2001.9.06.

哀妹:芽衣
01
木暮香瑠



■ めざめ1

芽衣

 その夜、芽衣は、遅くまで本を読んでいた。

 高校生になって始めての期末試験が終わり、ほっとした気分で、パジャマのまま、本を読んだ。試験勉強で夜遅くまで起きているのが癖になっていた。なかなか寝付かれなかったこともあり、時間は12時を回っていた。また、単身赴任で大阪に行っていた父が、休暇を取り帰ってきていることもあり、嬉しくてすこし興奮していたのかもしれない。父は、金曜日を有給休暇を取り、金・土・日の三連休にし、日曜日の芽衣の16歳の誕生日を祝うため帰ってきたのだ。

 父親とは血は繋がっていない。芽衣の本当の父は、芽衣が5歳のときに交通事故で亡くなっていた。今の父親は、芽衣が中学一年:13歳のときに、母が再婚した相手だ。ほとんど父親の記憶がない芽衣は、父親が出来るだけで嬉しかった。喜んで母親の再婚に賛成した。父親が出来るだけではなく、兄も出来た。父親になった恭一には、芽衣の2つ年上・中学三年生になる息子の桂(けい)がいた。今では、二人とも高校生になっている。同じ進学校に進んだ。芽衣が一年生で、桂が18歳、三年生になっていた。

 今までは、家に帰っても、母親はいつも留守にしていた。女手一つで芽衣を育てるため、夜遅くまで働いていたのだ。私のために働いているのは分かっていたが、やはり寂しかった。でも、再婚してからは、家に帰れば兄がいる。母親の彩子も、午後6時には仕事から帰ってくるようになった。仕事で遅くなる父:恭一は食事は間に合わないことが多かったが、母、兄、芽衣と三人で食べる食事はとても楽しく感じた。いままでは、コンビニで買ってきた弁当を一人で食べていたのだ。それが、母が再婚してからは、母の手作りの夕食を食べれるのだ。そして会話があるのも嬉しい。同じ中学に通っている兄が、先生の話、勉強の話を面白おかしく話してくれる。母の再婚のため、新しい中学に転校したばかりの芽衣の不安を取り除いてくれたのだ。

 スポーツマンで背の高い桂は、勉強も人並みに出来た。人並みというより、上の下というところだった。サッカー部で、キツイ練習をしている兄は、家では勉強をしているところを見たことがなかった。それでも人並み以上の成績をとっていた。芽衣の解らない問題も、聞けばすぐに教えてくれた。そして今では、芽衣の自慢の兄になっていた。156cmの身長の芽衣には、178cmある桂の身長は、隣にいるだけで頼もしい存在だ。

 恭一も、実子の桂と芽衣の二人を分け隔てなく接してくれた。怒られたこともあるが、今まで父親に怒られたことのない芽衣には新鮮だった。母親には、謝れなくても、父親には素直に謝ることが出来た。

 そんな父の恭一が単身赴任で大阪に転勤になったのは1年前からだ。それを機に、母も今まで勤めていた雑誌社を辞めた。今は、雑誌社にパートで勤めている。お昼に出社し、午後6時には帰ってくる。父の恭一が、3ヶ月ぶり休暇を取って帰ってきている。夕食は、出前のお寿司をとり、久しぶりに家族4人での楽しい夕食を過ごした。初めての高校の期末試験の話や大阪のおいしい食べ物の話などで会話が弾んだ。

 そんなこともあり、少し興奮していたのだろう。なかなか寝付かれなかった。12時を回ったところでベッドに入り、電気を消したが目が冴えている。
(今日のかあさん、嬉しそうだったな……。お父さんも帰ってきてるし……。お父さんは、やはり、おかあさんの大切な人なんだ……)
 そんなことを考えていたとき、芽衣の部屋のドアのところから声がした。
「芽衣、起きてるか?」
 兄の桂だ。芽衣はベッドから立ち上がり、ドアをあけた。
「どうしたの? おにいちゃん……」
「ちょっとな」
 電気をつけようとした芽衣を桂が制した。
「電気は点けなくていいよ」
 そういうと芽衣のベッドの上にあがり、窓をそっと開けた。そこから顔を出し外を見つめていた。
「芽衣、ちょっと来て見ろよ。早く」
 桂が手招きをし、小声で芽衣を呼んだ。
「えっ、なに?」
 芽衣はベッドに上がり、窓の外を見た。桂は、後ろから芽衣の肩を抱き、『ほら、あそこ』と指差した。その指先には、両親の寝室がある。芽衣の背中には、桂の厚い胸板が押し付けられている。
(……ああっ、おにいちゃんの胸、厚い……)
 兄妹といっても、こんなに接近したことはなかった。耳元で兄の息使いが聞こえる。ちょっと荒い息使いだ。芽衣の心臓の鼓動も、ドキッ、ドキッと早くなった

 両親の寝室は豆電球だけが点けられていた。カーテン越しに両親の影だけが見える。
「芽衣、今日の晩飯、寿司だったろう」
「そうだけど、それがどうかしたの?」
 芽衣には、桂が何を言おうとしているのか解らない。
「晩飯が寿司の日は、あの日なんだ。3ヶ月ぶりだから、今夜は激しいぜ」
 桂は、そういってラジオを取り出し、チャンネルをあわす。ラジオから、声が流れてきた。

−−《……ああ、そこ……、あなた……》−−
−−《……彩子、愛してるよ……》−−

 それは聞き覚えのある声だ。男性の声も聞こえる。
「えっ、なに? おかあさん?」
 それは、確かに母の声だ。しかし、雰囲気がぜんぜん違う。
「しーっ、昼間のうちに仕掛けておいたんだ。よく聞いてみろよ」

−−《……あ、あ……や、いやンン……ねえ、あなた……》−−

(かあさん、嫌がってるの?……えっ、ちがう……)
 芽衣の心は戸惑いと好奇心で埋め尽くされ、破裂しそうに心臓の鼓動が早くなる。

−−《……ここか? ここがいいのか?……》−−
−−《……いっ、いい……あっ、ああ、そこ、い、いいっ、ううう……》−−

 男の声は、父親の恭一の声だ。窓のカーテンには、二人の影が揺れるように動いている。
「えぇ、おかあさんと……おとうさんなの……?」
 二人の声は、普段の聞きなれた声でなく、とても色っぽい声だった。芽衣は、あまりの驚きから、二人の寝室の窓から目が離せなくなっていた。芽衣自身、自分の身体が熱を持ってきたのがはっきりと分かった。
(おかあさんの声……、色っぽい……)

−−《……ああン。ううン……そうよ、あ〜ん、おっぱい、たまらないっ……》−−
−−《……あ、ああ、いやっ……ど、どうして、こんなに感じちゃうの……》−−
−−《……いや……いやあン……ああ、入れてください。イカせて……》−−

 芽衣は、背中を押すものを感じた。熱い棒のようなものが背中に当たっている。
(えっ、なに?……なにが背中に当たってるの?……すごく熱い……)
 背中には兄しかいない。兄の左手は芽衣の肩を抱いている。時折、頭を撫で、芽衣の背中まである黒髪をやさしく梳かしている。右手は窓から落ちないように手すりを持っていた。背中に当たるものが手でないことは、芽衣にも明らかだった。5歳のときに、実の父親と死別している芽衣には、大人の男性のものを見たことがない。一緒に風呂に入った記憶さえ消えかけている。それが、兄の男性自身であるとは、芽衣には思いもよらなかった。

 桂は、芽衣を背中から強く抱きしめた。背中に当たる棒が、さらに強く芽衣に押し付けられる。それはとても熱かった。熱くなっている芽衣の身体を、より熱くした。桂の腕は、芽衣の胸にあてがわれている。
(どうしよう……なになの……どうすればいいの……)
 芽衣の頭の中にを、両親の声と、背中に当たる不思議な熱い棒が支配していた。
「芽衣、ブラジャーしてないのか?」
「えっ、……うん……、寝る時はしないの……」
 自然と素直に答えてしまう。
「……締め付けられるのが……イヤだから……」
 顔を真っ赤にしながら下を向いたまま、桂の質問に芽衣は答えた。

−−《……一緒にイッてえ……ああン、あなた……》−−
−−《……》−−
−−《……いっ、いい……あっ、ああ……い、いいっ、ううう……》−−
−−《……あっ、あっ、うあっ、イクぅ、イクイクう……》−−

「かあさん、イったな。第一ラウンド終了ってとこか」
「……イクって?……」
 顔を真っ赤にした芽衣が、うつむいたまま、桂に聞いた。男性経験など芽衣には、イクということが解らなかった。二人の行為がセックスだということは解っていた。
「感じたんだよ。おやじとのセックスで……」
 そういって桂は、芽衣の部屋を出て行った。



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