■ 第1章2
ドアを開けると、見慣れた制服が目に入る。そして顔を見合わせると─
「「え…?」」
二人して予想外、といった反応をした。なんと、目の前にいる少女、援交娘の正体が…同じクラスの庄司里奈だったのだ。
向こうも、まさか同じ学校、しかもクラスメイトが出てくるとは思ってもいなかっただろう。きょとんとした目でこちらを見たまま、身動きできないでいた。
その沈黙を破るように、こちらから話しかけた。
「あの、ゴメン…」
と言って、手に持ったブラを差し出すのが限度だったのだが。里奈も、気の入ってないような感じで、うん。と一言発して受け取ることしかできないでいた。
再び沈黙が訪れるが、今度は里奈から話をはじめた。
「いつからココにいた?」
やはり援交をしていたのか、気まずそうに尋ねてきた。
「…最初から。マ○クから出てくるの見かけてさ。何か気になってついてきちゃったんだ」
こちらも、同級生の痴態を見てしまったという変な気まずさから、うまく喋れない。
この状況をどうしようか考えていると、里奈が急に俺のいる個室に入り、鍵をしてしまう。密室に二人きりになってしまい、更にどうしたらいいか迷っていると…
「お願い、このことは誰にも言わないで。ホント、お願い…」
お決まりのような台詞で懇願してくる里奈。別に誰かに話す気は全然ないのだが…
“お互い秘密を共有してるようなもんだしな…”
援交の事実を知っていると同時に、同級生の下着でオナニーしたという情報を里奈に与えている。保身のためもあるが、他言する気は全くないのだが、里奈の必死さを見てあることを思いついた。
「わかった、誰にも言わないよ。約束する。その代わり、口止め料みたいなのがほしいなぁ」
「うん。何でもするから、誰にも言わないで」
「じゃあ、これからしばらく俺の言うことを聞いてよ。そしたら、絶対言わないから」
無茶苦茶な要求だと思ったが、里奈の必死な様子を見て無理を承知でお願いしてみた。まぁ、断ろうものなら、後のことは知らないが。案の定、予想通りの返事が返ってきた。
「わかったわ。翔太君が満足するまで言うこと聞く。そのかわり…」
「安心しなよ。約束は必ず守るから。それに、言うこと聞かせるって言っても、お金要求したりはしないから。どうされるかは分かってると思うけど」
ここまで聞くと、約束がとんでもないものだと思い知ったのか、小さく首を縦に振るだけしかしなかった。
「まぁ、今日は帰ろう。遅くなるといけないだろ」
そう言ってトイレを出ると、無言でついて来る里奈。とりあえず駅まで送ろうと思ったが、どうやら家はこの近くらしい。
“てか、里奈の家ってすごく近くじゃん”
俺の家も、今いる公園から5分ほどのところにあり、里奈は反対方向だが同じくらいの距離らしい。
別れ際、今後のためということで連絡先を交換した。これで、いつでも里奈に望むことを命令できると思うと背筋がゾクッとしてきた。
帰り途中、里奈にメールをしてみた。早速、明日の司令を出しておいた。家に着き部屋に入る頃に返事が届き、『わかりました』とだけ書いてった。
“明日が楽しみだな”
期待を膨らませながら、眠りについた。
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