2006.05.03.

優等生の秘密
03
アサト



■ 3

 貢太は背中を思いっきり床に打ち付けた。衝撃で、一瞬息ができなくなる。逃げ出そうとしたが、京介がドアを閉め、その前に仁王立ちしていた。もちろん、一糸纏わぬ姿で。
「見たな。」
「さ、さっき来たばかりだ……!」
「嘘ばっかり。」
 しりもちをついた状態の貢太に、聡子が覆いかぶさる。先程までの行為で、頬は紅潮し、微かに汗ばんだ肌が艶かしい。
 聡子の白くて細い指が、貢太の太ももをなぞり、窮屈そうにしているものに触れる。
「っ……!」
 ただ指先が触れただけだったにもかかわらず、貢太の身体は大げさに反応してしまう。腰の辺りがびくん、と跳ねる。それを見て、聡子は楽しそうにくすくすと笑い、ズボンのジッパーを下ろすと、膨張し硬くなった一物を引きずり出した。
「ほら、こんなになってるのに……見たんでしょう?」
 指先が、くすぐるようにその輪郭をなぞり、亀頭の先端に触れる。鈴口から溢れ出している先走りが、聡子の指にまとわりつき、指を離すといやらしく糸を引く。それを、聡子が舌を出してぺろりと舐め取るさまは、あまりにも淫らで艶かしく、そして、美しかった。

 貢太はふと、これは夢なのではないかと思った。クラスで常にトップを争っている二人が、こんないかがわしいことを教室でしているはずがない。だが、それは違っていて、目の前で繰り広げられていた光景は全て現実なのだ。
「……だ、誰にも言わないから……だから……」
「だから、なぁに?」
 聡子が、貢太のペニスの根元を少しだけ強く握る。一瞬身体を強張らせた貢太の様子をうかがうかのように、聡子は上目遣いで貢太の顔を覗き込み、微かに指を動かす。その度に、身体が正直すぎる反応を返すのが、貢太は悔しかった。
「……ここ……はちきれちゃいそう……こんなに溢れてきてるし……」
 そう言うと、聡子はおもむろに貢太のペニスを口に含んだ。
「うあっ……!」
 今まで一度も経験したことのない快感が、貢太の身体を駆け巡る。聡子は亀頭の先端を舌の先でつつくように舐めまわすと、少し強めに吸い上げながら、頭を前後に動かし始めた。

「つ、辻野……っ……!! やめ……っ……!!」
 口ではそう言いながらも、貢太は僅かに自分から腰を振っている事に気付いた。悔しいような、恥ずかしいような、そんな感情が貢太の中をめぐる。次第に、自分の中の理性がどこかへ行き、衝動だけが残った。聡子の後頭部に手を回し、押さえつけるように腕と腰を動かす。
「んぐ……ぅっ……!!」
 聡子が苦しそうに呻くのが、何故かとても心地よかった。自らの先端が、聡子の喉を突いている事にも気づいていたが、もはやそれを止める理性は貢太の中には残っていない。聡子が涙目になり、自分を引き離そうともがいている様が、貢太の衝動をさらに加速させた。
「辻野……っ……!! 出すぞ……!!」
「んーーっ!!!」
 拒むかのように悲鳴を上げた聡子を無視し、貢太は全てを聡子の口内に吐き出した。数回大きく震え、その度に頭の中が白くかすんでいくような感覚が押し寄せた。

 聡子は脱ぎ捨てていた制服のポケットからティッシュを取り出すと、口の中に出された精液を吐き出した。瞳に涙を浮かべて数回咳き込む姿が、貢太にはいとおしく感じられた。その姿に、先刻までの妖艶さは微塵もなかった。
「聡子、大丈夫か?」
「……ええ。」
 京介が、聡子の肩を抱く。いつの間にか、制服をちゃんと着ている。仕草で聡子に服を着るように促すと、無言で聡子が頷いた。
 局部を露出したまま放心状態で座り込んでいる貢太の目前に、京介が携帯電話を差し出した。
「上手く、撮れているだろう?」
 貢太がぼんやりとした頭で、それが何であるか判別するのには少し時間が掛かった。それは紛れもなく、自分が聡子の頭を押さえつけて腰を振っている写真だった。見ようによっては、貢太が聡子に無理矢理フェラチオをさせているようにすら見える。
「な……っ!!!」
 さっきまでのまどろんだ空気が嘘のように凍りついた。貢太は慌てて京介の携帯電話を奪おうとしたが、軽くかわされてしまった。
「これを学校中に回されたくなかったら、俺達のいう事を聞いてもらう。いいな?」
「わ、わかった……」
 貢太に選択の余地はなかった。
 もし、この画像が学校中を巡れば、間違いなく退学だ。こんなことで退学になれば、あの母親が毎日のように怒鳴り続けるのは目に見えていた。

「じゃあ、ずっと私達の目の届く所にいてもらうわ。」
 着替え終わった聡子が、少し不機嫌そうに貢太を睨みつけていた。
「ま、待て……俺、成績がやばくて、来年から普通クラスなんだ……」
「だったら、成績を上げればいいだけの話だ。」
 京介がそう言って、にやりと笑った。
「丁度よかった、明日、ここで勉強会を開くのよ。」
「勉強会……土曜日にか?」
 貢太は着衣の乱れを直しながら立ち上がった。聡子は髪の毛を纏め上げながら、貢太をじっと見つめていた。その目線に、貢太の体温が僅かに上がる。
「来なかったらどうなるかぐらい、お前でも分かるだろう?」
「……あぁ。」
 不満、そういう感情を隠しもしない声色だった。だが、そんな事をかまっていられる余裕はなかった。自分に選択の余地はない、貢太は目の前で自分に見下しているかのような目線を投げかけている二人を交互に見つめた。
「じゃあ、また明日ね。仲原君。」
 聡子はそう言って、貢太の頬に軽くキスをした。その様子に、僅かに京介が顔をしかめたが、貢太はそれに気づいていなかった。



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