優等生の秘密
アサト:作

■ 12

 50分はあっという間に過ぎてしまった。貢太は6割ぐらいしか問題を解く事ができなかった。
「おい、真田、まだ習ってない範囲から問題出すのはやめないか?」
 加藤が不満を露わに、眉間にしわを寄せて京介を睨みつける。京介はそれを見て、少し冷淡に微笑んでいるだけだった。
 不正がないように、ノートは隣の人間に渡し、採点を行った。1位は予想通り京介で、正解率は9割ほどだった。2位は聡子で、京介との正解数の差はたった1問だった。聡子は悔しそうに、大きなため息をついた。
「3位、加藤。4位、仲原。正解率はどちらも約6割。差は2問だ。」
「なんだと!?」
 クラスで最下位の貢太とたった2問しか差がなかったという事実に、加藤は思わず席から立ち上がってしまった。クラスで4位の人間にも、これほど差を詰められた事はなかったのだ。
「5位、倉敷。正解率4割といったところか。頑張れば、十分にこのクラスでもついてこられるな。」
「あら、珍しいわね。京介が誰かに希望を与えるようなことを言うなんて。」
 聡子の表情が、微かに不機嫌そうになっているのを、京介は見逃さなかった。
「……事実を言ったまでだ。」
「あら、そう?」
 勉強では、いつも僅差で聡子に勝つ事ができるが、感情面になると何故か聡子に勝てない事が多い。京介は苦笑しながら、聡子を抱き寄せた。
「聡子、脱がせていいか?」
「……貴方が、勝ったんでしょ?好きにすれば?」
「……参ったな。」
 言いながらも、京介は聡子の服を脱がせていく。淡いピンク色の繊細なレースで覆われたブラジャーに、聡子の形のいい胸が収まっている。
(……綺麗な胸……)
 夏美は思わず、その美しい肢体に見惚れてしまっていた。

「……お前、辻野に見惚れているのか?そんな場合じゃないだろう?」
 背後からの声に、思わず身をすくめてしまう。振り向くと、加藤が下卑た笑を顔に浮かべて、夏美を見下ろしていた。
「……仲原は、いい所まで俺を追い詰めてくれた……だが、詰めが甘かったというわけだ。」
 言い終わると同時に、加藤は夏美の腕を掴み、床へ引きずり倒した。がたん、と椅子が派手な音を立てて倒れたが、加藤はそんな事も気にせず、夏美に覆いかぶさった。
「何する気よ……!!」
「決まっているだろう?俺の好きにするんだよ……」
 加藤の太い腕が夏美の服に入り込み、少しかさついた手のひらが、夏美の滑らかな肌の上を這う。
「い……っ、嫌ぁあっ!!」
 思わず悲鳴を上げ、加藤の腕を振り解こうとする。だが、いとも簡単に、両手首を片手で掴まれ、頭の上で押さえつけられる。
「夏美!」
 思わず、助けに向かおうとする貢太の腕を、聡子が掴んだ。
「どうしようっていうの?ルール、でしょ?」
「でも……!!」

 なおも言葉を続けようとする貢太の唇を、聡子の唇が塞いだ。そのまま、聡子は貢太のズボンを脱がし、中途半端に硬くなり始めたものを、優しく手で包み込んだ。
「つ、辻野……っ……!」
 昨日の事が、鮮明に脳裏に蘇る。反射と言っていいほどのスピードで、貢太のペニスは硬さを増し、天を向いてそそり立つ。心臓の鼓動とリンクするかのようにびくん、びくんと震え、先端からは透明な先走りが溢れてきていた。
 もはや、貢太の頭の中に、夏美を助けに向かうという選択肢は存在していなかった。身体の奥底から湧き上がる衝動のままに行動してしまいたいという欲求のみが、貢太を支配し始めていた。
「聡子、そいつのを舐める前に……」
 少し不機嫌なのか、京介は聡子の髪を掴み、半ば強引に自分の方を向かせた。そして、亀頭の先端で、無理矢理聡子の口を開かせて咥えさせる。京介に頭を掴まれ、顔を動かされながらも、聡子は貢太のものを手で、優しく扱いていた。

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