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戯れ少年4
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「重坂……もう一回……」
周囲に視線を巡らせて人影がないことを確かめると、重坂の膝を跨いで
その身体に座り込む。
見上げてくる瞳は冷たくて、ぞくっと腰が震えた。
そんな目で重坂が百瀬を犯さなければきっと百瀬は気づかないままだった。
重坂に対して特別な感情はない。
好きなのはこの逞しい身体に支配され、落ちるその一瞬。
どう足掻いても適わないという絶望の中で、救いすら抱けないほどに屈服させ
蹂躙して欲しい。
喉がからからに渇き、濡れた身体を抱きしめて誘うように腰を振る。
擦れる下肢が震え、湯とは別のもので濡れていく。
それは重坂の身をも濡らしていく。
「淫乱が」
吐き捨てるような言葉にうっすらと笑みが浮かぶ。
あの日から自分の身体は嫌いではなくなった。
重坂に犯されてすぐに何人もの男に食い散らかされた身体。
込み上げる嫌悪感と、それ以上に腹を満たした暗い愉悦。
自分の身体に群がる野卑た男をどこか滑稽な気持ちでみていた。
そうしてすぐにロクでもない男では物足りないことを知った。
初めての味はそれだけ百瀬を貪欲に変えた。
だからあの日から百瀬は男を誘い続けている。
そのためにこの細い身体は都合がよかった。
だからまた鍛えもしたし、磨きもした。
身体の奥底まで入り込まれる不快感という愉悦に酔いしれ抜け出せないでいる。
重坂に初めて犯されたあの日に知った恐怖が百瀬を快楽に駆り立てる。
それは心を切り裂く魅惑的な痛みだった。
もっとと強請らずにはいられない。
劣情を誘うような服を着て、欲望が渦巻く夜を歩き、突きつけられる性欲を
飲み干し続ける日々が今の百瀬の全てだ。
「淫乱だからしたくなったら我慢できないんだ。なぁ、しようぜ。
こんな合宿は暇なだけだろ」
耳朶を食み目を閉じる。
もう幼い日の亡霊がちらつくことはなかった。
痛みを伴う満足感に唇が歪な笑みを象る。
重坂の手が背を伝う。
目を開けると冷たい瞳が言った。
「生憎と俺は忙しい。……来るなら体調を整えて夜に抜け出してこい。
倒れられるのはお断りだ」
無理やり重坂の身体からおろされ、立ち上がった重坂を恨みがましく見上げても
もう重坂は百瀬を視界に入れることすらしなかった。
遠ざかる背から視線を外し、落ちた前髪をやや乱雑な所作で掻きあげる。
溜息が漏れた。
「どうかしてる……」
きっと重坂は気づいた。
百瀬が重坂の前で隙を見せるなどありえない。
わざわざのぼせるまで風呂に入って、症状が消えても熱に浮かされた
振りをしてまで心情を吐露したことなどあの食えない男は見抜いている。
そして、たちの悪いことに百瀬もわかっていた。
行為が終わって長風呂をしても、あの男は百瀬が出てくるまで変わらず
そこにいるということを。
知っていたのに予想通りの状況が不快だったのは自分の心に
負けてしまうことがわかっていたからだ。
それでも百瀬は熱が身体を蝕むまで重坂の隣にい続けた。
好きなわけではない。
だが、今の百瀬には重坂が必要だ。
重坂は百瀬にとっての象徴だ。
揺るぎのない破壊。
百瀬を犯して気づかせたあの破壊は今も百瀬の心をとらえて離さない。
あと残り僅かな高校生活。
その間にこの道楽を切り離せるのか。
百瀬は望みが薄そうな希望に苦笑を浮かべ、暫くその場から離れることは
できなかった。

   

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