ガンショット
「芝村ー! 芝村、どこだー!?」
 錘が許す限りの速さで走りながら、滝川は芝村を呼ばわった。
 早く会って、話をしなくっちゃ。
 まず挨拶して逃げないでくれって言って、訓練に誘って。
 ああでも訓練は芝村嫌がるかもしれない。この前訓練に誘って逃げられたもん。
 いや、そんなことは後で考えればいい。
 今はまず芝村を探すこと!
「芝村ー、芝村ー!」
 叫びながら校舎はずれからグランドはずれへ出る。
 不安だ。芝村といい、昨日の銃弾といい。
 自分のまわりのものが、なんだか危険にさらされてるような気がする。
「芝村ー、芝村ー!」
 叫びながら正面グランドへ向かう――その時、タン、という音が聞こえた気がした。
 次いで、プスッという何か鈍い、小さいのに腹に響く音。
 その後で――激痛。
 腹が痛い。焼けるように痛い。
 腹に焼けた鉄串を突っ込んだみたいな、のた打ち回りたくなるような激痛。
「……なんだ……これ……?」
 前のめりになりながら手で触れてみると、ヌルリと手が自分の血で濡れた。
 その赤い色を、滝川は茫然と眺めた。


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