蝶のブレザーの制服を着た没個性の女生徒たちの中で、抜けるような白い肌と青い瞳のまりあはどうしたって目立ってしまいます。わざわざ見せ場を作って下さったとおぼしき、フルートの独奏場面で一番大きな拍手が沢山の聴衆の中からわき起こったほどです。主人はビデオカメラを回しながら食い入るようにステージに見入っておりましたし、妹も感心しきりでした。

「私もお姉ちゃんみたいにキレイだったらなあ……」

 妹はいつもそう嘆いていますが、主人に似た彼女はごく普通の日本人と全く変わらない外見で、同じクオーターでもまりあと姉妹には見えないほど違います。でも素晴らしくステージ映えするまりあを見て自分を嘆く妹に、私は言ってやりたい気分でした。

――平凡な方がずっと幸せなのよ。お姉ちゃんも私も、こんな外見であるばっかりに……

 演奏会が終了し、拍手が一段落すると司会の方がおっしゃいました。

「本日は青蝶女学院ブラスバンド部の定期演奏会にお越し頂きましてありがとうございました。ここで、1年生のフルート奏者吉野まりあさんに、校長先生と、まりあさんのお母様である本校職員吉野エリカ先生より、花束が贈呈されます」

――校長先生ですって!!

 1人で舞台に上がるものだとばかり思っていた私はビックリしましたが、逃げ出すわけには参りません。いつものようにパリッとした高級スーツを着たダンディーな校長先生が、私をエスコートしに席までやって来られ、2人で手を繋ぎステージへと向かうと場内は大きくよめき異様なムードに包まれました。ステージ上の視線を一身に集めていたまりあとソックリである母親の私が、学校の教員としては大胆過ぎる背中の開いたドレスを身にまとって、やはり学校の教員らしからぬ校長先生にエスコートされる姿に、皆さん目を疑われたのだろうと思います。

 席まで迎えに来られた校長先生がヒソヒソと耳打ちされた言葉に、私の背筋を甘美な戦慄が走り抜けました。

「淫らな蝶になって、おイキなさい」

――ああ、も、もうダメ……

 水を打ったように異様に静まり返った場内で、観衆の視線を痛いほど感じながらステージに向かう私の脚どりが不自然なまでにゆっくりであったことを、皆さんどのように思われたことでしょう。そして引き続きビデオを構えている主人は、まるで公認のカップル同然の私と校長先生のことを、どんな気持ちでファインダーに納めていたのでしょう。こんな衆人環視の中で歩かされる私に淫蝶と股鎖の責めはあまりにも甘美で、途中で2度絶頂を覚えていたのですからなかなかステージにたどり着けないのも無理からぬことでした。

「おお〜!」
「キレイ……」

 ようやく到達したステージの正面から階段を上がると、場内は又一段とどよめき、私の晴れ姿を賞賛して下さる感嘆の声があちこちから聞こえました。そして花束を受け取るため正面にやって来たまりあは、母の目から見ても光り輝くばかりに美しく、私は感激で涙が溢れ前が見えなくなりました。そして……

「吉野先生っ!」

 芝居掛かった校長先生の大きな声が掛かったのは覚えています。ニッコリと微笑んだまりあに花束を渡して、会場が割れんばかりに万雷の拍手が鳴り響く中、私は体中がバラバラになるような強烈極まりないアクメの電流に撃たれて、ステージ上で無様に膝を折り下腹部を抑えてうずくまっていたのです。すぐに校長先生が助け起こして下さったので大事には至りませんでしたが、一生忘れないと思ったほどの物凄い絶頂で、私のドレスの中はおびただしい液体が溢れて冷たくなっておりました。

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