2011.04.27.

Midnight Hunter
001
百合ひろし



■ 第一章 屋島学園1

■ 序章

私立屋島学園高校―――午前2時。学園の隣の小屋から音も立てずに人影が出てきた。そして校舎の壁伝いに歩き、それから狙っていたものを視界に捕えた。
「こそ泥さん、そこで何をしてるのかしら?」
女だった。その女はそこで不審な行動をしていた男に声を掛けた。男は手に持っていた懐中電灯を女に向けたが女の足元を僅かに照らしたのみで避けられた。
「こっちよ」
反対から声が聞こえた。男は慌ててその方を向くが既に女の姿は無かった。
「誰だ」
男が叫ぶとその瞬間後ろを取られ、柔らかい感触を背中に感じた瞬間腕を捻り上げられた。女は、
「フフッ、体操着を盗もうとでもしたのかしら?ブルマなんてとっくに滅んだのにまだ盗もうだなんて―――」
と言った。男は驚いた。何故この女がそんな事、自分の犯行動機を知っているのかと……、誰にも話す訳が無いのに。
そう思った瞬間、鈍器で殴られる様な衝撃を覚え、男の意識は遠のいて行った。崩れ落ちるその瞬間に見たものは―――。
ウエーブの掛った髪、顔の上半分を隠すマスク、そして―――体には濃紫のリボンが付いた薄紫色のブラジャーとパンティ、つまり下着しか身に着けていなかった。
男は女の足元に崩れ落ちローアングルで女の股間から胸を見上げる形になり、黒の靴下とスニーカーを僅かに視界に入れ、
「あ……あの噂……本当だった……のか―――」
と言った瞬間に止めを入れられ意識を失った―――。

ヒュッ

女が軽く指笛を吹くと何処からかもう一人、長身の男だろうか、暗闇に溶けこみ殆んど見えないがそこに現れ、泥棒を担ぎ上げてそのまま去って行った。女はそれを見届けた後、
「ふう……、そろそろ次を探さないとかしら」
とブラジャーとパンティに指を通して直しながら呟いた。



■ 第一章 屋島学園

次の日全校集会が行われ、盗難には充分に注意するよう生活指導部と生徒会から発表があった。生徒会長の赤城理彩は、
「―――という訳なので注意して下さい。また、こういった事を未然に防ぐ為にも色々改善していきたいので、何かいい案等あったら直接生徒会または生徒会への要望掲示板にでも構いませんからよろしくお願いします」
と凛とした態度で話していた。彼女は160cm代中盤の恵まれた体格、出る所と締まった所のメリハリある体型、制服のミニスカートからスラッと伸びた足に加え、栗色の長い髪を綺麗にまとめて後ろに流していた。遠目から見ても相当な美人であることを感じさせたが近くで見たら圧巻だった。さしずめプロのモデルが壇上に上がっているようなものだった。

集会後、各自教室に戻った。2年1組の宮原葵は、
「生徒会長赤城先輩……憧れるなあ……」
と呟いた。彼女は清純派アイドルの顔立ちに身長は生徒会長の理彩とほぼ同じ166cmだったが、理彩とは違い黒髪を肩よりやや伸ばし、右側面を少し縛ってアクセントにしていた。体型は理彩よりはやや太め―――そう。葵は中学では柔道を、そしてこの高校に入学してからは空手部に入った影響で少しカッチリした体つきになっていた。勿論服を着てしまえば解らない世界ではあるが。
「コラコラ、あんただって結構人気あるんだぞっ」
友人の港優香が軽く葵の頭を小突いて笑った。彼女は葵より小柄だが、明るくて活発な性格だった。そして周りがよく見えるからか、葵が人気ある事を知っていた。

放課後―――。葵は廊下ですれ違った生徒の話が耳に入った。
「榊のヤツ、タバコで停学だってさ。夜中に忍び込んで吸ってたらしい」
「態々来ないで自分の部屋でやってりゃバレずにすんだのにさ」
榊和弘―――、葵とは1年生の時一緒のクラスになった男子生徒だった。彼は少し変わった感じだったがサッカー部で活躍する生徒で非常に模範となる生徒でもあったのでタバコを吸っていたとかは初耳だった。言ってしまえばタバコを吸う人は空気で解る。しかし、彼からはその様なものは一切感じなかったのである―――。
「何と無くおかしい」
葵は呟いた。榊とは何度も話した事があるのでそういった事をするようには思えなかった。

まずおかしい点は、今すれちがった生徒が言っていた事だった。私立屋島学園は寮生活する人と自宅から通学する人に分かれる。榊は後者―――自宅通学なのである。だから態々見付かるリスクを背負ってタバコを吸う為に夜中に学校に忍び込んだりするのだろうか?否である―――。
「何か裏がありそう……」
葵はそう呟いて後でちょこっと調べる事にした。

葵は空手部である。葵が入学した時、空手部は10人居てそのうち3年生が9人だった。最初に1人しかいない2年生が辞めて、その後夏の大会を最後に3年生が部を引退した。その後も1人残った葵を心配して受験のストレス解消とか言って練習を見てくれたが彼等が卒業し、葵が2年生に進級した今はたった1人。それでも葵は練習を続けていた―――。

そして練習を終えた後、片付けて着替えてから帰宅―――寮に帰った。葵は寮生である。そう、もし榊が葵と同じ寮生ならば寮でタバコを吸う訳には行かないので学校に忍び込む事も考えられる―――といった具合いだった。
葵はPCを起動し、あるサイトに接続した。

そこは屋島学園の裏サイト―――。

2年になって同じクラスになった虻山啓介とちょっとした事で親しくなり、教えて貰ったサイトだ。クラッカーである彼曰く、学園の裏情報はここで取れるとの事だった。
入れる人は数少ないがスレッド式掲示板のこのサイトは物凄い情報が溢れている―――。学年主任と保健室の先生が逢い引きしたとかいうゴシップから次のテストの配点や過去問等見始めたらキリがない。
その中に榊和弘に関するスレッドがあった。


「え―――?」
葵が釘付けになったのは、榊が発したと言われる言葉だった。
『下着姿の女にやられた……』
直接掲示板にそうは書いていない。葵は斜め読みでそう書いてある事に気付いてしまったのである。
今までもこの掲示板で取り沙汰された事はあった。とはいっても直接そういったスレッドを立てても誰にも相手にされない。隠語や縦読み、斜め読み、更には逆斜め読み等を駆使して知っている者は極力知られない様に噂を流した―――。
その情報をまとめると、下着姿の女性が毎晩校舎の見回りをしていて、何か事件を起こそうとする者を倒す、つまりミッドナイトハンターだということだった。
葵はその情報を見る度に、
「そんな人……いっこないよ」
と思っていた。しかし、下着は兎も角、そんな夜中に学校を守るなんて凄いとも思った―――。もし教員や生徒だったらいつ寝るのだろうか?昼は普通に登校し眠気を感じさせないよう普段は過ごし、そして夜中はハンターである。並の精神、肉体では出来そうにない―――。


葵が空手部で稽古をしていた頃、赤城理彩は生徒会室に残り、PCを起動し、生徒名簿を出した。そして情報を注意深く眺めていた。先ずは2年、そして1年と―――。
「会長、そろそろ時間ですよ」
書記が言った。理彩は、
「ありがとう、片付けてすぐに出るわ」
と言った。書記は、
「何をそんなに熱心に?」
と聞くと理彩は、
「特待生の推薦をして欲しいって理事長から言われましてね」
と答え、PCの電源を切った。その時丁度部活動終了の鐘が鳴り、まだ部活動を続けている生徒を注意する為に書記と見回った。
空手部―――。
理彩はまだ片付けもせずに稽古を続けていた葵に、
「宮原さん、もう時間だから早く帰りなさいね」
と注意した。葵は、慌てて、
「あ……、はい。急ぎます、すみません、聴こえてませんでした……」
と言って時計を確認した後、片付け始めた。
「宮原葵さん―――か。確か寮生だったわね」
理彩が呟くと葵はそれに気付き、
「寮生ですが……どうか―――しましたか?」
と聞いた。理彩は、
「いいえ、何でもないわ。寮生だからって遅くなって良い訳じゃないから急いでね」
と答えてその場を立ち去った―――。


夜中AM1時―――。1人の男子生徒があくびをしていた。その男子はPC室から裏サイトに入った人だった。だが通常の方法では校内から裏サイトには入れない―――。ほぼクローズ状態のプロキシサーバーを立てた人がいてそこを経由して入ったのである。男子生徒は、学校から出ずに夜中まで待っていたのだ。ミッドナイトハンターの話が本当か確かめるために―――。榊が言った内容から、唯の噂や妄想から真実実を帯てきたこの話を確かめたいと思ったからである。
榊の言った内容からして、榊は相当注意深く忍び込んだに違いない。ミッドナイトハンターの事を言っていた訳だから、適当に入り込んで適当にやっただけではあっという間にミッドナイトハンターに捕まってしまうだろう。しかし、注意していた榊でさえも捕まってしまったのだから、注意せずには居られなかった、という訳で足音1つ立てずに男子生徒は校舎の中を移動した。と、その時―――。
「……ぁぁ……」
微かに声が聞こえた。男子生徒は、
「ん?」
と思ったが声を出す訳には行かない。自分が声を出せばミッドナイトハンターに気付かれるかもしれないからだ。自分が声を出さなければミッドナイトハンターはその微かに聞こえた声の方に気を取られる、またはあの声がミッドナイトハンター自身かも知れない。そう思って注意に注意を重ねて声のする方に向かった。
その声は真っ暗な職員室からだった―――。
「あ……っ、ああっ、あん、あん、あん、あああっ」
僅かに開いている職員室の扉から丁度その様子が月明かりに照らされて見える。男子生徒は目が釘付けになった。その男子生徒が知らない、つまり教わった事の無い20代中盤位の女性教師で、ブラウスははだけブラジャーも上に上げて乳房を晒し、ジャケットとスカートは床に脱ぎ捨ててパンストは脱いで片足に引っ掛けた状態で黄色のパンティの中に右手を入れて激しくマ●コをこねくり回していた。女性教師は足を入り口に向けていた。つまり、その手の動きが一番見える向きだったのである―――。耳が慣れて来たので良く聴くと、グチャ、グチャといやらしい音を立てている―――。その教師は体を反らし、丁度乳房が天井を向く感じで椅子にだらしなく座り、片足を机の上に乗せ、更に激しくパンティの中で右手を動かし、パンティは見る見るうちに濡れて来た。そして左手で乳房、乳首を弄んだ。顔は背もたれの向こうを向いて、長い髪が揺れていた。
「ああああっ、あああん、あん!ああっ、あああっ、イク!イクゥゥッ!!」
女性教師はそう叫ぶと限界まで体を反らせた後、激しく痙攣させて果て、そのままゆっくりと椅子から滑り落ち、更にグチョグチョに濡れたパンティに右手を突っ込んだまま床の上に大の字になり、暫くの間小さく声を出しながら、ビクッ、ビクッと痙攣していた。
よく見るとかなり美人の教師だ。そんな教師が夜中に1人で電気の点いていない、月明かりに照らされた職員室でオナニーに耽る、という異常な光景に男子生徒は我慢が出来なくなり、教師のオナニーを見ながら自分もチ○ポをしごいていた。そして教師がイクと同時にドピュッと射精をしていたのである。
「はぁぁ、やってしまった」
男子生徒は脱力感を覚えながら呟いた。と、その時―――。頭に衝撃が走り、男子生徒は気を失った。榊とは違って一瞬で―――。
「……」
そこに立っていたのは、ウエーブの掛かった髪、顔の上半分を隠すマスクを着け、紺の靴下と灰色の靴、そして赤いブラジャーとパンティ姿の女だった。
「私まで濡れそうだったじゃない……。美幸先生、勘弁して下さいよ……」
女はそう思い、扉から中を覗いて美幸という名の教師が床の上でパンティに手を突っ込んだまま大の字になっている状態のままである事を確認してから、パンティの上から股間を触って確認し、そのまま指でパンティを直した。―――少しばかり濡れていた。


男子生徒は目を覚ました。見たことの無い部屋に居た。
「こ……ここは……」
男子生徒が言うと、1人の男が男子生徒が起きた事に気付き、
「勘弁してくれよ。夜中の校舎の中で夢遊病みたいにイチモツを出しっ放しで歩くのは―――。今だから良かったけど、普通なら警察沙汰だ」
と言った。男子生徒は、
「よ、用務員のおっちゃん!」
と顔を真っ赤にして言った後、恥ずかしさで何も言えなくなった。用務員のおっちゃん―――、というにはかなり若い男だった。見た目は30代半ばでツナギの良く似合う筋肉質で野性的なイケメン―――7〜8cm位の長さの髪を立てて無精髭を生やしていた。
「――――――!」
更に恥ずかしい事に、そこに、生徒会長の赤城理彩が入って来たのである。
「な、何で赤城先輩がここに……!」
男子生徒が言うと、理彩は、
「用務員さんは理事長の"弟"なのよ。後は解るでしょう?」
と顔を赤らめて答えた。男子生徒はそれで納得するしか無かった。理彩は理事長の年の離れた従姉妹である事は全校生徒の半分位の人は知っている。それならば、理事長の弟の用務員の所に遊びに来ていてもおかしくない、とそういう事なのである―――。
男子生徒はその後帰された。結局、次の日裏サイトの掲示板に書いた事は―――、

ミッドナイトハンターは居なかった。居たのは用務員だった。

という事だった。彼自身ミッドナイトハンターに会った訳でもなく、更にはオナニーして絶頂に達した後気絶させられただなんて言える訳が無い。せめてもの救いは美人教師のオナニーを拝めた事か……。兎に角その男子生徒はこれから先「居やしない」ミッドナイトハンターに関わる事を辞めようと固く思ったのである。
因みに何で夜中に美幸が居たのかというと―――、試験期間が近くなったりその他の理由で忙しくなり時々帰れない教師が出て来ることがある。美幸はたまたまこの日はそういう日だった、という事である。あくまで「たまたま……」。そんな帰れない教師の為に私立らしく洗濯機や乾燥機は勿論シャワー室まで完備してしまえば、それらの設備をフル活用するそういった教師が出て来てもおかしくは無い。「バレない」様に心置きなく出来るといった塩梅であった。

まあ時々裏サイトで、
体育器具庫の中でマットに埋もれながらオナニーしていた女子生徒
保健室でセックスをしていた保健室の教師
夜中のプールで水着の替わりに下着姿で泳ぐ女子生徒
音楽室の中にある器楽用の小部屋で大の字になってオナニーしていた女子生徒
学習室にある角の丸い机を使ってこすりつけオナニーをしていた女性教師

とこの手の話は枚挙に暇が無い。想像以上に多いのは、恐らくセキュリティに厳しく、時間が過ぎたら完全に外から入れなくなり、中からも出られなくなる事、更にその時間が近くなると生徒会の役員が見回りをして残っている生徒や教師に声を掛けるので時間になれば全員学校から出る。逆に言うと、生徒会役員に見付からなければ夜中の校舎内に留まる事が出来るという安心感があるからなのだろう。しかし、覗く側も同じ条件なのである。つまり覗く為にオナニーする側と同様に生徒会役員に見付からないようにすればよいのであった―――。



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