2007.10.13.

内側の世界
(インサイド・ワールド)
―鬼神伝承―
01
天乃大智



■ 序章

 人は、自分の想念を軽視する。
 人は、自らの想念により、想いを遂げることが出来る。
 その最も強いものが、呪いであり、その逆も、また存在する。
 その想念が、志なかばで途絶えた時、その想念は、怨みとなる。そして、その怨みが、“呪”となり、人を鬼へと化生(化身)する。
 それが、魔の力である。
 そして、聖の力が、ある。
 この世には、闇の世界と、光の世界が、存在する。
 遍く地球の半球を覆う闇。その闇に棲まう「魔」。闇が「魔」を育み、「魔」が闇を助長する。闇の中に、闇を形成し、その奥の闇の中に「魔」が、生息する。古代から、言い伝え続けられた神話の中にだけ、「魔」は生きていた。そう誰もが、知っている。
 しかし、光の世界は、誰もが知っている訳ではない。
 遍く闇を駆逐した光り輝く世界。光が「聖」を育み、「聖」が光を、永劫のものとする。
 光の国は、存在する。
 これもまた、神話の中に形を変えて、今も尚、生きている。
 この世を支配するもの、それは「生」であった。
 地球も生きている。生命体という意味である。
 人の一生の単位では、それは、感じることが出来ないかも知れない。地球の時間の流れと人のそれとでは、違いすぎるのである。だから、人は錯覚を起す。地球は、生命体では、ないと・・・
「生」を“動く”と考えてみる。・・・地球は、紛れもなく生きている。自転しながら、太陽の周囲軌道を、一年掛けて公転する。地球自身も、マントル対流、地殻変動、大気大循環・海洋大循環などを繰り返している。
 地球は、生きている。
「生」を生体反応と捉えてみる。人体の免疫システムは、複雑である。ウィルスの侵入に対して、白血球が阻止し、やがて、抗体が生まれる。ウィルスは免疫システムによって、死滅する。
 地球は、地球を汚染(環境破壊)するものに対して、同じ免疫システムを用いて対処する。
 環境を破壊するもの、人体で言うウィルスとは、人であろうか?
 免疫システムが、「魔」であり。闇である。「魔」がウィルスを駆逐する。やがて、人であるウィルスは、生き延びる為に、地球に寄生する為に、進化する。それが、「聖」の導きかも知れない。
 それは、共存である。
「聖」とは、何であろうか?
 永遠不変の知性体。
 そうかも知れない―
 宇宙に永遠のものなど在るのだろうか。



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