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愛は死より冷酷

LIEBE IST KALTER ALS DER TOD(1969年作品)
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ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ウリ・ロメル 他
窓のない部屋に監禁された男たちは入れ替わり立ち代り、犯罪組織への加入を強制されている。そこにフランツも監禁されているが、彼は組織への加入を拒否し続けていた。 ある時、若くて美しい男ブルーノが組織へ加入を強制されるためフランツと同じ部屋に入ってきた。フランツはブルーノに何かと気に掛け『自分は解放されるらしいから、ココを出たら自分を訪ねて来い』と言って自分の住所を教えた。 しかし、ブルーノは組織の者で、フランツを組織に引き入れるために近づき、彼の信頼を得ながら彼を抜き差しならない状況に追い込もうとしていた。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督兼主役の初の長編作低予算で日の目を見なかった映画。組織の中の男でスーツを着た男とグラサンをかけた上半身裸の男の二人に目が点…。だって、主人公フランツを組織に誘う話をするのに、スーツの男はグラサンの男の膝を妙な手つきで触るのよ?! ヘンでしょ?! まぁ、私の突っ込みどころは『ココ』なんですがね。ブルーノは見目麗しい男だが、内面は凶悪な男でフランツを組織に引き込む役目をするのだが、そんな男を親友と思い込むフランツの純朴なところが奇妙な連帯感=偏った愛情を生んでいるようだ。

ゲイ的要素はこの二人の関係(フランツの恋人ヨアンナとの三角関係でもある)と、組織の男の二人の関係である。まぁ、主人公フランツが知り合いでもない男(ブルーノ)に親近感を抱いて、別れ際に『俺んちに寄れ』と囁くのも萌えな展開だが、ブルーノは組織から仕込まれた男だったってのは“なるほど”な脚本。脚本はファスビンダーらしさ満開で(全てがそうなのだが)いいのだが、素人くさい俳優達の演技と資金難が随所に見て取れる画面が痛いかなぁ。それが、持ち味といってしまえばそうなのだろうけど…。(資金難のため俳優のセリフはアフレコ)ただ所々、緊張感のある画面が出てきて、その前後の緩い画面との差は監督の意図した画面だったのだろうか? 凡人にはわからんセンス満載で、取っ付きにくい映画であることは間違いないが、ここはシンプルに考えて、男二人の関係にだけ注目してみてみるのもいいのではないか? まぁ、『この人のシナリオでどっかの監督にさせた映画』は非常に傑作が多いのになぁ…。

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愛は死より冷酷
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絡み洋画::ア行