内側の世界
天乃大智:作

■ 第1章 想念5

 それは、石造りの建物の内部であった。建物と言うよりは、地下室のようであった。
空気が重くのし掛かってくる。周囲が空気ではなく、深海の水に満たされているような、じっとりとした空気である。
空気中に霊気を充満させたような、背筋が凍る気配が漂っている。
 その中央に悪魔がいた。
 巨大な生き物である。
 身長は、六メートルは超えているであろうか・・・
 巨大な角、背中に畳まれた翼、耳まで裂けた口から食み出した黄色い恐ろしい牙、三本の不気味な尻尾・・・
「どうしたの・・・サタネル総統」
 金髪の美女が、サタネル総統と呼ばれた悪魔の胸を撫でる。鱗に覆われた、分厚い胸であった。
「あん」と金髪美女が仰け反った。
全裸である。
金髪がパッと広がった。
鉤爪の付いた五指が、乳房を鷲掴みにしたのである。
金髪は苦痛に痙攣した。いや、官能の悦びかも知れない・・・
 反対側にブルネットの髪をした美女がいた。
ブルネット美女は、悪魔の股間に顔を伏せ、しきりに頭を揺すっていた。
そのブルネット美女も顔を上げる。その瞳が、同じ問いを発していた。
「どうしたの・・・」
 ブルネット美女の美しい肢体には、ピアスが幾つも付けられていた。そのリング状のピアスが揺れる。
 悪魔の太い腕が伸びて、ブルネット美女の太腿を掴む。
その鉤爪が、ずぶり、と白い内腿に食い込んだ。
ブルネット美女は、「あ、あ」と仰け反る。
そのまま、悪魔の腕は、ブルネット美女の太腿を引き上げた。
女の裸体は、逆様に吊り上げられたのである。
片足しか持たれていない所為で、女の股が大きく開く。
秘孔が、大きく開いた。
 その白い太腿の付け根の間に、ゆっくりと悪魔の尻尾が侵入した。
その先端は、男根の形状をとっているのである。
巨大な男根である。
その男根が形状を変えた。
まるで、ブルネット美女の性器に最も適合する形状に変更したとでもいうように・・・
「ひゃ、ひゃ、ひゃあああああああああん」
 ブルネット美女は、ピアスを揺らしながら、のたうち回った。
その理想的な男根が、性器の中で、凄まじく異様な動きを繰り返したのである。
白い女体は、全身が震えていた。
歓喜の痙攣であった。
 その間にも、悪魔は金髪美女の唇を押し広げ、長い舌を突き入れていたのである。
金髪美女の喉の奥から、くぐもった声がこみあげ鼻へと抜けた。
乳首をつままれたのである。そして、鉤爪が乳首を縦に貫いたのである。
反対側の乳房は更に圧迫され、乱暴にも五指に潰され掛けていたのであった。
指の間から乳首が食み出している。
窮屈に閉じこめられた白い乳房から飛び出した赤い乳首が、血の乳をたらした。
 どうしたのだ・・・
 サタネル自身も思う。
たった三回で、男根が萎えてしまったのである。
それは、不吉な予感であった。

■つづき

■目次

■メニュー

■作者別


おすすめの100冊