2010.07.21.

人妻強制バイブ
01
影山有在義



■ バイト

涼子は化粧をさっさと済ませ立ちあがった。
口紅をぬぐったティッシュを屑篭に投げ入れ
「あのくそじじい!」
とひとりはきすてた。
一発やって3万円もらってすむことだわ。自身を奮い立たせるように勢いよくドアをあけ、出かけていった。


 2日前、涼子は西新宿の藤井企画の事務所にいた。
事務所といっても古いワンルームマンションの一室だ。初老の藤井と向き合って座っていた。
「それではどうしても契約は解除できないということですか!」
きりりとした瞳で藤井の顔を真直ぐに見つめた。

藤井企画の募集したバイトに応募した涼子はその契約解除にのりこんできたのだった。バイトとは飲食店に占いボックスを置いてもらい、その売上と占いカプセルの補充を
するものだった。
努力しだいで5万円以上、2万円は堅いとのことだった。
しかし、店側からすれば一回100円の数パーセントの利幅はまったく魅力がないものだった。
20店、30店と店を回っても良い返事をもらえるところはなかった。しかもその占いボックスは藤井企画から一口5台を一月2万円でリースするという契約であることは後から気づいたのだった。
「リース契約だなんて藤井さん、おしゃらなかったじゃないですか」
「曽根倉さん、そんなことおっしゃられても契約書には月2万円のリース契約であることは明記されているじゃないですか」
藤井は契約書を広げてその個所を指差した。確かにリース契約について小さな字で書かれている。
「こんな小さな字じゃ虫眼鏡でも使わなきゃ見えないじゃない」
涼子はまけじと言い返した。
「曽根倉さん、私とは違って眼鏡を使わなきゃ見えないほどの歳にはみえませんがね」

藤井は涼子の腰から胸元までをゆっくりと見上げた。
その視線から逃れるように涼子は視線を窓へと移した。
窓の外は若葉がむせ返るような緑をみせていた。

「それに先ほどから申しておりますように、こちらの債権にかんしてはもう回収会社に譲渡しており、まったく私にはどうすることもできませんもので…」
涼子は泣きそうになる気持ちをおさえて、外を向いて窓際に立った。

くびれたウエストからぐっと張り出したヒップに藤井はねっとりとした視線をはわしていた。
厚みのある尻の肉がパンツを押し上げ、ウエストと足のラインを際立たせていた。
「私の家は今大変なんですから。夫は半年前から鬱病で会社を休んで、家にひきこもっているんです。1万でも、2万でも私が稼がなきゃならないんです。おわかりですか! こんなリース契約むすんじゃったら、契約の1年間は毎月2万円逆に払わなければならないじゃないですか。1年間で24万円も払わなければならないなんて嘘でしょ。私消費者センターに訴えますから」
涼子は話しているうちに気が高ぶりはじめた。
 藤井は涼子の尻を見ながら
「そうしていただいても結構ですよ、曽根倉さんのお気がすむのなら。私はあくまで企画をたててそれに曽根倉さんが乗ってリース契約をむすんだだけのはなしですから。リースの契約は契約から8日までにキャンセルできたのですから。法律的にはまったく問題ありませんから」
「契約解除できるなんて、おっしゃらなかったじゃないですか!」
「いえいえ私は確かに申しましたよ。とにかくこの契約は成立しております。残念ではございますが」

藤井は皮張りの椅子に深々と腰を下ろした。
 涼子は窓の外を見つめたまま、動けずにいた。

なんということをしていまったのだろう。
浅はかな自分を責めこんな企画を立てた藤井を恨んだ。考えてみたらバイトと称して、端からリース契約を結ばせることを目的とした詐欺に違いなかった。
しかし契約を良く読まずに判を押した自分がやっぱりまぬけだ。こんなこと夫に話せるわけがない。どう穴埋めするかを必死で考えていた。


「曽根倉さん。今回のことは私ももっとリース契約であることをはっきりさせればよかったですねぇ。申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも何回も申している通り本当に契約譲渡は終わってしまっているのです。私には今回のことはいかんともしがたいのです」
 やさしい言葉をかけられ涼子は思わず涙がでてきた。
「もう結構です。私、何か他のバイトを探しますから」
涼子は涙をぬぐって上を見上げた。

涼子の後ろ姿をみながら藤井は唇を舐めゆっくりと話はじめた。
「ほかのバイトなら紹介できるものがあります。月3万円でどうでしょう。2万円のリース代を払っても1万円残りますよ。しかも月一回、1日ですみます」
 涼子は振り返って藤井を見た。
そして藤井の正面に改めて座りなおした。
「そのバイトやらせてください」
「ほっ、ほっ、ほっ。曽根倉さん、そうゆうところがソソッカシイのですよ。まだ何をするのか聞いてないじゃないですか」
「やだ私。ほんとだわ。あははっ! やんなちゃう。で、そのバイト何するんですか?」
 藤井は顔を近づけて言った。
「月一日、私につきあってください」
「ええぇっ! 藤井さんとお茶すればいいんですか? それだけ?」
藤井は眼鏡を人差し指で押し上げ言った。
「あのね、曽根倉さん。私と寝るんです。私の相手をしていただくのです」



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