マイメロちゃんが女神だったら 2 

「やぁーーーん。」
「うわあっ。」
 突然目の前に落ちてきた、ピンク色の塊に、カノンちゃん(15歳)はびっくりしました。
 それは良く見れば、ピンクの傘と、チェックの布がかけられたバスケットと、そして、ピンクの頭巾を被ったぬいぐるみでした。

 そう、それは、女神・マイメロちゃんです。

「あ~~びっくりした~。助けてくれてありがとう、……あれー、サガー……?」
 マイメロちゃんはよれよれとなりながらカノンちゃんを見上げてそう呟き、それからふと不思議そうに、真黒なお目目をカノンちゃんにひたと添えました。
「あれー、サガじゃないー。あなたはだぁれ?」
「カ、カノンです。」
「かかのん?」
「カノン、です。」
 もちろんお約束のやり取りです。
 でも、カノンちゃんは、そんな可愛らしいマイメロちゃんの姿と仕草と、とろけるような甘い声に、胸をきゅんきゅんときめかせていました。
「そういうあなたは?」
「マイメロです。女神でーす。」
「……!!」
 カノンちゃんは絶句しました。
 憎き女神、サガの心を狂わせた元凶である聖域の大元締め、その女神がこの可愛いピンクのうさぎさんだと云うのです。
 カノンちゃんも、女神がぬいぐるみだということは聞いていました。
 たかがぬいぐるみにこの世界が守れるのかと、ならばサガが教皇となり、すべての権力と世界を手に入れればいいと思っていたのです。
 でも。
 それが、こんなに可愛い愛らしいキュートなぬいぐるみさんだなんて、反則です。
 とろけるような甘い声、慈愛に満ちた優しい小宇宙、そして何よりまんまるぷくぷくのお体のラインは、この地上に舞い降りた、ピンクの天使に他なりませんでした。
「カノンさんはサガのなぁに?」
「双子の弟です……。」
 カノンちゃんは聞かれるままに、マイメロちゃんにお答えしてしまいました。
 自分が隠されたであることも、兄であるサガとの仲がうまく行っていないことも全てです。
 だってこのぬいぐるみさんは女神で神様で、教皇よりも偉い人なのだから、自分のことを知られていても、いけなくはない筈です。
 いえ、そんなことより、マイメロ女神様の、天使のような小宇宙にふれたら、カノンちゃんには何一つ隠し事をするなんて、できなかったのでした。
「カノンさん、可哀相……。」
 マイメロちゃんは、カノンちゃんのお話を聞いて、その大きく黒いつぶらな瞳に、涙の雫を浮かべました。
 その美しい涙が零れるのを見て、カノンちゃんは荒んでいた心が洗い流されるのを感じ、自分も一筋の涙を流しました。
「マイメロ、教皇に、カノンさんのこと苛めちゃ めっ だよって、云ってあげる。サガにも、カノンさんと仲良くしなきゃ、めって云うし……それから、カノンさんも、サガと仲良くしなきゃ、めっ。だよ。」
「はい。ありがとうございます、それからごめんなさい。俺、サガに謝ります。」
 マイメロちゃんに優しく叱られて、カノンちゃんは深く土下座しました。
「俺、聖闘士になれなくてもいいです。だからどうか、マイメロちゃんのお側で働かせてください。ずっと一緒にいたいです。」
 そしてカノンちゃんは真剣に、マイメロちゃんにお願いします。
「いいよー、じゃあ、カノンさんはマイメロのお世話係ねv」
「はい!」

 こうしてカノンちゃんは、マイメロ女神様のお世話係として、12宮にデビューすることになりました。


続くっぽい
2008/02/08 





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