2000.7.30.

俺だけの肉奴隷
01
木暮香瑠



■ 決行の日は来た1

絵里香

 耕市は、自分の部屋から絵里香の部屋を見た。
 二人は、家が隣同士でもあり、幼なじみであり、高校も同じ進学校に進んだ。お互い2階に部屋があり、向かいあっているため、窓越しによく話しもした。

 絵里香は、部屋には居ないようだ。耕市は、目線を斜め下に落とした。絵里香の姉の裕子が、車に載りお母さんと出かけるところだった。それを絵里香は、玄関から見送っていた。車の窓越しに絵里香のお母さんが声を掛けた。
「絵里香、戸締まりはちゃんとするのよ。あさっての夕方には戻ってくるから……」
「わかってる。もう、子どもじゃないんだから」
「だから心配してるのよ。わかったわね」
「はいはい」
 笑顔で絵里香が答えた。お母さんも、信頼を寄せた笑顔を返して、車は出ていった。

 絵里香は、高校三年生で、小学生の頃からピアノを習っていて、中学の時、練習が近所迷惑にならないよう部屋を防音室にしたくらいの入れ込みようだ。コンクールでも、いつも上位に入賞するくらいの腕前である。
 耕市とは、小学校の時、隣に引っ越してきた時からずっと仲のいい幼なじみだ。
 ニ歳年上の姉、裕子、輸入雑貨を扱う店を経営している母のちずると3人で暮らしている。3年前、輸入商をしていた父親をなくした。お母さんの輸入雑貨店は、父親が輸入商をしていた関係で、輸入雑貨を安く仕入れるルートを確保していて、3人が暮らしていくには十二分な収入があるようだ。
 姉の裕子は、大学に入るとすぐ、車の免許をとって、免許のない母を手伝いはじめた。
 近所でも評判のいい親子である。特に娘2人は、美人姉妹として評判である。姉は親孝行で誰に対してもやさしく、妹は、笑顔を絶やさず、挨拶がきちんとできる娘と、近所のおばさん達からも噂されていた。
 幼なじみの耕市も、絵里香と仲のいいことは自慢だった。

 耕市は今朝、家の前で絵里香の母と会った。
「おばさん、おはよっ」
 おばさんと呼ぶことをはばかるほど絵里香の母、ちずるは若く見える。39歳になると聞いているが、若者相手の商売をしてることもあり、いつまでも若さを保っている。絵里香、裕子と三姉妹といっても通るくらいだ。
「おはよう、耕市くん。今朝は早いのね。今日は暑いわね。もう、夏本番ね」
 そんな他愛のない会話をしていたが、
「あさってまで、留守にするの。心配だわ、絵里香一人にするの……」
 おばさんは、すこし心配顔になって話を続けた。
「韓国の雑貨も扱うことにしたの。それで、裕子と二人で韓国へ調査に出かけるの」
「韓国ですか? いいですね」
「裕子は試験休みだから……。耕市くんたちはこれからでしょう?」
「来週から期末試験です。」
 おばさんは当然知ってるだろうけど、と思いながらも耕市は答えた。
「女ひとりだけど、隣に耕市君がいるから大丈夫ね。気を付けてやってね」
 おばさんは、にこっとしてそう云った。耕市も、すこし微笑むように、そして、こくりと首を縦に振った。心の中で、絶好のチャンスだと思いながら……。

 三日前のことだ。学校の帰り道、耕市は絵理香から相談を受けた。お隣同士ということで、時間が合えば二人で帰ることも多かった。クラスメートからは、付き合ってるのか? と、冷やかされることも多かったが、耕市は、内心そう言われることがうれしかった。
 相談の内容はショックなものだった。
 絵理香のクラスメートから交際を申し込まれてるというのだ。
「どう思う? 悪いこじゃないと思うんだけど……」
 相手は生徒会長をしているヤツだった。
「俺じゃだめなの? 俺達、結構気が合うぜ。二人、付き合ってると思ってるやつも結構いるぜ」
 耕市は、すこし冗談めかして言ってみた。
「耕市と…? なんか違うんだな。兄弟? みたいな感じで…。
だって、私の裸見たことある男性って耕市だけだよ、お父さん以外…」
「小学生の頃の話じゃないか」
「小学生の時でも裸を見たのは耕市だけだよ。一緒に、よくお風呂、入ったもんね。
 それに、耕市、最近、Hだし。知ってるゾ。エッチな本見てるでしょう。私の部屋から丸見えだぞ」
 絵理香は、クスッと笑いながら言った。
「男なら誰でも見るよ。やつだって見てるよ、きっと」
 そう答えてはみたが、後は、何を話したか憶えてなかった。でも、絵理香を誰にも渡したくはなかった。



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