愛の妙薬
俊輔:作

■ 第2章 山田総合内科のあやめさん
第2節 サグラダファミリア10

あやめさん『そうすると、ラブホのお部屋で明るい電気をつけてエッチしたら、外から見えるのかしら?』
私『そのとおりです。あやめさんはやっぱ、頭がいいですね、お部屋をメチャ明るくしてエッチしていたら、外の人から、丸見えになってしまいます。』

あやめさん『それじゃ具合が悪いわね!』
私『それで、ラブホのガラス戸の透過率って、20%位に下げているんです。
これだと、室内灯をつけたぐらいでは、外に届く光って、少しだけなんですね!
それとね、外が明るければ明るいほど、お部屋の中の明るさを増してもいいんです。
メチャ明るい80%の反射光が、お部屋からの20%の透過光を幻惑して外にいる人からは、お部屋の中が見えないんです。』

あやめさん『そうすると、お天気の日と、曇った日では、お部屋の明るさを変えないとまずいわね!』
私『さすがです、あやめさんってすごいです。
多分、このラブホの説明書の中にそれについての記述があるかもしれません』

あやめさん『ここに、案内のパンフレットがあるわ!
このページかな? 
あった、あった、<お天気の良い日は、お部屋を明るくしても大丈夫ですが、曇った日は、あまりお部屋を明るくしないでください>って書いてあるわ、山中さんのおっしゃる通りだわ、さすが山中さんね、チョー尊敬しちゃうわー!』

私『夜の注意事項も書いてませんか?』
あやめさん『書いてるわー!<夜間は、『藤棚ボタン』は押さないでください。
さもないと、公園側からお部屋の中が丸見えになります。>って書いてるわ!』
私『そうなんです、夜は、公園側は真っ暗ですから、公園側から窓に届く光はほとんどゼロです。
その結果、反射光はほとんどゼロなんです。
ところが、明るいお部屋の中からは、20%の透過光が外に伝わります。
ですから、エッチしている二人の様子が外から丸見えになってしまうんです』

あやめさん『わかりやすい説明だわ、さうが、山中さんね、でも、もう一つ質問してもいいかしら?』
私『もちろんです、あやめさん!』

あやめさん『あのね、外の人が、おでこを窓に押し付けると、窓に陰ができるから、中が見えるんじゃないかなー?
あたかも、公園側が夜になったようになっちゃう!』
私『鋭い質問ですねー!
ますます、あやめさんが好きになってしまいます。
多分、このホテルのガイドの中にその対策が書かれているような気がします。』

あやめさん『それとね、外にいる人達って、
<日中、このお部屋の窓って、どうして、鏡のようになってるのかな?
おかしいよ、このお部屋の窓って???>って思わないのかしら?』
私『すごい質問ですねー!
多分、このホテルのガイドの中にその対策も書かれているような気がします。』

あやめさん、このホテルのガイドをペラペラめくります。
あやめさん『あったわ、これね、きっと、これだわ、読むわね!』
私『うん、ゆっくりと読んでください』

あやめさん『<(解説1)工夫すると、明るい側にいる人でも暗い側を見る事ができます。
おでこを窓ガラスにくっつけて、窓ガラスに自分の顔の陰を作って、局部的に、お部屋側と同じような暗さを作り出すと、屋外にいる人でも、お部屋の内側を覗き見る事ができます。
ですから、当ホテルはその対策をとっています。』

私『すごいなー、あやめさんの言った通りの事が書いてあるんだ!』
あやめさん『まだ書いてあるわよ。読み上げるわね!
<(解説2)単純なマジックミラーですと、屋外にいる人は『何でこんな所に鏡があるんだろう?』と思う事が想定されます
あはん、この窓ってマジックミラーでできているんじゃないかな、と思われるのは、あまりよくありません。
ですから、当ホテルはその対策をとっています。』

私『ほー!よく考えているんだねー!
さすが、サクラダファミリアの建築様式のホテルです!
それで、どんな対策なんだろー!』

あやめさん『読むわね。<当ホテルはこの特別ルームのガラス窓を、四重構造にしています。
一番外側は、雨戸みたいなものです。材質は、大理石です。
この戸は、お客様の利用が無い時間帯は閉めておきます。
お客様がいる時でも、マジックミラーを使えない夜間は閉めておきます。
日中、お客様がいる時、かつ、お客様が望んだ場合のみ電動式で、オープンにすればいいんです。>』

私『大理石の雨戸って、さっき開いたものかな?』
あやめさん『きっとそうね。続けるわよ。
<このマジックミラーのついている特別ルームのお部屋の向きは、太陽の直射日光が窓にあたらないようになっています。
光がお部屋を照らし出すと、お部屋の像が外から見えるようになるからです>』

私『なるほど、部屋向きも考えた設計になってるんだ、すごいね!』
あやめさん、私のこわばりを握りしめながら『続けるわね、雨戸構造の内側には、透明ポリマー窓、そして、その更に内側にマジックミラーが配置されています。
雨戸を開けると、このポリマー窓が外の人目に触れる事になります。
ただし、透明なので、普通の人は透明窓がある事に気がつきません。
この透明窓は、マジックミラーから20cm離れた位置になるように、硯箱の蓋のような構造になっています。

従って、外の人間がマジックミラーにおでこをくっつけてみようとしても、それができないですし、屋外にいる人が、たとえ、おでこを透明ポリマー窓に押し付けても、マジックミラーから20cmも離れているのでマジックミラーに陰を作ることができません、ですから、お部屋の内側を見る事は不可能です>』

私『なあるほどね、おでこを外から押し付けても意味がないような構造になっているんだ!』

あやめさん『<このマジックミラーの表面は、レースのカーテンで2重に覆われています。
このレースのカーテンの目的は、鏡みたいに見えるマジックミラーを隠す事です。

ただし、非常に網目の粗いレースなので、レース越しに屋外を見ると、レースの存在に気がつかないほど、向こうが鮮明に見えます。

一方で、4メートルも離れた所からレース越しにマジックミラーを見ると、編み紐の存在に邪魔されて、鏡の存在には全く気がつきません。
人間の目の特性を考慮した頭の良いデザインになっています。

なお、2枚のカーテンの内の1枚を開くと、外側が更によく見えるようになります。
2枚とも開くと、ほとんど、外が丸見えです。
大胆なカップルにお勧めです。>』

私『なるほど、素晴らしい解説です。これなら安心ですね。』
あやめさん『私、なんだか挑戦したくなってきたわ、ね、山中さん、レースのカーテンを1枚開けましょう!』
私『うん、それがいいですね、私、あけますね!』

私、電動式のレースのカーテンを1枚あけます。
私『あちらの4人の映像、かなり鮮明になってきましたね』

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