2003.06.13.

売られた少女
02
横尾茂明



■ 羞恥1

 美由紀は三叉路で級友の美奈代と別れ、家路を急いだ。
郵便局の玄関の時計は5時近くを差している・・
(遅れるとまたおばさんに叩かれる・・)
美由紀は次第に小走りに駆けだした。

美由紀は走りながら昨夜の出来事を反芻した。
昨夜も遅い風呂を上がると・・おじさんが部屋にやってきた。

「美由紀! いつも言ってるだろう、儂の足音が聞こえたら裸になってお迎えしろと!」

「・・・・・おじさんごめんなさい・・・」

美由紀は赤くなりながら慌てて帯を解き浴衣を肩から落とした。
浴衣の下にはいつものように何も付けていなかった。
美由紀は美しい脚を折り曲げ、正座をして三つ指をつき、満面羞恥色に染め
「今日も気持のいいことお教え下さい」と静かに言った。

久三は美由紀の背中に手を置き「よしよし・・寝ろ」と命じた。

美由紀はいつものように仰向けに寝た・・
顔を手で覆い羞恥と恐怖で微かに震えた・・
美由紀はもう1ヶ月近く続く叔父の性の教育には、まだ慣れることが出来なかった・・。


美由紀は数年前に母を亡くした。・・東海地方を襲った伊勢湾台風である。
当時美由紀の住んでいた名古屋市の港区は悲惨の一言につきた。
木場に係留された大木が流れだし一瞬で美由紀の家は破壊された・・。
美由紀と母は深い濁流に呑み込まれたが、美由紀だけは幸い木に引っ掛かり助かったが・・母は濁流と共に名古屋港に呑まれた・・死体も上がることなく美由紀は何日も海を見つめ泣いていた。
そしてショックのあまり一時的に記憶をなくした。
1ヶ月後に記憶を取り戻した時は桑名の叔父叔母の家に引き取られていた。
叔母は母の借金の保証人をしていたため自分の土地の半分を売ってその借財に充てた。

母は戦前は港の通関事務をしており、戦後は駐留米軍の事務に雇われていた。
母はそこで米軍の水兵と恋に落ち・・美由紀を妊娠した。
水兵は母の妊娠を知らぬまま日本を去った。母は妊娠を親に告げたが、親は相手が米兵と知るや驚愕し堕胎を迫ったが妊娠4ヶ月を越え医者は母胎の危険を諭した。
母は近所の体裁も有り、桑名の妹夫婦に身をよせそこで美由紀を出産した。・・美由紀が1才を過ぎた辺りから混血特有の彫りの深い顔立ちに変貌していく様を見て・・母は美由紀の将来を悲観した。

美由紀が小学校に上がった。下校の途中・・「あいの子!」と揶揄され毎日の様に泣いて帰る美由紀を母は不憫と思い、妹夫婦に保証人を依頼し借金をして名古屋の港区に喫茶店を建て開業した。
そのころ名古屋に出来たアメリカンスクールに美由紀を編入する事が出来・・この頃が美由紀と母の一番幸せな時期と言えた。

しかし幸せはそれほど長くは続かなかった。・・伊勢湾台風である・・。

母の喫茶店は跡形も無く消え・・借財だけが残り、叔母は引き取り手の無い美由紀を仕方なく呼び寄せたが・・美由紀には辛く当たり、少しでも粗相をすると食事抜きに留まらず打擲に及んだ。

美由紀は地元の小学校に編入させられ、また「進駐軍相手のパンパンの子!」とからかわれ美由紀は次第に無口な子になっていった。

中学に行き始めた頃・・美由紀は周囲を圧倒するほどの美しい少女に変貌していった。
美由紀は羨望の眼差しで見られる事は有っても以前の様にからかわれることはもう無くなっていた。

妹夫婦は変貌していく美由紀に対し、
「私たちはお前の母親の多額の借金を肩代わりしているんだ! 中学を出たらお前の体を売ってでも、親の借金はきちんと返して貰うから覚えといで!」
と事有るごとに言い聞かされていた。

1ヶ月前・・稼ぎ頭の若い芸子が帳場の金を持ち出し客と駆け落ちをした・・。
当時美由紀は女中の様にこき使われ、その夜・・ヘトヘトに疲れた美由紀が帳場の格子戸の鍵を閉め忘れたのが原因だった・・。
芸者の置屋を営む叔母は発狂したように騒ぎ立て、
「お前が災いの始まりだ!」
と美由紀に八つ当たりし、失神寸前になるまで叩いた・・。
その夜、泣き疲れて眠る美由紀の寝所に叔父の久三が来た・・。

「美由紀・・芸子に金を持ち逃げされ台所はガタガタや・・女房はヒス起こすし・・
 新しい芸子雇うにも支度金やなにやらで、どうしてもまとまった金がいる・・
 しかし逃げた芸子に粗方の金は盗られた・・そんなこと警察に言っても出てこんわなー!・・」
「そこで相談やが・・お前には悪いが・・扇屋の若旦那のもとに行ってくれんか」
「なあに・・初めはちょいと辛かろうが、旨い物は食えるし服も買って貰える」
「なっ! 儂等を助けると思ってそこんとこ堪えてくれや」

「・・・・・・・」

「若旦那に中学もそのまま行かして貰えるよう頼んでみるからナ」
「まっ、お前の両親がつくった借金は! それもこれで帳消しやから」

「・・・・・・・・」

「な! 分かったな」

「そうと決まれば・・お前の体・・品定めをせんといかん・・」
「ちょっとべべ脱いでそこに立てや!」

美由紀は久三の言葉に呆然とし・・淡々と事務的に諭す久三に対し恐怖で気が遠くなりそうだった。
いずれかこの事態が訪れるとは予期していたが・・
こんなにも唐突に訪れるとは・・。

「早よせんかー!」

美由紀は布団を握りしめイヤイヤをするように首を振った。

「美由紀・・また叩かれたいのか!」

美由紀は久三が怒ると・・叔母以上に恐いのは身にしみて知っていた。
布団の端を手でギュっと掴み、ただオロオロと震えるばかりであったが・・
叔父の形相を見て恐怖した・・。

美由紀は弾かれるように起きあがり浴衣の襟を押さえて直立した。

久三は布団の上に胡座をくみ顎で脱げと指示した。

美由紀はもじもじとうなだれ腰が抜けたように震えるばかりである・・

しかし久三の威嚇的な咳払いで美由紀は観念せざるをえなかった。

美由紀は大粒の涙を零しながら帯を解き始めた・・。

浴衣を脱いだ時・・母を思った・・小声で「お母さん!」と叫んだ。

暗い閨にボーと白い女体が浮かび上がった

「暗くてよく見えん・・美由紀! 明かりを点けろ」

美由紀は羞恥に染まりながら電灯の紐を引いた。
部屋が昼のように明るいと感じた・・。
美由紀は明るさの中・・お乳を手で隠してガタガタと震えた。

「んんー・・これはエエ! お前の体は・・もう大人じゃのー!」
「肌の白さといい・・艶といい・・こりぁー若旦那に高く買ってもらわにゃーの!」
久三は舌なめずりするようにニヤついた。
久三の前に立つ美由紀の肢体は白人の血の混じりか・・日本人とは明らかに異なる真っ白な肌と、すらっと伸びた美麗な脚、お乳は美由紀の手では有り余る豊満さを湛えていた。

「さー美由紀! パンツも脱がんか!」

美由紀は後ずさり・・俯き嗚咽しながら、
「おじさん! 堪忍して下さい」
「これからは一所懸命に働きますから・・どうか堪忍して下さい」

「うるせー! テメーのようなガキが働いて幾ら稼げると思ってんだ!」
「俺が静かに言ってる内に観念しねーか!」

美由紀はお乳を腕で隠しながら体を震わせて泣きだした。
久三は美由紀の泣き声が奥に聞こえやしないかと慌て・立ち上がり美由紀の口を掌で押さえた。

「コラ! 泣くんじゃねー」
「光子に聞こえたらどうする」
「なっ、美由紀・・変なことするんじゃねーんだ・・ちょこっと体を見るだけだから」

「さー泣いてないで・・パンツ脱がすぞ」

久三は美由紀の頭を撫で・・しゃがむと同時に美由紀のパンティーに手をかけ一気に引き降ろした。



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