優等生の秘密
アサト:作

■ 5

 貢太は背中を思いっきり床に打ち付けた。衝撃で、一瞬息ができなくなる。逃げ出そうとしたが、京介がドアを閉め、その前に仁王立ちしていた。もちろん、一糸纏わぬ姿で。
「見たな。」
「さ、さっき来たばかりだ……!」
「嘘ばっかり。」
 しりもちをついた状態の貢太に、聡子が覆いかぶさる。先程までの行為で、頬は紅潮し、微かに汗ばんだ肌が艶かしい。
 聡子の白くて細い指が、貢太の太ももをなぞり、窮屈そうにしているものに触れる。
「っ……!」
 ただ指先が触れただけだったにもかかわらず、貢太の身体は大げさに反応してしまう。腰の辺りがびくん、と跳ねる。それを見て、聡子は楽しそうにくすくすと笑い、ズボンのジッパーを下ろすと、膨張し硬くなった一物を引きずり出した。
「ほら、こんなになってるのに……見たんでしょう?」
 指先が、くすぐるようにその輪郭をなぞり、亀頭の先端に触れる。鈴口から溢れ出している先走りが、聡子の指にまとわりつき、指を離すといやらしく糸を引く。それを、聡子が舌を出してぺろりと舐め取るさまは、あまりにも淫らで艶かしく、そして、美しかった。

 貢太はふと、これは夢なのではないかと思った。クラスで常にトップを争っている二人が、こんないかがわしいことを教室でしているはずがない。だが、それは違っていて、目の前で繰り広げられていた光景は全て現実なのだ。
「……だ、誰にも言わないから……だから……」
「だから、なぁに?」
 聡子が、貢太のペニスの根元を少しだけ強く握る。一瞬身体を強張らせた貢太の様子をうかがうかのように、聡子は上目遣いで貢太の顔を覗き込み、微かに指を動かす。その度に、身体が正直すぎる反応を返すのが、貢太は悔しかった。
「……ここ……はちきれちゃいそう……こんなに溢れてきてるし……」
 そう言うと、聡子はおもむろに貢太のペニスを口に含んだ。
「うあっ……!」
 今まで一度も経験したことのない快感が、貢太の身体を駆け巡る。聡子は亀頭の先端を舌の先でつつくように舐めまわすと、少し強めに吸い上げながら、頭を前後に動かし始めた。

「つ、辻野……っ……!! やめ……っ……!!」
 口ではそう言いながらも、貢太は僅かに自分から腰を振っている事に気付いた。悔しいような、恥ずかしいような、そんな感情が貢太の中をめぐる。次第に、自分の中の理性がどこかへ行き、衝動だけが残った。聡子の後頭部に手を回し、押さえつけるように腕と腰を動かす。
「んぐ……ぅっ……!!」
 聡子が苦しそうに呻くのが、何故かとても心地よかった。自らの先端が、聡子の喉を突いている事にも気づいていたが、もはやそれを止める理性は貢太の中には残っていない。聡子が涙目になり、自分を引き離そうともがいている様が、貢太の衝動をさらに加速させた。
「辻野……っ……!! 出すぞ……!!」
「んーーっ!!!」
 拒むかのように悲鳴を上げた聡子を無視し、貢太は全てを聡子の口内に吐き出した。数回大きく震え、その度に頭の中が白くかすんでいくような感覚が押し寄せた。

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