マイメロちゃんがサニー号にいたら 4 

 マイメロちゃんはサニー号の女部屋のふんわりソファに、寝床を作ってもらって寝ています。
 たいていは朝までぐっすりのマイメロちゃんですが、何やら泣き声が聞こえたような気がして、目が覚めました。
「……どーしたの、ロビンちゃん、泣いてるの……?」
 ふああとあくびを噛み殺し、マイメロちゃんは呟きました。
 その途端、聞こえていた小さな高い声はぴたりと止まりましたが、マイメロちゃんは心配になって、体を起こしました。
 角度と、向かい側のソファが邪魔をして、マイメロちゃんからはナミのベッドしか見えません。
「あれー、ナミちゃんいないの……?」
 そのベッドはけれどぺたんこで、マイメロちゃんはおねむのおめめを擦りながらも、お布団から出ようとしました。
「だ、大丈夫よマイメロ、ロビンには私がついてるわ。だから心配しないで、あなたは寝て?」
 そこに慌てて上擦ったナミの声がかかりました。
 声がしたのはロビンのベッドの方からで、どうやら、ナミはロビンと一緒に寝ているようです。
「うん、わかった。ナミちゃん、ロビンちゃんをよろしくねー……。」
 それならば安心と、マイメロちゃんは呟くように答えて、お布団にぱたんと倒れ、すぐにくーくーと寝息を立て始めたのでありました。

「び、びっくりした……。」
 マイメロちゃんの寝息が聞こえてくると、ナミはふうと大きく息をつきました。
「あ、ロビン、ごめんね、大丈夫?」
 それから慌ててロビンの様子を見れば、目にいっぱい涙をためています。両手で口をふさいでいるから、荒い息が余計に苦しくて可哀相でした。
 ひそめた、ほとんど息だけでささやくような声に、ロビンも同じくささやき返してきます。
「だから、いやって云ったのに……。」
「うんうん、ごめんね、続きさせてね……。」
 拗ねたように睨んでくるロビンの髪を撫で、ナミはぴったりと、裸の肌を押し付けました。
 汗ばんだ肌へ手を這わせていけば、ロビンは大きく震えて、懸命に声を殺そうとします。
「手、邪魔だよ、ロビン。」
「……声、出るから…っ。」
「なら、私が塞いであげる。」
 マイメロちゃんの眠りを妨げないように、密かに、秘めやかに。
 唇を重ねて、声も、息も飲むほどに、深く甘く。
 2人の夜は、更けていったのでございます。


 翌日。
 甲板のデッキチェアで、いつものように読書をしているロビンのところに、マイメロちゃんがやってきました。
「ロビンちゃーん、だっこして?」
「ええ、いいわよ。」
 可愛い可愛いマイメロちゃんが、ロビンも大好きです。
 だっこをおねだりされて御機嫌のロビンは、すぐにマイメロちゃんを抱き上げ、膝の上に乗せました。
 マイメロちゃんはぱふんと、ロビンの胸に抱きついてきます。
「あのね、夜はナミちゃんがロビンちゃんと一緒にいるみたいだから、昼間はマイメロがロビンちゃんといてあげるからね。」
 マイメロちゃんはやわらかい手で、ロビンをぽふぽふとたたきました。
「だから、淋しくないから、ロビンちゃん泣かないで。ね?」
 マイメロちゃんは黒い瞳をまっすぐにロビンに向けて、優しく云います。
「え、ええ……。」
 純粋で清らかなマイメロちゃんの瞳の美しさに、ロビンは激しく良心を痛ませました。
 けれども、マイメロちゃんがそうしてロビンのことを一生懸命に思ってくれるのが、とても嬉しくてたまらなくもあるのです。
「ありがとう、マイメロ。」
 ロビンはぎゅうっとマイメロちゃんを抱きしめて、そのやわらかさにうっとりとしました。
 そして、後でナミと場所やら何やらについて色々と相談しなくてはと、考えていたのでありました。
  
2008/05/13 






TOP          NEXT