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「メリークリスマース!」 今日は楽しいクリスマス。 女神に仕える聖闘士達が、クリスマスなどやっていいのかという説もありますが、その女神マイメロちゃんがクリスマスを御望みなのですから、誰もそれを咎めることなんかできません。 「マイメロ、クリスマスがしたいの。おねがいv」 と、可愛くおねがいされて、それに逆らえる聖闘士などいないのです。 それに、今の教皇のアイオロスさんも楽しいことがとっても大好き。 自ら巨大なもみの木を、どこからともなくひっこぬいてきてくれたので、マイメロちゃんはカノンちゃんや小さい黄金聖闘士の皆さんを誘って飾り付けをしました。 マイメロちゃんは手ずからケーキもお作りになります。 大きな可愛いクリスマスケーキと、カノンちゃんが腕をふるったお料理。 七面鳥やあれやこれやの太った鳥さん達は、サガちゃんがカノンちゃんに褒められたくて、やはりどこからともなく狩りをしてきてくれました。カノンちゃんのお手伝いは、料理上手なデスマスクさんや、聖剣持ちのシュラさんが手伝ってくれました。 アフロディーテさんは、お部屋の飾り付けをまかされています。 黄金聖闘士の皆で一生懸命準備をした、楽しい楽しいクリスマスパーティは、聖域に住む者みんなを、とても幸せな気持ちにしてくれるのでした。
「今夜は、枕元に靴下を飾って早く寝てね。おねがいv みんなのところに、サンタさんが来るからね。」 パーティの最後に、マイメロちゃんはそう云いました。 そう、マイメロちゃんはとてもすごいので、サンタさんとも仲良しなのです。 マイメロちゃんはサンタさんに、黄金聖闘士達の分だけでも自分で配りたいとおねがいして、プレゼントを託してもらいました。 「わー、わー、本物のサンタさんだ……!」 カノンちゃんはマイメロちゃんのお世話係ですから、こんな時だって一緒です。 マイメロちゃんとカノンちゃんは、お揃いのサンタさんルックに身を包んで、サンタさんがトナカイさんのソリで空を飛んでくるのを待っていたのでした。 サンタさんもとてもすごいので、聖域にだって女神神殿にだって飛んで来れるのです。 「メリークリスマス。いい子のマイメロとカノンにもプレゼントだよ。」 「わーい、サンタさんありがとうー。」 「……俺、いい子……?」 マイメロちゃんは無邪気に喜びますが、カノンちゃんはちょっとびくびくしています。 「カノンさんはいい子だよー。」 「うん、とてもいい子だ。」 「……ありがとうございます……。」 マイメロちゃんとサンタさんの暖かな笑顔に、カノンちゃんは思わず涙ぐみました。 それから二人は、サンタさんに、黄金聖闘士あてのプレゼントを預かります。 これもちゃんと、マイメロちゃんに事前に云われて、カノンちゃんは大きな白い布の袋を用意していました。 このプレゼントを、メリークリスマスと云いながら配るのがサンタさんのお仕事なのです。 「ではわしはもう行くよ。」 今夜のサンタさんはとっても大忙し。マイメロちゃんとゆっくりお話していることはできません。 「はーい。ばいばーい。」 「ありがとうございました!」 マイメロちゃんとカノンちゃんは、一杯手を振って、サンタさんを見送りました。
マイメロちゃんとカノンちゃんは、黄金聖闘士達の寝室に、こっそりと忍びこみます。 「はい。」 「ありがと。」 カノンちゃんが袋からプレゼントを出し、それを受け取ったマイメロちゃんは、靴下に一生懸命それを詰めます。 「メリークリスマース♪」 「メリークリスマス。」 マイメロちゃんとカノンちゃんは、すやすや寝ている黄金聖闘士達を起こさないように小声で云いつつ、ひとつずつ宮を下って行きました。 そうして、カノンちゃんのおうちでもある双児宮でのことです。 「うわー。靴下おっきーい。」 「……サガ………………。」 サガちゃんの枕元に置いてある靴下は、果てしなく巨大でした。そう、それは、カノンちゃんが入ってしまえそうなほどに。 そしてサガちゃんの枕元には置き手紙。 『サンタさんへ。カノンをください。』 と、とても美しい文字で書かれておりました。サガちゃんは文字を書くのもとても上手なのです。 「じゃあ、カノンさん、入って。」 マイメロちゃんは靴下をよいしょと広げると、カノンちゃんにそう云いました。 サンタさんからのプレゼントもありますが、サガちゃんがカノンちゃんを欲しがっているのならばそれをあげたいと、心優しいマイメロちゃんは思ったのです。 けれどいくら女神の、マイメロちゃんのおねがいでも、カノンちゃんははいとうなずくことはどうしてもできません。 「駄目です、マイメロちゃん。まだ金牛宮と白羊宮にプレゼントを配り終わっていません。」 「あと2つだもん。マイメロひとりで行けるよー。」 「駄目です。お外はとても寒いですし、マイメロちゃんお一人を夜遅くに歩かせる訳にはいきません。」 「だって、サガが、カノンさんが欲しいって……。」 「ですから!」 カノンちゃんはきっぱりと云いました。 「俺は、マイメロちゃんと一緒に白羊宮までプレゼントを配って、それからマイメロちゃんを女神神殿までお送りしてから、双児宮に戻って靴下に入ります。」 ……どうやらカノンちゃんは、サガちゃんあてのプレゼントになることには異存はないようでした。 けれど、可愛く可憐なマイメロちゃんを、夜一人で出歩かせることなどカノンちゃんにはどうしてもできないのです。聖域がマイメロちゃんにとって安全な場所だということは判っていても、それは絶対にさせられません。 「じゃあマイメロ、今夜は白羊宮に泊まるから。カノンさんはそこから双児宮に戻るといいわ。ね?」 「……マイメロちゃんがそうおっしゃるのでしたら、お言葉に甘えさせていただきます。」 マイメロちゃんがにっこり、カノンちゃんもにっこり。 これで問題は解決です。 「メリークリスマース。」 「メリークリスマス、サガ。」 マイメロちゃんとカノンちゃんは、サンタさんに託されたプレゼントをサガちゃんの枕元に残して、次の金牛宮へと向かいました。 そして白羊宮で、マイメロちゃんはもぞもぞとムウの隣に潜り込み、カノンちゃんはそこでお別れして、すぐに双児宮に戻ります。 サガちゃんの用意した靴下はとても大きな靴下です。カノンちゃんが寝袋代わりにするのに、ちょうどいいサイズです。 カノンちゃんはよいしょよいしょと両足から靴下に入り、でも、そのまま床で寝るのは淋しいので、すーすー寝ているサガちゃんをよっこいしょと奥に押しやり、ベッドの中に入りました。 「んー……、かのんー……。」 サガちゃんは寝言を云いながら、むぎゅむぎゅとカノンちゃんに抱きついてきます。 お布団の中、靴下の寝袋、サガちゃんのだっこのトリプルで、カノンちゃんはとってもぬくぬくです。 明日の朝、サンタさんとマイメロちゃんからのプレゼントを見て、サガちゃんは大喜びしてくれるでしょう。 マイメロちゃんに、サガちゃんに、そして聖域の皆に。メリークリスマス。 カノンちゃんは、明日の朝プレゼントに喜ぶ皆の顔を思い浮かべながら、サガちゃんの腕の中で目を閉じました。
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2009/12/24 |
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