2009.08.01.

染められる…
03
黒鉄



■ 3

 それから数日、由香は悶々とした日々を過ごしていた。あの男が何を考えているのか、何を自分にさせようとするのか…解答など出るはずのない質問を、昼となく夜となく、延々と自問自答して過ごしていくうちに、気分もふさぎ、両親からも具合が悪いのか、と聞かれる始末だった。せっかくの楽しいはずの夏休みなのに、由香にとっては生き地獄以外の何物でもなかった。自分のあの告白が、そしてあの行為が全て記録されていると思うと、それが暴露された時の恐ろしさに、震えおののくしかなかったのだ。
 そして、とうとう由香の恐れていた日がやってきた。朝、いつものように机に向かって勉強をしようとしていたその時、机の中にしまっておいたあの携帯が振動するのを感じたのだ。引き出しを開けて、その唸っている機械を取り上げてスイッチを押すと、不安でいっぱいの声で応えた。
「も、もしもし…川原ですが……」
「よお、元気にしてたか? これから俺の言う通りにしな。今日は生まれて初めての素敵な体験をさせてやるぜ。いいか、今から俺の言う通りにするんだ……」

 それから1時間後、由香は制服を着て、駅のホームに立っていた。男の指定した時刻にやってきた電車の、一番後ろの車両に乗り込む。車両には人がほとんど乗っていない。暗い表情のまま、由香は一番後ろの誰もいないボックス席の窓側に座った。そして、電車が発車するのを待ちながら、あの男の言葉を陰鬱とした気分で思い出していた。
「あの路線には有名な痴漢がいてな。学生しか狙わない。しかも、痴漢といえば満員電車が相場なんだが、その男は逆にがら空きの車両に一人で座っている女子学生に狙いをつけるんだ。お前はそいつに痴漢されても、決して逆らっちゃ駄目だ。なあに、そいつは結構紳士的でな、手は出しても、絶対に犯したりはしない。獲物の女子学生を自慢の腕で感じさせるのが楽しい、って変わり種でね。そいつの手口は……」
 ガタン…電車が動き出して数分後、扉の横の席に座っていた中年の男性が立ち上がり、由香の座っているボックス席の横に立った。スポーツ新聞を手に持ち、じっと値踏みするように由香を見つめた男は、がら空きの車内でわざわざ由香の横の席に腰を下ろした。
 この男だ…! いつもの由香なら、こんながら空きの車内で、わざわざ自分の横に座ってくる男など、気持ち悪くてすぐに席を立ち、別の席に移動しただろう。しかし、今日はあの男から、絶対に逃げないでその男の好きにさせろ、逃げたらお前のこれまでの全てを世間に晒してやる、と言われていたので、緊張に強ばった体をやや男から離れるようにずらしただけで、そのまま座っていた。

 由香が席を立たないのを見て、男はスポーツ新聞を大きく広げ、わざと卑猥な写真と記事の載っているページを開き、それを由香にも見えるように傾けた。そして、由香の耳元で小さな声で囁いた。
「お嬢ちゃん、中学生だろう? その半袖セーラー服、すごくいいねえ。ほら、この写真見てみなよ。女の人がいやらしい格好してるねえ。おじさんは、こういうのにすごく興味があるんだよ。お嬢ちゃんはどうかな?」
 その妙にざらざらした感じの声に、鳥肌がたつような嫌悪感を覚えながらも、席を立つことを許されない自分…由香にできるのは、唇を堅く結び、俯いて男の質問になんとか首を弱々しく左右に振るのみであった。
「ふうん、お嬢ちゃんは興味ないんだ? でもね、お嬢ちゃんみたいな真面目そうな子だって、エッチなことされたら、案外体は正直に反応したりするんだよね」
 男はそう言うと、スカートに包まれた由香の太腿に手を置いた。ビクッ…と軽く身を震わせる由香。しかし、それでも少女が逃げようとはしないのを見て、男の手はゆっくりと由香の胸元へと伸びてきた。白いセーラー服の生地の上から、その形と大きさを調べるかのように、男の手が何度も由香の胸の膨らみの上を撫で回す。

 生まれて初めて、他人に胸をまさぐられる…しかも、性欲の対象として。すぐにでもその手を払いのけたい衝動を必死にこらえながら、由香は聞こえるか聞こえないかの声で、その痴漢に対して懇願した。
「お、お願いです…私は、本当はこんなこと大嫌いなんです。でも…でもどうしても事情があってここにいるんです……ち、痴漢は犯罪行為なんですよ? 誰かに見られたら、おじさんは警察につかまるんですよ? だから…止めて下さい…お願い…」
 由香は数ヶ月前に一度、痴漢に遭遇したことがあった。しかし、おしりを撫でた手を感じた途端、すぐに後ろを振り向いて、「痴漢なんて最低な行為ですよ、止めて下さい!」と大きな声で毅然と言ってのけると、後ろにいたサラリーマン風の中年男は、ばつが悪そうにこそこそと逃げ去ってしまった。悪い男には、正しい事をきちんと言った方がいい、いつもそう考えていた由香だからこそ、今こうやって許されざる行為を自分が許してしまっていることに対して、自己嫌悪でいっぱいだった。

「ふうん、そうなんだ。じゃあ、すぐにお嬢ちゃんが警察を呼んだらいいだろう? ほら、今大声を出したら、向こうにいるおじさんが助けに来てくれるんじゃないかな?」
 由香の精一杯の抵抗をせせら笑うように、にやにや笑いながら男は由香の乳房をギュッ! と鷲掴みした。軽い痛みが胸を走り、うっ…と軽い呻きを上げて息を詰める由香。しかし、男が言うように、声をあげるわけにもいかず、顔を真っ赤にして俯くしかなかった。由香が抵抗しないのを見定めると、男はにじり寄って由香の体にぴったりと自分の体を寄り添わせ、可哀想な獲物を本格的に嬲りにかかる。
「大丈夫、おじさんは女の子をいい気持ちにさせてあげるのが好きなんだよ。お嬢ちゃんだって、おじさんの手ですぐに気持ち良くさせてあげるからね。それじゃまず、この邪魔なものをとっぱらっちまおうか」
 男の手が由香のセーラー服の胸当てのスナップを外していく。そして、その清楚な制服のV字に切れ込んだ襟元に指をかけると、くいっと前に引っ張った。そして、大きく空いた隙間から、制服の中に守られている由香の胸元をのぞき込むと、タンクトップの下に身につけた白いブラジャーと、その中に盛り上がっている胸肉とをじっと見つめた。由香は胸をいやらしい男に堂々と覗き見られることに、たまらない恥ずかしさを感じて、体が小刻みに震えてくるのを止めることができないでいた。
「おやおや、そんなに震えちゃって。よっぽど恥ずかしいんだね。でも、こんなのまだ序の口だよ、お嬢ちゃん。これからもっともっとエッチでいやらしいことをされるんだからね」

 男が制服の襟の中に手をつっこんでくる。胸を触られる…そう思って体を硬くし、目をギュッと閉じた由香の耳に、パチン、という軽い音が聞こえた。何の音? そう思ってそっと開けた由香の目に、襟元につっこまれた男の手の中の小さなハサミが見え、それがもう左のブラのストラップを断ち切る瞬間、パチン、とまたあの音がした。下着を切られてる? 状況が掴めない由香の背中に回された男の手が、制服の上から器用にブラのホックを外してしまうと、それまでブラで締め付けを受けていた胸が解放される。
「な、何をするんですか……まさか…こんな所で下着を……」
 由香がそう言うか言わないかの間に、男の手がブラの前を無造作に掴むと、ずるずるとそれを引きずり出していく。
「い、いやあっ! 止めて……止めて下さいっ……そんなことしないで!」
 小声で必死に制止しようとする由香に一切構わず、男はシンプルなデザインの純白のブラを全て引き出し、由香の目の前で広げてみせた。
「へえ、中学生らしいというか、色気がないというか…まあ、これが逆に俺にとっては最高の戦利品なんだけどな。無垢な女子中学生を狙った記念品ってわけだ」
「返して! お願いです、返して下さい!」
 手を伸ばして、自らの下着を取り返そうとする由香だったが、男はすっとそれをかわすように自分の尻の下へ持っていくと、腰を浮かしてその上に座ってしまった。男の尻から由香のブラがはみ出し、そのバンドの一部が通路側へとはみ出してダラリと垂れ下がる。「そ、そんなことしたら…向こうの人から見えてしまいます……」
 焦った由香がそう言って男の足の上に上体を寄りかかるようにしながら手を伸ばすと、その上から男が手を伸ばして、由香の胸を両手で包み込む。男が体重を上からかけてくると、由香がまるで男の膝元に甘えて寄りかかっているような体勢にされてしまった。そして、男の手がセーラー服越しに、ブラのなくなった由香の胸を我が物顔で揉みしだいてくる。
「あっ…いや…っ……放して…手を放して下さい! …いやあっ……」
「ほら、あんまり暴れたら、向こうの客がおかしいなと思ってこっちを見てしまうぞ。そうしたら、座席からはみ出しているお嬢ちゃんのブラが丸見えってわけだ。キジも鳴かずば打たれまいってことわざ、知ってるだろう? 静かにしていたら、誰もこっちを見やしないって」
 くぐもった声を出して抗議した由香だが、男のその言葉でぎくっと身を強ばらせ、そのまま口を閉じてしまうしかなかった。手の内に収めた獲物が静かになったのを見ると、男の指は更に調子に乗って、由香の胸の先端部をかすめるようにしながらその膨らみを思うがままに玩び出す。男の指先が、薄い夏服の生地の上から、由香の乳首を集中的に引っ掻き出すと、じっと動きを止めていた由香の小柄な体が、ビクッ、ビクッと動く。
「んっ…んっ…んっ……アッ……駄目…くすぐったい……んんっ……」
 男の指に、少しずつ由香の乳首が堅くなってくる感触が確かに伝わってくると、立ち上がったその突起をこれみよがしに指でキュウッ! と摘まれた。その先端部から鋭く走った甘い疼きに、少女の体がビクンッ! と強く跳ねる。
「んあっ! ……や、いや…あっ! ……あっ! ……駄目ぇ!」
 左右の乳首を交互に摘み上げられ、由香が身悶える。乳首から湧き上がる鮮烈な痺れが、女としての快感であることが、由香にもはっきりと自覚され、恥ずかしさと同時に、こんな場所で、見知らぬ男に体を玩ばれているのに、快感を覚える自分の体に、言いしれぬ恥辱を覚えてもいた。

「どうだい、乳首をいじられると、気持ちいいだろう? なあに、恥ずかしがることはないさ。女の子なら当たり前のことなんだからね。ほら、君の乳首がこんなに堅くなって、おじさんにもっと触ってっておねだりしてるよ? 自分でも見てご覧」
 男が由香の体を起こすと同時に、セーラー服の脇のファスナーを開いていく。その指が制服の裾を持ち上げ、ゆっくりとめくり上げていくと、タンクトップにノーブラの胸が露わにされていく。薄いタンクトップの生地はくっきりと14歳の乳房の形をくっきりと浮き立たせ、その一番先端部は、ぷっくりと盛り上がって、由香の乳首が立ち上がっている様子をはっきりと見せていた。
「や、やだっ…恥ずかしいです……お願いです……制服を下ろして下さい!」
 由香が泣きそうな声で男にそう哀願すると、男はにやりと笑って、その顔を由香の胸元に近づけ、舌を伸ばしてタンクトップの上から少女の乳首を舐めだした。ねっとりとした唾液をそのタンクトップに吸い込ませると、あっという間に由香の胸の先端部がくっきりと透けて見え出す。淡い桜色の乳輪と、そこから立ち上がった充血した乳首…うなだれた由香の目に、自らの肉体が、由香自身の意志を裏切って、はっきりと女の反応を見せている様子を、いやでも見せつけられる。
「あ、あぁ…こんな……こんなことって……は、恥ずかしい……」
 消え入るような声を上げる由香、そのタンクトップを更にめくり上げる男の指。明るい車内に、スクール水着の形に日焼けの跡がついた由香の上半身が露わにされていく。水着に覆われていた部分では、日焼けをまったくしていない中学2年生の無垢な滑らかで瑞々しい白い素肌がさらけ出され、ふっくらと綺麗な形で盛り上がる胸の隆起と、その先端でツンと突き出した乳首が完全に剥き出しにされる。
「きれいな胸だな。それに、なかなか感度も良さそうだ。こりゃ、これまでで一番の上物だな」

 男が舌なめずりしながら、目の前に剥き出しにされた中学2年生の乳房にむしゃぶりつき、ねっとりと唾液をその乳首に擦り付けながら、舌を絡めて舐め出す。そして時折唇でその桜色の突起をついばみ、チュウーッと強く吸ったかと思うと、短い間隔で間欠的にチュパチュパと吸ったりする。その刺激に耐えきれずに、少女のスリムな体がビクビクと揺れ、由香は頭をシートに押しつけて、軽くのけぞるようにして喘いだ。
「ヒイッ…! あ……ああっ! ……止め…んっ……んっ! …んっ! ……いやあぁぁ……」
 しばらく女生徒の胸を自在にむさぼった男は、やがてその顔を少女の胸元から放した。由香の乳首は、男に吸われまくったせいで赤みを増しており、乳首はもちろんのこと、青い静脈の浮き出たその白く柔らかいふくらみは、男の唾液でべったりと汚れていた。
「どうだ、男に可愛がられる気分は? 気持ち良くて、最高だろう?」
 男が手を由香の顎にあてがい、その俯いた顔をグッと上に、自分の顔へと向けさせた。切れ長の瞳は涙で潤んでおり、最初の時に見せた気丈な雰囲気はもう完全に消え失せ、乱れた息をつきながら、ぐったりとシートにもたれて、男をぼんやりと見返す由香。
「でも、まだこれからなんだぜ。女が一番気持ち良くなれるのは、こっちだからな、お嬢ちゃん」



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