羞恥ゲーム
〜自分の保全と欲望と〜
小早川:作

■ 第二章72

早紀は、スイッチを切り公園に急ぐ。貴子が始めて野外で露出オナニーをした公園。
公園東入口に着いたときにはもう辺りは暗闇に包まれていた。
入口近くに隠れ、受信機のスイッチを入れ、その時を待つ。

30分ほど経った頃、受信機から雑音の中、人が歩いている音が聞こえてくる。公園の横を歩いてくる石田の姿を見つけた。早々、早紀は行動を開始する。

石田は、公園の中をチラチラと覗きながらゆっくり歩いてくる。きっと、いつかのあの日の事を思い出しているのだろう。
東口に近づいた時、入口の所に何かを見つけた。
石田は、近づき見ると、あの時無くした筈の生徒手帳だった。石田は、生徒手帳を広い、ふと公園の中を覗く。
公園の中から何か音が聞こえた。石田は、誘われるように公園の中に入っていった。
公園の中には大広場と横に大きな池がある。
大きな池の周りを自転車に乗って走っている人影を見つけた。石田は、近くの茂みに隠れこちらに向かって走ってくる人影を見つめる。
自転車に乗っているのが女性だと分かる位に近づくと、石田は『あっ!』と思わず声を出しそうになった。
それもその筈、自転車に乗っているのは女性だったが、なんと全裸だったのだ。体を隠す事無く自転車に乗って目の前を通り過ぎて行く。
長い髪が風に靡き、池の周りを走り続けている。石田は、走っていく後姿を食い入るように見つめていた。
池の周りを大きく回り、また石田の方に向かってくる。
石田は、更に身を低く隠し今度はちゃんと見ようと構えた。
大きく胸が揺れている。公園の中にある外灯が女性の胸や茶色い繊毛がいやらしく輝いて見える。
石田は、女性の顔を見ようと目を凝らすが良く見えない。しかし、この前に見た女性ではない感じだった。が、自分とあまり変わらないような若そうである。
身を乗り出して顔を覗こうとした時、公園の奥から『キャー!』と大きな悲鳴が聞こえた。
石田は、ビックリして公園を飛び出した。石田は、振向き公園の中を見るが、そのまま自宅まで走って帰って行く。

早紀は、走って逃げていく石田の後姿を意味深な笑顔で見送った。
公園では、自転車に乗った女性が公衆トイレの裏に逃げ隠れていく様子が見える。
早紀は、携帯を取り出しメールを打つ。
メール「よく出来ました。誰かに見られてかもね。でもあなただとは分からないと思うからいいでしょ。お疲れ様。帰ってもいいわよ。どうせならそのまま帰ってもいいけど、あなたに任せるわ。じゃあね。」
メールを見た貴子は、グッと唇を噛み締めたが、トイレの裏に隠してあった服と手に取り着込んでいく。
貴子(きっと誰かに見られたんだ。さっきの悲鳴も凄く慌てたような感じだったし。でも、私ってばれてないよね?!)
そう思いながらカツラとメガネを外した。そう、貴子は、変装しながら全裸露出をしていたのだ。貴子は、変装グッズを袋に仕舞うと自転車を押しながら自宅へと帰っていく。

早紀と、公園の西口近くに隠れていた美紀が合流すると、一緒に石田が走っていった方に歩き出す。
早紀「美紀、あんたの悲鳴、本物ぽくて良かったよ。」
美紀「そうですか? 有難うございます。」
すべてが、早紀の予定通りだった。
美紀は、早紀を石田の家まで案内していく。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊