2011.04.26.

梨華子と亜矢子
003
百合ひろし



■ 第二章 縞パン1

梨華子と亜矢子が梨華子の言う『騎馬戦』をした後、梨華子は悶々とした状態から解放されて普段の梨華子に戻った。そして成績も亜矢子と並ぶ様になった。
「一体あの時は何だったんだ……?」
先生は訳分からずに梨華子に聞くと、梨華子は、
「ちょっと精神不安定で……プレッシャーがあったんです」
と答えた。先生は、
「そうか。そういう事もあるな。これからも頑張れ」
と背中を押してくれた―――。


暫くし、梨華子の記憶から『騎馬戦』をした記憶は薄れて行った。亜矢子とはいつもの様に一緒に学校に来て、一緒に過ごし一緒に帰る。それを毎日繰り返していた。
一方亜矢子は、ふとした事で梨華子に反発心を抱いた。それは球技大会―――。二人は当然の様に一緒にバスケットボールをやろうとしたが、チームを決める日に亜矢子は熱を出して欠席してしまった。しかも運が悪く、バスケットボール、バレーボール、そしてソフトボール、どれもチームは一人足りない状態で、梨華子と亜矢子が一緒のチームに入るのは事実上不可能になった。
梨華子はその時迷った末、自分がバスケットボールに入り、亜矢子は最後まで決まらなかったソフトボールにしたのである―――。亜矢子は梨華子の口からそれを聞いた時、
「うん、残念だったね―――一緒にやりたかった」
と言っただけに留めたが本当はカチンと来ていた―――。
何故梨華子は、一日決定を延ばしてくれなかったのか―――?
何故梨華子は、他の人と相談して二人で入れるようにしてくれなかったのか―――?何となくバスケットに入った人だって居るのだ。球技大会なんて本当はどうでもいいのに学校の行事だからといって仕方なくアミダでバスケットになったからバスケットのチームに入った人だって居た筈だ、いつもそういうのが居たのだから―――何故そういう人を説得してくれなかったのか?
亜矢子は高熱を出して正常な判断が出来なくなっていたのかも知れない―――。普段だったら、お互い努力しても一緒のチームになれないのだとしたら、くじ引きでも棒倒しでも何らかの方法で勝負して決めて、それから「お互い頑張ろうね」で済んだのかもしれない―――。しかし、今の苦しい、心細い状態では些細な出来事が一時的な梨華子への憎しみになってしまうのに時間は掛からなかった。
しかしそれでも亜矢子にとって梨華子はかけがえの無い大切な親友―――。
「何で私に隠すの?言わなければ絶交する」
その位の存在なのである。でもだからこそこの件についてはキッチリけじめを付けたいと思うにまで至った。

今迄どうしてもどちらか一人でないといけなかった時は何らかの勝負―――?勝負―――勝負???
朦朧としている亜矢子の頭に浮かんだのはこの間梨華子とやった『騎馬戦』だった―――。


三日後―――。亜矢子は完全に回復した。いつもの様に梨華子と学校に来て一緒に授業を受け、そして一緒に帰った。その帰り道で、
「今日夜、うちに来れる?」
と聞いた。梨華子は、
「うん。大丈夫だよ」
と答えた。亜矢子は、
「良かった。今日はうち誰も居ないんだ。私一人」
と言った。亜矢子は、梨華子の下着はワイシャツ越しに確認している―――。今日は可愛いのを着けているから『騎馬戦』にはもってこいだったのだ。亜矢子は始めからその心算だったので、気に入ったのを着けて来ているが―――。


夜になると、亜矢子の部屋に梨華子が来た。亜矢子は梨華子を上げると、ペットボトルの水を渡した。梨華子は、
「ありがとう」
と礼を言った。それから二人は色々な話をしたり、進路について考えたりしていた。そして20時―――。
ピピピピ……。
アラームが鳴った。亜矢子は時計を見て時間を確認した後、
「実は梨華子、今日ゲームをやりたいんだ」
と言った。梨華子は、
「どんな?」
と聞いた。亜矢子は、
「覚えてるでしょ?『騎馬戦』」
と答えた。梨華子は当然覚えていたがまさか亜矢子からこの言葉を聞くとは思わなかった。梨華子は自分が『騎馬戦』を申し込んだ時は胸が締め付けられるほど苦しい想いを持っていた。その為、この話を持ち掛けて来た亜矢子が何だかは分からないが自分に対して何かを告白したいのだ、と受け取った。その為、
「覚えてるよ。亜矢子がやりたいなら、やろう……」
梨華子は了承した。すると亜矢子は、
「ルールは前と同じだけど、今日だけのルール、一つ付け加えていい?」
と聞いた。梨華子は、
「付け加え?いいよ。元々滅茶苦茶だし……」
と顔を赤らめた。亜矢子は、
「今日は負けた方は勝った方の言う事を一つだけ聞く」
と言った。梨華子はコクリと頷いて、
「いいよ」
と答えた。そして二人は前回同様服を一枚ずつ脱いで床に置いた。亜矢子はピンクのシャツとチェックのミニスカートを脱いでシャツと同じピンクのブラジャーとパンティを着けていた。そして、梨華子はこの日はスカートではなく黒のズボンと白のブラウスを脱いで白のブラジャーとパンティを着けていた。こころなしか、この間よりも少しだけ体型が大人っぽくなっていた。


ルールは前回と同じくアラームが鳴ったらスタートで、両方の乳首が見えるかブラジャーのホックが外れたら負け。但し負けたら勝った方のいう事を聞くという条件が加わった。
梨華子は"勝った方の言う事を聞く"というのが気になった。この年になるとそれなりに成人向けのモノのネタが入って来るようになる。何かで勝負して勝った方が負けた方を苛めたりして屈辱を味わせたりする、というものがあるので、もしかして亜矢子がそれに目覚めてしまったのか―――?と心配になった。しかしお互い何も包み隠さず悩みは打ち明けようと約束している以上亜矢子にそういう気があるなんて事は無いと信じるしかなかった。
アラームが鳴った。お互いに取っ組み合いを始め、そして前回同様勝負はつかなかった。亜矢子の手が梨華子のブラジャーのカップに掛かったり、逆に梨華子の手が亜矢子のブラジャーのホックに届きそうになったり、しかしお互い守りも上手かった。片方乳首が見えても見えた瞬間に逆に相手に攻撃したりして相手が守りに入った瞬間にブラジャーを直し、ホックも完璧に守った為勝負はつかなかった。
しかし、勝ちたい気持ちが強くその為に態々熱が引いてから体力が戻るまで待った亜矢子と、勝っても何を言う事聞かせればいいのか分からないという梨華子では、最後になって差が出た―――。梨華子が亜矢子のブラジャーのカップを下ろし、亜矢子の片方の乳首が見えた時、左手を自分のホックから離しもう片方のカップを狙った瞬間、亜矢子が右手で梨華子のブラジャーのホックを外した。
二人は両手を床についてハァハァと息を切らせていた。そして呼吸が落ち着いてくると梨華子はホックは外れて肩からただぶら下がっているだけになったブラジャーのストラップを肩から抜き、正座して自分の目の前に置いた。そして闘いで乱れたボブカットを手で軽くかき上げて直し、
「私の負けだね―――。で、亜矢子は私に何をさせるの?」
と聞いた。亜矢子は少し乱れたツインテールとブラジャーを直した後、立ち上がってから首を振った。
「梨華子に何をしろなんて言わない―――。ただ……、一発引っ叩きたい。私の要求は……叩くから大人しくしていて。それだけ」
亜矢子はそう言って右手を開いて見せた。梨華子は何で亜矢子が自分を引っ叩きたくなったのか理解出来なかった。亜矢子は、
「驚くのも無理ないよね……。勿論理由は今から話すから。もし、梨華子が納得いかないなら叩かないよ」
と言った。梨華子は無意識の内に何か亜矢子にショックを与える事をしてしまっていたのだろうか、と思った―――。

亜矢子が話した「理由」は抜け駆けの事だった。先日の球技大会のチーム決めの時"も"そうだったし、それ以外にも亜矢子が時々居ない時にまるで欠席裁判の様に決められてしまう時があったのだった。しかも何の相談も無しに―――。
「言い訳はしない……よ」
梨華子は首を振って言った。全て亜矢子の言う通りだった。梨華子と亜矢子はお互い大切な親友であると同時にライバルでもある。体育祭の騎馬戦の時も、ここでいう『騎馬戦』の時も本気でやりあうし、テストや成績でもそうだ。だから梨華子の頭の中に時々出来心と言えばいいのだろうか?ここで自分が有利になっておけば今回は亜矢子に勝てる―――そういう感情が無意識の内に沸き起こってそういう行動を起こしてもおかしくは無いと思った。でも亜矢子が話す内容を聞くと、心細い状態で居る時に蹴落とされたも同然である―――。一回一回は小さい事でもそれが積み重なれば大きくなる。とうとう今回の球技大会の件で爆発してしまったのかと思った。
「ごめん……。もうそういう事しないから、気をつけるから―――裏切ったりしてごめん。亜矢子に勝ちたいって思った時にそうしたんだ……」
と全面的に認めて頭を下げて謝った。亜矢子は何の言い訳もしなかった梨華子に、
「叩いて欲しく無かったら叩かないよ……」
とさっきとは言葉を変えた。さっきは梨華子が納得行かなかったら叩かないと言った。梨華子は納得し謝って来た、つまり亜矢子は無条件で叩ける。しかし、亜矢子は叩けなかった―――梨華子の意思無しでは。
「いい、叩いて。こういうのは体で思い知らないと直らないから」
そう言って梨華子は下を向いていた顔を上げて亜矢子の方を向き、目を閉じた。亜矢子は、
「分かったよ……叩くよ。本気で叩くよ」
と言って梨華子の頬に一回手の平を軽く当ててから手を振り上げた。梨華子は膝の上で拳を握り、目をきつく閉じ歯を食い縛った。


パァァァン!

甲高い音が鳴り響くと共に、梨華子は脱いだ服の上に倒れ、叩かれた左頬を押さえた。亜矢子はしゃがみ、梨華子を起こした。梨華子は、
「……痛い……。でも本気で叩いてくれてよかった」
と言った。梨華子は亜矢子が自分を叩くと言った以上本気で叩かなかったら嫌だった。亜矢子は、
「叩くって言っておいて謝るのはおかしいけど、叩いてごめんね……私が逆に梨華子に酷いことしたら、叩いていいからね……」
と言って梨華子の膝元においてあるブラジャーを拾って渡した―――。

梨華子はその日家に帰ると頬を腫らして居たので親は亜矢子と喧嘩したのかと驚いた、梨華子は腫れが引いてから帰ったつもりだったがまだ完全では無かった。
「格闘技を―――ちょっとやってみて顔に入っちゃったの」
梨華子はこう答えて誤魔化した。確かに梨華子と亜矢子はスポーツクラブで色々な事をやっているので格闘技をやってもおかしくない、と妙に納得してしまった。
格闘をした事自体は嘘ではない―――。


二人は志望高校の福生学園高校を受験し合格した。そして入学後のクラス分け―――。クラスが多かった為二人は別々になったが高校入学記念に携帯電話を買って貰っていたので不便は無かった。
高校の制服は中学の時よりも可愛く、更に大人っぽかった。

その制服が似合うだけでなく、亜矢子はツインテールだったので目立った―――。というのは高校生になってこの髪型にしている人は皆無だからだった。
亜矢子にはいろんな事を話してる周りの声が耳に入った。ツンデレとか縞パンとか色々―――。亜矢子はそういうアニメやゲームのキャラが多い事、そして最近はそういうアニメやゲームが好きな事を隠さずに話す人が多い事、また"痛車"等他ジャンルへの派生や、神社や学校等への"聖地巡礼"等を逆に町興しに使ったりと、一定の市民権を得た事は知っていたので、自分もそういう類のアニメやゲームに出て来るツインテールのキャラと似ているのかと周りに興味を持たれていることを面白いと思った。
ただ、いわゆる萌え系については良く知らなかったので調べてみる事にした―――。

家に帰った後パソコンをつけてインターネットに接続した。そして検索を掛ける―――。
『ツインテール ツンデレ』
『ツインテール 縞パン』
次々に調べた。アニメ絵のイラストレーターは知らないので誰が描いてるのか分からないが非常に丁寧なタッチの絵で、ツインテールの娘の短いスカートが捲れ、縞パンが丸見えになっていて、可愛い顔を赤くして恥ずかしがってるのや、別の人の絵では逆に縞パンを見られた事に逆上し、主人公と思われる男性キャラに蹴りを入れてる様な気が強そうなキャラが描かれていた。勿論蹴りを入れてる時も縞パンが丸見えなのは言うまでもない―――。
亜矢子はクスッと笑った。そして梨華子にメールを送った。
『明日帰りに服買いにいこう』
と―――。これだけ沢山のツインテールのキャラ達が穿いてて似合っている縞パンはもしかしたら自分も似合うかもしれない―――そう思ったからだった。
『いいよ、楽しみ』
梨華子の返事だった―――。

亜矢子は更に検索を続けた。すると知らないページに飛ばされた。それは動画がおいてあるページで再生を促すボタンがあったが、周りのポップアップがいかがわしいのでエロサイトだとすぐに解った―――。しかし、動画のタイトルが、
『縞パンツインテール』
とあったので亜矢子は躊躇いながらも再生ボタンを押した―――。
幸いパソコンにインストールされているセキュリティソフトは無反応。こういうサイトにはコンピュータウイルスが仕掛けられている事が多い事は知っていたので安心した。



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