染められる…
黒鉄:作

■ 12

「す、すげえ…生の女のオナニーなんて、生まれて初めてみた……」
 若い男はぽかんと口を開けて、目の前で繰り広げられる淫猥なショーに夢中になった。その股間はむっくりと盛り上がり、いつでも目の前の女生徒を犯せる状態であることを、物語っている。
『あぁ…私、どうしてこんなにいやらしいことを…こんな場所で……でも…でもアソコが気持ちいい! オナニーが…こんなに気持ちいいなんて……駄目…手が止まらない……』
 顔をかろうじて隠そうとしている左手の下で、由香は自分がもう止まらないのを感じていた。誰に見られようが…もうどうなってもいい……。

「よおし、そろそろ駅に着きそうだな。おい、今回のお前のショーはここまでだ。いいな?」
 突然、男が抱えていた由香を下に下ろし、揺れ動く床に立たせる。自らの快楽に溺れかけて、真っ白な頭でオナニーに没頭しかけていた由香は、いきなりその行為を中断させられて、ぼーっとしたままそこに立ち尽くしていた。つい今しがたまで自らの指で熱く潤っていた女の部分が、更なる悦楽を求めて疼いているのが感じられる。頭の隅に残った理性的な自分は、電車の中での屈辱的なショーが終わったことに安堵しているが、一方の違う自分が、いきなり悦楽を絶たれたことに対して、もやもやとした不完全燃焼を感じているのは、否定できない。

 乱れたスカートの裾を直そうともせず、蜜で濡れた指先をだらりと垂らしたまま立ち尽くす少女に、男が下品な笑いをあげながら言った。
「おい、どうした? いきなりオナニーを止めさせられて不服か? もしかして、あのままイクまで続けたかったのかな?」
 その男の言葉を聞いて、はっと我に返った由香は、恥ずかしさと屈辱感が一気に戻ってきて、耳まで真っ赤になりながら、頭を左右に振った。イク、という言葉の意味はわからないが、それがひどく卑猥な感じを帯びているのはわかる。乱れた制服を震える手で直しながら、自分をじっと見つめている正面の若者や、あちこちから見ている他の客の視線を感じ、何も言えずに俯くと、自分の右手の指先にたっぷりと粘液が絡みついているのが見え、慌ててハンカチを出して、それを拭き取った。何もはいていないスカートの中で、股間から溢れた自分の愛液が太腿を伝って落ちてくるのを感じると、恥ずかしさで泣きたい衝動をグッとこらえながら、のろのろとスカートに手を差し込み、屈辱感に押しつぶされそうになりながら、黙ってその粘液をぬぐい取る。

「ほら、お前の未熟なオナニーを鑑賞して下さったお客様達に、感謝の言葉を言わないと駄目だろう?」
 男が後ろから由香の耳元で、また淫猥な台詞を囁く。陰鬱な気持ちで、由香はその台詞をかすれた声で言った。
「わ…私の拙いオナニーを…み、見て頂いて……ありがとう…ございました…うっ…うっ……」
 あどけなの残る綺麗な顔の女子中学生が、涙をこぼしながら言った台詞を聞いて、目の前の若い男が、うっ! と唸りながらビクッと体を震わせた。その様子を見て、何が起きたのか全く理解できない由香の耳元で、男が囁く。

「ほら、このお兄ちゃん、お前のエッチなショーに興奮しすぎて、どうやら我慢できなかったらしいな。ズボンの中で射精しちまったようだぜ。みろよ、ズボンにしみがどんどん広がっているだろう? お前のせいだぜ、可哀想に。女の生オナニーを目の前で見せつけられたら、兄ちゃんだってたまんねえよなあ?」
 そう言われてつい視線は若者の股間へと彷徨い、そこに男が言う通りの、濡れたしみがみるみるうちに広がっていくのを目にすると、たまらなくなって顔を背けた。男が射精する、というのは知識としては知っていたが、それをこんな風に目にすると、それがやけに生々しく感じられた。自分のあの行為を見て、この人は……そう思うと、居ても立ってもいられない気にさせられる。
「まあ、お前にはまだ男というものを体験させてないからな。もうすこし訓練が進めば、ああなる前にちゃんと処理して、男に恥をかかせることもなくなるだろうさ」
 男の言葉を聞いた由香は、目の前が真っ暗になるような絶望感を覚えた。訓練が進む? 男を体験? つまり、この男はまだまだ由香を放免する気はない、ということだ…。

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