優等生の秘密
アサト:作

■ 35

 運命の朝が来た。貢太はいつもより早く家を出ることを、両親に怪しまれないか気が気ではなかった。だが、父親は相変わらず無関心だったし、母親は勉強熱心なのはいいことだと、笑顔で貢太を送り出した。
「よぉ。」
 家を出てすぐの所で、俊樹が煙草をふかしていた。寝癖なのか、わざと癖をつけているのか、判断の難しい茶髪をばりばりと掻きながら、だらだらと学校の方へ足を運んでいる。
「まだ迷ってんのか? 今日やること。」
「まぁ、弱み握られてるわけだし……」
「その写真だって、あの女が全裸でお前にフェラしてる写真だろ? 上手く利用できるって。」
 俊樹はそう言って、排水溝に煙草を落とした。ジュッという音がした次の瞬間には、煙草は水に流されて視界から消えていた。
 学校に着くと、いつもより多くの教師がいて、慌しく試験の準備をしていた。余程忙しいのだろう、誰一人として貢太たちに気付くものはいなかった。誰に呼び止められることもなく、すんなりと教室の前まで来る事が出来た。
「まだ、来てないかな?」
 おもむろに教室のドアを開けようとした貢太を、俊樹が無言で制止した。俊樹は教室の後ろ側のドアまで貢太を引っ張ってくると、少しだけドアを開けて、その隙間から中の様子をうかがった。
「見てみろ、二人居やがる。」
 言われて覗き込むと、そこでは京介と聡子が抱き合い、小声で何かを話していた。京介はこちらに背中を向けていたため、その表情は分からなかったが、聡子の表情は暗く、今にも泣き出してしまいそうに見えた。
 二人はしばらく抱き合っていたが、口づけを交わした後、京介は聡子の頭を優しく撫でて教室の入り口に向かった。
「まずい!」
 小声で叫んで、俊樹と貢太は慌てて隣の教室に隠れた。そこは、俊樹や夏美のいる普通クラスの教室だった。普段から出入り口が開きっぱなしであるため、音を立てずに隠れるには丁度の場所だった。二人が身を隠した直後、隣の教室のドアが開く音がした。京介が出てきて、廊下を静かに歩いていった。
「確か、試験は視聴覚室だったな。」
「あぁ。」
「好都合じゃねーか。」
 俊樹は小声でそう言って、にやりと笑った。視聴覚室は教室のある建物とは別の建物にあったため、移動に時間が掛かる。それに、たとえ教室中の窓やドアを開け放して叫んだとしても、試験中の視聴覚室の中まで音が聞こえる事はない。
「さぁ、そろそろ行くか。貢太、お前はいつも通り、教室の前側の入り口から入れ。それで、俺が入った後、鍵をかけるんだ。いいな?」
「分かってる。」
 貢太はそう言って、大きく深呼吸をした。そして、何食わぬ顔をして、教室のドアを開けた。
「あら、今日は随分早いのね。」
 聡子は僅かに動揺したようだった。だが、それを悟られまいと必死で普段どおりの笑顔を取り繕っている。
「真田は?」
 貢太はそう尋ねてみた。その質問に、貢太は事情を知らなかったものだと思ったのか、聡子は少し安堵したように微笑んだ。
「京介は、編入試験の試験官の補佐をするのよ。」
「知ってたよ。」
 ふいに、教室の後ろの入り口が開き、俊樹が現れた。聡子の注意がそっちに向いた隙に、貢太は入り口の鍵をかけた。
「貴方は……この間の……」
 聡子の身体が強張る。慌てて携帯を取り出すが、その手を貢太が掴む。あまりにも簡単に、聡子の手から携帯電話を奪う事が出来た事実に、貢太は少し驚いていた。
「仲原君……!?」
 聡子は自分に逆らう事がないと思っていた貢太がこのような行為に及ぶとは、夢にも思っていなかったようだ。動揺した様子で、貢太と俊樹を交互に見つめている。
「何を、企んでいるの?」
 出来るだけ冷静な声で、聡子はそう言った。
「分かるだろ? 優等生の聡子さん。」
 言うなり、俊樹は聡子の服の前をはだけさせた。慌てて隠そうとするが、その腕を貢太が掴む。
「やめてっ!!」
「こんないい胸を目の前にして、やめろって方が無理だ。」
 言いながら、俊樹は聡子のブラジャーを器用にはずすと、露わになった胸を乱暴に揉みしだいた。
「いっ……!!」
「へぇ、感度いいんだなぁ。」
 言いながら、俊樹は次々に聡子の服を脱がせていく。嫌がりながら抵抗する聡子の足が、俊樹の顔を蹴る形になった。

「ってぇな!」
 ぱん、と乾いた音が教室に響く。頬を思いっきりはたかれて、聡子は少しバランスを崩したが、貢太が腕を掴んでいたため、転倒することはなかった。
「貢太、腕放せ。」
「あ、ああ……」
 俊樹に言われるがまま、貢太は聡子の腕を放した。だが、すぐに俊樹がその片腕を掴んで、自分の方へ引き寄せる。そして、嫌がる聡子の髪を乱暴に掴んで、その顔を自分の股間へ近づけさせた。
「これから、どうすればいいか、分かるだろ?」
「う……」
 悔しさのあまり、聡子の口から呻き声が漏れる。
「もう一回、殴られてぇのかよ、この女!」
 俊樹に怒鳴りつけられ、聡子はその身体を強張らせた。震える手で、俊樹のズボンのジッパーを降ろすと、中から俊樹の一物をそっと引きずり出した。まだ柔らかいそれを、おずおずと口に含んで、舌で弄ぶ。みるみるうちに、それは硬さも体積も増し、聡子の口の中に納まらなくなった。
「んっ……ぐぅ……っ!!」
 聡子の口から、苦しげな声が漏れる。
「聡子さん、上手だねぇ。あの彼氏に、しっかり調教されてるみたいだねぇ。」
 調教、という言葉に聡子は言い知れぬ屈辱を覚えていた。
「貢太、お前も突っ立ってないで、何かしろよ。ずっと、おあずけ喰らってたんだろ?」
「あ、ああ……」
 貢太は、恐る恐る、聡子の胸に手を伸ばした。マシュマロのような柔らかさの中に、しっかりとした張りがある。その感触に、貢太は酔いしれるかのように指を動かし続けた。
「ん……んん……っ……!」
 聡子の声に、微かに甘い響きが混じったのを、俊樹は聞き逃さなかった。
「おいおい、この状況で感じてるのか? 相当なマゾ女だな、お前。」
 言いながら、俊樹は聡子の顔を少しだけ上げさせた。そして、聡子の頭を前後に動かせながら、片方の手で携帯のカメラを構えた。次の瞬間、シャッター音が響いた。
「お、綺麗に撮れたぜ?」
 俊樹はそう言って、画像を聡子に見せた。それには、聡子が俊樹のものをほおばっている様子が、しっかりと撮られていた。

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